文字サイズ

「じんけん通信」(第47号)

「わからない」だから「かわらない」そんなあなたの人権意識

「かわりたい」だから「わかりたい」へチェンジしませんか?

あなたの「わかりたい」を応援したい。人権施策推進課では、そんな思いで毎月「じんけん通信」を発行しています。ブラウザの「お気に入り」に入れていただければ感激です。

じんけん通信

平成24年(2012年)3月(第47号)

センター外観
  • 3月8日は「国際女性の日」です。
  • 女性の人権を著しく侵害する行為の一つがDV(ドメスティック・バイオレンス)です。
  • 平成13年(2001年)にDV防止法が施行されて10年以上が経ち、DVは社会問題として広く認識されるようになりましたが、身体的なもの以外のDVや若年層に広がるデートDVなどまだまだ課題は残っています。
  • そこで今回は相談業務や啓発に取り組んでいる県立男女共同参画センターを訪問し、お話を伺いました。

特集 DVと人権

Q:DVとはどういったことを指すのでしょうか。

DVとは、夫婦や恋人など親しい男女間でふるわれる暴力のことです。「暴力」というと殴る・蹴るなど身体的なものを思い浮かべがちですが、それ以外にも、精神的暴力、経済的暴力、社会的暴力、性的暴力があります。

精神的暴力は、怒鳴ったり無視したり馬鹿にしたりして精神的に強い圧迫を与える行為を指します。経済的暴力は生活費を渡さなかったり、逆にデート費用を全て払わせるなど貢がせるような場合も該当します。さらに社会的暴力とは、自分以外の交友関係を極端に制限してしまうというもので、ケータイの普及した現代においては、異性や同性の友人の連絡先を消させたり、メールの相手を問い詰めたりといった例があります。性的暴力は、性行為の強要以外にも避妊に協力しないなどが挙げられます。

このように二人が対等でなく、どちらかがどちらかを一方的に支配するような関係になった場合にDVと呼びます。また最近は10代・20代を中心とした恋人同士のDVがデートDVとして新たに問題となっています。

Q:滋賀県の現状はどうなっていますか。

県内には3つの配偶者暴力相談支援センターがあります(中央・彦根子ども家庭相談センター/男女共同参画センター)。その三か所でH22年度(2010年度)に受けた相談件数は875件です。近年、増加傾向にあり、当センターでもH23年(2011年)12月現在では前年の同時期と比べて1.75倍となっています。

女性による相談が圧倒的ですが、男性からの相談も1割ほどあります。「男性=加害者」というイメージが強いかもしれませんが、例えば収入が少ないと責められるなど、男性からの相談のうち加害者である場合と被害者である場合が半々ぐらいです。

また、被害に遭われた方全てが相談に来られるわけではないので、実際にはもっと多くの被害が隠れているのだろうと思います。特に男性は来所しにくいという状況もあり顕在化しにくいと思われます。そして被害者も加害者もDVとの自覚がない場合も数多くあり、妻が出て行って初めてDVに気づくといった例もあります。

Q:センターの活動を教えてください。

リーフレット

相談業務が大きな部分を占めていますが、それ以外にも市町のDV担当者を集めて連携強化のために会議や研修会を開催したり、少人数で自由に情報交換できる場としてケース検討会議をしたりしています。

それから啓発ということで特に若い世代への啓発に力を入れています。というのも、付き合っている頃は、少しぐらい怖いなと思うことがあっても「好きだから」「すぐに優しくなるから」とそのままにしてしまうのですが、その後妊娠などを機に結婚してみるとやはりひどいDVにつながった、というケースが少なからずあるからです。そういったことから若いうちから人との付き合い方について啓発していく必要があるということで、出前授業を行っています。中学校・高等学校に出向いて、デートDVとはどういうことかを説明し、二人だけの世界に入ることがいい恋愛なのではないこと、自分をしっかり持ってその上で互いを尊重し合いながら好きになっていくことが大事だということを伝えています。

