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平成24年(2012年)5月(第49号)
Q:滋賀県平和祈念館の開館は、戦争を体験された方を始め、多くの方にとって長年の悲願でしたが、これまでの平和に関する取組や開館に至る経過をお聞かせください。
最初に構想ができてから、約20年間を経て開館となりました。平成5年から県民のみなさんの体験談や、お話にまつわる資料の収集を始めました。これまでに約25,000点の資料を寄贈いただき、1,300人を超える方からお話を伺っています。そして平成12年にマスタープランが策定され、その後、候補地の選定に時間を要しましたが、平成22年に東近江市の旧愛東支所をお借りすることが正式決定し、平成23年の条例制定を受けて無事今年3月のオープンを迎えることができました。
Q:開館から一ヶ月近く経ちましたが、連日賑わっているようですね。
おかげさまで3月17日の開館記念式典には1,000人以上の方に来ていただきました。中には、一日に約500人にお立ち寄りいただいた日もありました。これまでに約4,000人の方にお越しいただいています。(3月末現在)
Q:「平和の大切さを伝える」施設が滋賀にできたことの意義や役割はどういったことでしょうか。
まずは先の戦争で何があったのか、その中で滋賀に住んでいた方や、滋賀に縁のある方がどういった体験をされて、どういった思いをもたれていたのかを、みなさんに知っていただくことが大切だと考えています。その上で、今を生きる自分たちが平和を守っていくために何ができるのかを、それぞれに考えてもらうきっかけになればと思います。
Q:館の基本的なコンセプトや大切にされていることは何ですか。
基本理念としては、大きく3つのことを挙げさせてもらっています。一つめが「モノと記憶の継承」ということで、いただいた資料やお話をここに置いておくだけではなくて、次の世代へと引き継いでいくことが重要になります。二つめは「自らできることのきっかけづくり」、そして最後は「県民参加型の運営」です。ここは県立の施設ですが、地元の方々やボランティアさんなど様々な方に関わっていただいて、祈念館を私たちと一緒に育てていただければと考えています。この3つはこれからもずっと大切にしていきます。
Q:展示の概要を教えてください。
大きく分けると、入り口近くが基本展示、その奥が企画展示と収蔵展示、相談コーナーになっています。基本展示は、昭和初期の町や暮らしを知ってもらう導入部になっています。4本の柱には県内における代表的な戦争体験として、「学童疎開」、「空襲」、「軍事施設」、「産業・交通」の4テーマを展示し、それぞれの展示と床面の「滋賀県全図」(衛星写真)と関連させています。これにより現在とのつながりを感じてもらえるようにしています。
企画展示は年3回ほど展示替えをする予定をしており、簡単にレイアウト変更ができるよう工夫されています。現在は「八日市飛行場」、「学徒勤労動員」などの7テーマを取り上げています。現在写真資料込みで約1,000点を展示しています。
ワンフロアでの展示ということで、スペースとしては決して広くはありませんが、だからこそ一つ一つの資料とゆっくりと向き合ってもらえるのではと思っています。そのために館内を明るくしましたし、いすや机もたくさん配置しました。
展示品の例
Q:その他様々な事業もされているのですね。
うちの一番大きな事業が、資料収集・体験談の聴きとりです。館がオープンしてからも60人を超える方に資料を寄贈したいとのご連絡をいただきました。モノをただ受け取るだけでなく、それにまつわるエピソードなども一緒に集めるようにしています。みなさん「子どもたちの勉強に使ってもらえるなら」と、長年大事にされていたモノをお譲りいただくので、私たちもそこに込められた思いをしっかり受け止めて、管理・活用していきます。
聴き取りについても、戦争を体験された方も90歳以上の方が多くなりました。一人でも多くの方のお話を聴きたいと考えています。今まではずっと人から人への紹介でやってきましたが、辛い体験をされた方の中には、心の整理がつかず、最初は「話したくない」とおっしゃっていて、数年後にやっと「聞いてくれるかな」と言われる方もいます。
