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「じんけん通信」(第48号)

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じんけん通信

平成24年(2012年)4月(第48号)

高木さん写真
  • 4月2日は世界自閉症啓発デー、2日~8日は発達障害啓発週間です。
  • 平成17年(2005年)に「発達障害者支援法」ができて7年が経ち、様々な形で制度が整い、「発達障害」や「アスペルガー」、「自閉症」などといった言葉も浸透してきました。
  • しかし、そのような障害のある方々が暮らしていくための「心のバリアフリー」はまだまだ十分とはいえません。
  • そこで今回は滋賀県自閉症協会の高木さんにお話を伺いました。

特集 自閉症と人権

Q:これまでの経緯についてお聞かせください。

1972年に、滋賀県内の自閉症の子どもを持つ親たちが集まって「滋賀県自閉症児親の会カナリヤ会」を発足させました。その後、全国組織である社団法人日本自閉症協会滋賀県支部となり、2008年から「滋賀県自閉症協会」として活動しています。今年で会の発足から40周年を迎え、感謝の会を行いました。

Q:現在どのくらいの会員がいらっしゃるのでしょうか。

現在の会員数は賛助会員を含めて約80名(当事者の親は約60名)です。こぢんまりとしたアットホームな会で、顔の見える関係を大切にしています。入会希望の方には、できるだけお会いして、活動の内容などをお話しさせていただき、入会という流れで進めさせていただいています。

Q:どのような活動をされているのでしょうか。

まず新年度になってすぐに世界自閉症啓発デー関連事業として、駅などで街頭啓発を行っています。自閉症については、最近メディアで取り上げられることも多くなり社会の理解も進んでいますが、まだまだ十分とはいえない状況です。会では、親や福祉の世界だけでなく、広く一般の方々に知っていただくための啓発活動に取り組んでおり、発達障害啓発週間中には映画会も開催しています。

その他色々な交流会やイベント、親向けの小さな勉強会、資料等の貸し出しも行っています。

Q:相談もされてるんですね。

個別相談では小さい子どもさんの相談から成人されている方の相談まで様々な相談が入ります。ご本人からの相談もありますし、家族からの相談もあります。公的機関の相談はどうしても時間がかかったり、行きづらかったりしますし、同じような子どもを持つ親でないとわからない苦労もあります。同じ親同士であれば、ただうなずくだけで救われる部分もあるだろうと思います。

また、親にとっては自分の子どもが今後どうなっていくのかということは大きな不安です。そういった観点からも、「ペアレントメンター養成事業」を県と滋賀県発達障害者支援センター「いぶき」と一緒に行いました。こういった活動が今後も広がっていけばいいなと思っています。
またそういう改まった相談の場面以外に色々な交流会やイベント、勉強会などの際に「最近どうしてる?」と気軽に話せる場を設けることも大切にしています。

本人に関してはある程度専門家に任せるしかない部分もあるのですが、親に対する支援も重要で、お母さん一人で頑張っていて、精神的に追い詰められてしまうようなケースも少なくありません。そういう孤立を防ぐためにも親やきょうだいなどに色々な機会を通じて積極的に声かけや支援をする「よってたかって家族支援」が大切です。会としても今後さらに充実させていかなければと思っています。

Q:理解が進んだと言ってもまだ誤解されている方も多いと思います。自閉症がどういった障害なのか説明していだけますか。

一口に自閉症といってもその症状は様々です。一般には、集団行動や友達と遊ぶことが苦手といった対人関係やコミュニケーションの困難さ、興味の幅が極端に狭い、変化することへの強い不安、感覚過敏などが言われています。しかし自閉症であっても、全てに当てはまるというわけではなく、様々なタイプの人がいます。自閉症の人の中には自分の得意分野を生かして社会的に成功している方がいるのも事実です。しかし、大多数の人は多かれ少なかれ生きづらさを抱えています。