その他、教員向けの講座や一般県民向けの講座でも取り上げていますし、県が作成したリーフレットやセンターの情報誌などで啓発しています。またセンターの資料室にはDV関連の本やDVDがたくさんあるので、貸し出しも行っています。 

Q:一人ひとりの理解が大切ですね。

一度DVのサイクルに入ると、被害者も周りが見えなくなり、抜け出すのは困難です。だからこそ、その一歩手前で止めることがとても大切です。また身近な人に相談されたときには、「そんなの普通だよ」とか「愛されてるんだよ」というのではなく、「大変だね」ときちんと話を聞いてあげて深刻な場合には専門機関に相談していただきたいと思います。 

Q:相談の際に心がけていることはありますか。
相談員は常に相談者の方が自分の思いを話せるような雰囲気づくりに心がけ、言葉として出にくい部分については、様子や服装、表情など全体的によく見てお話を聞くようにしています。

Q:課題だと思われることはありますか。

出前講座で中高生と接していると、「愛しているから束縛するんだ」「付き合っていれば恋人を最優先にするのは当たり前」といった恋愛観があるように思います。付き合うということは、互いの考えや個性、生活を大切にしながら思いやりを持って過ごしていくということであり、完全に同化することや、依存し合うことではなく、いかなる場合でも暴力はいけないということを伝えるようにしています。そうした一人ひとりの人権を尊重した関係がよりよい恋愛につながるのではないでしょうか。

Q:二人の関係性による部分が大きく線引きが難しいですね。

ヤキモチを焼いたり、一緒にいたいと思うこと自体は当然で、その気持ちを無理に押し込める必要はないと思うんです。ただその時に暴力的な手段に出るのではなくて、自分の気持ちをうまく相手に伝えること(アサーション)が大切になってきます。

DVに関しては、どうしても互いの気持ちで成り立っているものなので、児童虐待の事例のような強制力や通報の義務はないのが現状です。また、お子さんがいる場合は経済的な負担を考え躊躇してしまうこともあります。本人が、DVであることに気づき、保護を求めてくることもありますが、しばらくして「やっぱり好きだから」と元に戻っていかれるなど、難しい問題です。

久保川さん

Q:DVをなくしていくために必要なことは何でしょう。

DVの根底には、やはり男女の役割分担意識があるように思います。「夫は家族を養うべきで、家事は妻がやるべきだ」という意識がどこかにあるからこそ、稼ぎが悪いと怒ったり、料理がまずいと怒鳴ることにつながるのです。また男性が決めたことに女性が従う姿が美しいというようなイメージもまだ残っていると思います。そうした固定観念が知らず知らずのうちに植え付けられていく中で上下関係が生まれていくのではないでしょうか。「男性だから」「女性だから」ではなくて、一個人として互いの特性を生かしながら支え合い慈しみ合えるパートナーがいたら素敵だと思いますし、そうできる社会を作っていかなければいけないと思います。

Q:県民の方へメッセージを

先ほどもいったとおり、DVのサイクルに入ると抜け出すのは大変なので、そうなる前にDVとはどういうものか、きちんと知っておいていただくことが大事だと思います。そのために、今後も若い世代やそれに関わっておられる方を中心に啓発を進めていきたいと思います。

もしかしたらDVかもしれない…と思ったら、一人で悩まず信頼できる友人や大人やセンターの方に相談してほしいと思います。そして相談を受けたら、「あなたは悪くない」「よく話してくれたね」と伝えてあげてください。深刻な場合には専門機関に一緒に行ってあげてください。

それからDVやデートDVについて知ったからといって、結婚や恋愛に対して恐怖心を抱いてしまったり億劫になったりしないでほしいと思います。少子化、非婚化がすすむ中で、これから大人になる子どもたちが素敵な恋愛をしていくことはとてもいいことだと思います。ただ何かトラブルがあったときに、きちんと自分の気持ちが伝えられるような対等な関係を築いてくれたらと思っています。