これから力を入れていきたい事業としては、「平和学習」の支援があります。これまでも資料の貸し出し等はやってきましたが、今後は学校などとさらに連携していきたいと思います。こちらに来ていただくだけではなくて、こちらからも資料を持って、学校や地域の色々なところを回りたいです。また近くにある環境学習の「菜の花館」やマーガレットステーションとも連携していきたいと考えています。
Q:先ほどボランティアさんと一緒に…というお話でしたが何人ぐらいおられるのですか。
現在38名の方に登録していただいています。特に「これをしてください」ということはなくて、最初に館の考え方を説明した後は、個々人の都合や興味に合わせて自由に活動してもらっています。館の案内をしてくださるグループや手紙の解読をするグループ、八日市の大凧祭で平和を願う凧を揚げてくれるグループなど本当に様々です。
Q:これからの抱負をお聞かせください。
まだまだ始まったばかりで、ゼロからのスタートだと思っています。まずは気軽に足を運んでいただいて、自分の住んでいる地域で起こったことを少しずつでも知ってもらうことが目標です。どうしても戦争というと、苦しい悲惨なイメージだけを持たれがちです。確かにそれは大切な部分ではあるのですが、そのような厳しい社会の中でも、離れた家族を思い、協力し合いながら必死に生きてこられたことも事実です。そういった人々や戦地に見送った家族の身を案じていた人たちの当時の普通の生活も一緒に見ていただいて、滋賀を好きになるきっかけの一つになればと思っています。「戦争」というとどうしても大きなトピックや、悲惨な事実ばかりが取り上げられがちです。しかし、それ以外の多くの方の様子を県民の方の体験を通して伝えることができるのは、滋賀県平和祈念館の最大の特徴です。
Q:県民の方々へメッセージを。
ぜひ一度遊びに来てもらいたいと思います。それから、もし家や地域にご高齢の方がいらっしゃったら、一度「昔どうだったの」と聞いていただきたいです。きっと私たちが展示を通して発するよりも、興味深いお話が聞けると思います。その中で「いいな」と思う話があったら、こちらにもご紹介していただけたら嬉しいです。資料や体験談には、それだけでたくさんの思いやメッセージが詰まっています。私たちの取組は、ほんのお手伝いでしかありません。ぜひみなさんそれぞれに感じてもらえればと思います。
なお来たる5月20日(日曜日)に開館を記念して、愛東コミュニティセンターにて講演会を開催(下記参照)しますので是非いらっしゃってください。
開館記念講演「まことの平和は」
日時:5月20日(日曜日)13時30分~
講師:千 玄室(裏千家15代家元 大宗匠)
要申込み
☆☆☆人権カレンダー 5月☆☆☆
町の中や公共的な施設では、「非常口」や「トイレ」など様々なマークを目にしますね。マークがあると、一目でどういった場所かわかったり、伝えたいことが簡単に伝わったりと大変便利です。こういった絵やマークで物事を示した絵文字のことを「ピクトグラム」といいます。「ピクトグラム」は、言葉のわかりづらい外国人の方や子ども、障害者などにとっても優しいユニバーサルデザインの一つであるといえます。
現在国内では標準案内図記号として125種類(うち110種がJIS規格化)が定まっており、ISO(世界規格協会)でも世界共通のマークが定まっています。
以下は標準案内図記号の一例です。(いずれも推奨度A)どれも一度は見たことがあるのではないでしょうか。
ピクトグラムなどユニバーサルデザインの普及で誰にとっても暮らしやすい社会にしたいものですね。
県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。
経済連携協定(EPA)により外国人を看護士・介護福祉士の候補として受け入れる動きが進んでいます。今回新たにベトナムからの受け入れも決定しました。しかし、受け入れ先の不足や言葉の壁など課題は多く、合格率は高くないのが現状です。
試験時間の延長やフリガナ、入国時一定の日本語能力を求めるなど制度面での配慮は進んでいますが、今後は一人ひとりの心のバリアフリーがより大切だと思います。高齢社会を迎え福祉の担い手が不足する中、みんなで考えていかなければならない問題です。
編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課