私たちがお伝えしているのは、自閉症の人たちはとても純粋で要求や感情をありのままに表す人なんだということです。付き合ってみると楽しい人たちでもあると思っています。ただ時々こだわりや癖がおかしく見えるかもしれません。しかし、それには本人なりの理由があるということを理解してもらえれば、と思います。

Q:現在、課題だと思われることはなんですか。

一番の課題は成人期に対する支援です。幼児期や学齢期においては、理解が進み、先生の方もよく勉強してくださっているので、早期発見で適切な支援を受けることができるようになってきました。しかし学校を卒業した後に居場所があるかと言われるとなかなか厳しいのが現状です。例えば作業所等には空きがなく、また親が老いていく中で、きょうだいを頼るのではなく、グループホームやケアホームなど地域の中で暮らしていくための仕組みがまだまだ整っていないなと感じます。また相談窓口等も成人向けとなると限られてしまっているのも課題だと思います。

Q:社会に出て行くための支援ということですね。

特に高機能自閉症やアスペルガー症候群の方の中には、社会に出た後つまずいてしまって、引きこもりになったり、うつになったりと二次的障害が出ることが多いようです。現在成人している方々は、幼少期に適切な支援のないまま育った人が多く、先ほどのような二次的障害が出て初めて自閉症と診断されるといったこともあります。

就労に関しては、一定のサポートがあれば十分に能力を発揮できるのではないでしょうか。また仕事で嫌なことがあって家族にあたってしまうこともあるので、障害のことを一定理解して話を聞いてくれる場が身近にあれば、ストレスを家に持ち帰る前に発散できていいと思います。

Q:「学校」と「社会」の間には大きなハードルがあるのですね。

自閉症の人たちはどうしても経験が不足しているので、挨拶をするとか人と目を合わせて話すといった普通なら自然と身につく基本的なことが身につきにくいように思います。わかればできる人たちなのですが、わからないからできない、できないから経験が積めない、経験がないからわからない、という悪循環に陥っているわけです。また社会に出る機会が増えれば増えるほどトラブルに巻き込まれることもあります。ですから、社会に出る前に社会の基本的なルールや注意点などを教えて訓練できる場所が必要だと思います。そういったことを家庭の中だけで教えるのは難しい面もあるので、やはり社会的な仕組みの中で進めていければと思います。

Q:そういった中で、ご家族はどのような思いを抱えていらっしゃるのでしょうか。

やはり最終的には「親亡き後」です。これはどの障害のある子の親御さんも一緒だと思いますが、自分がいなくなった後も我が子が地域で豊かに暮らせる社会になってほしいと思っています。そのためには一人ひとりの意識と社会的な仕組みの両方が整わなければなりません。
一昔前と比べれば格段に自閉症への理解は進み、どこで暮らしていても不思議はないのだということが認識されるようになりました。発達障害の分野に関しては、他の障害と比べて施策が立ち後れてきたという背景があります。発達障害者支援法ができて7年になりますが、ようやくスタートラインに立ったという気がします。

Q:県民の方々へメッセージをお願いします

私たちが願っているのは、自閉症の人が隣で暮らしていても当たり前、隣で働いていても当たり前という、どこに行っても異質なものとしてみられない社会です。自閉症とわかっても「ああそうなんや」と普通に接してもらえるようになればいいと思います。子どもや認知症高齢者、障害者など様々な人がいる、それらを全部含めて「地域社会」だと思っています。

会としては、今後も人と人とのつながりを大切に「あんたが頑張ってるなら私も頑張ろう」「今日一日を乗り切ってみよう」と思えるような『よってたかって家族支援』を続けていきたいと思います。

世界自閉症啓発デー関連事業映画上映会「海洋天堂」

日時:4月7日(土曜日)13時30分~

場所:G-NETしが要申込み

☆☆☆人権カレンダー 4月☆☆☆
  • 2日世界自閉症啓発デー
    2007年12月18日の国連総会において、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」(World Autism Awareness Day)とすることが決議され、世界各地において自閉症に関する啓発の取り組みが行われています。 これに対応し、世界自閉症啓発デー・日本実行委員会が組織され、自閉症をはじめとする発達障害について、広く啓発する活動が行われています。
    世界自閉症啓発デー日本実行委員会公式サイト
    http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/
  • 2日~8日発達障害啓発週間
    日本では、4月2日の「世界自閉症啓発デー」に加え、4月2日~8日までを「発達障害啓発週間」として、関係団体や国、自治体が協力し、自閉症をはじめとする発達障害について広く啓発する活動が展開されます。
  • 7日世界保健デー
    世界保健機関 (WHO) は、設立以来全世界の人々の健康を守るため、広範な活動を行っています。「世界保健デー」は、このWHOの憲章が効力を発した1948年4月7日を記念して設けられたものです。 「世界保健デー」には、毎年WHOによって国際保健医療に関するテーマが選ばれます。この日を中心に、世界各国でその年のテーマに沿ったさまざまなイベントが開催されます。
  • 10日女性の日
    10日~16日女性週間
    昭和21年(1946年)のこの日、戦後初の総選挙で初めて婦人参政権が行使されたことにちなみ、昭和24年(1949年)に労働省(現在の厚生労働省)が「婦人の日」として制定し、平成10年(1998年)に「女性の日」に改称。この日から1週間が「女性週間」となっています。
  • 25日国際盲導犬の日
    国際盲導犬学校連盟が発足したのを記念して、毎年4月の最終水曜日が「国際盲導犬の日」と定められています。

■じんけん豆知識 「健康と人権」

7日は世界保健デーです。1948年のこの日に世界保健機構(WHO)の第一回総会が開催され、WHOが設立されました。WHOは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関です。現在の加盟国は193カ国であり、我が国は、昭和26年(1951年)5月に加盟しました。

WHO設立時に効力が発生したのが、世界保健機構(WHO)憲章です。その前文には、
「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。 到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである」(日本語定訳)
とあります。もう少しかみ砕くと
「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。人類、宗教、政治信条や経済的・社会的条件によって差別されることなく、最高水準の健康に恵まれることは、あらゆる人々にとっての基本的人権のひとつです。」(社団法人日本WHO協会仮訳)
となります。

これを読むと『健康』は単純な身体的状態(病気の有無など)だけで判断されるものではなくて、精神的、社会的側面も含めた総合的な概念であるということがわかります。またどんな立場の人にとっても「健康である」ことは大切な権利であるとうたわれています。日本国憲法でも「健康で文化的な生活を営む」ことが国民の権利としてうたわれていますね。

また1950年から定められている世界保健デーでは毎年違ったテーマが設定されており、その中にも人権と関わりのあるものがあります。

  • 2001年 mental health : stop exclusion , dare to care(精神保健:相互理解を深めよう-みんなで一緒にケアしよう)
  • 2003年 shape the future of life(子ども生まれ、未来へ生きる-健康に育つ環境作り-)
  • 2005年make every mother and child count (健やかな親子を地域の力で育み支えよう-生まれてくれてありがとう-)

なお2012年はGood health adds life to yearsで、公式訳は未定ですが、高齢化と健康がテーマになっています。

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県外

  • 舳松人権歴史館「企画展 シリーズ歴史その2塩穴村の歴史から部落差別を考える~近現代~ 」
    期間:9月28日(金曜日)まで
  • 平成23年度柳原銀行記念資料館企画展「いまに生きるアイヌ民族」
    期間:4月20日(金曜日)まで
    連絡先:京都市人権文化推進課 075(366)0322
  • ピースおおさか収蔵品展
    期間:7月17日(火曜日)まで
    http://www.peace-osaka.or.jp/news/e20120115.html

編集後記

新年度となりました。

これからもみなさんに興味深く読んでいただけるような記事作り、時事を踏まえたタイムリーな情報提供をしていきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

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編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課

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