☆☆☆人権カレンダー 3月☆☆☆

自殺対策強化月間

最近の自殺をめぐる厳しい情勢を踏まえ、様々な悩みや問題を抱えた人々に届く「当事者本位」の施策の展開ができるよう、政府全体の意識を改革し、一丸となって自殺対策の緊急的な強化を図るため、自殺総合対策会議において、「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を決定し、例年、月別自殺者数の最も多い3月を「自殺対策強化月間」と定めました。 

8日 国際女性の日

1977年、国連総会は各国に対し、それぞれの歴史、国民的伝統や習慣に沿うかたちで任意の日を「国際女性デー」と宣言するよう呼びかけました。女性に対する差別撤廃と、社会開発への完全かつ平等な参加に向けた環境整備に貢献することが各国に期待されています。この国際デーは国連総会が宣言した「国際女性年」(1975年)および「国連女性のための10年」(1976~1985年)に引き続くものです。国連が3月8日を国際女性の日としたのは、国際女性年(1975年)のことでした。 

21日 国際人種差別撤廃デー

「国際人種差別撤廃デー」は毎年3月21日と定められています。1960年のこの日、南アフリカのシャープビルで、アパルトヘイトの「パス法」に反対する平和的なデモ行進に警官隊が発砲し、69人が殺害されました。1966年にこの国際デーを宣言するにあたり、国連総会は国際社会に対し、いかなる人種差別も根絶するよう一層の努力をしていくよう求めました。 

21日~27日 人種差別主義と闘う人々との連帯週間

22日 国連水の日

1992年、国連総会は3月22日を「国連水の日」と宣言しました。この日は、水資源開発の経済的生産性や社会福祉に対する貢献度を広く認知してもらうことを目的としています。 

24日 世界結核デー

「世界結核デー」は1882年3月24日のコッホによる結核菌発見の発表を記念し、世界の結核根絶への誓いを新たにするために1997年に制定され、それ以降、毎年3月24日前後に世界でイベント等が実施されています。

■じんけん豆知識 「アイヌの人々~先住民族として~」

3月21日は国際人種差別撤廃デーです。日常生活では人種や民族ということを意識する機会は少ないかもしれません。しかし、人種差別撤廃条約は日本も1995年に批准しており、現在委員会による審議がされているところです。

そこで今回はアイヌの人々について、その歴史を中心にまとめました。

  • アイヌ民族とは
    名でいうと、東北地方の一部、北海道全域、千島・樺太列島などの広範囲を「アイヌモシリ」(人間の大地)と呼び先住していた民族で、独自の言語、伝統、文化、宗教を持っています。現在では北海道を中心に、日本各地で暮らしています。アイヌとは、アイヌ語でカムイ(神々)に対する「人間」という意味です。
  • 同化政策
    明治2年(1869年)、日本はアイヌモシリの大部分を日本の領土としました。北海道の「開拓」が進む中、アイヌ民族は、一方的に土地を奪われ、強制的に日本国民とされました。そしてアイヌ民族の言語、宗教、生産・生活様式など伝統文化を否定する同化政策が進められました。
    また、明治32年(1899年)に制定された「旧土人保護法」では、アイヌ民族を差別的に「旧土人」と呼び、「保護」すべき存在であるとしたことから、差別意識を強めました。
アイヌの伝統衣装
  • 法律の廃止と文化継承
    1980年代から、北海道ウタリ協会(現:北海道アイヌ協会)などを中心に、北海道旧土人保護法の廃止と「アイヌ民族に関する法律(案)」(「アイヌ新法」)を制定する運動が取り組まれました。平成9年(1997年)に旧土人保護法は廃止され、「アイヌ文化振興法」が制定されました。しかし伝統文化を知っている世代の高齢化などからこれらを次の世代に継承していくことが難しくなっています。
  • 国際連合宣言と国会採択
    2007年に「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択されました。これは、先住民族が集団または個人として国際人権法体系において認められた全ての人権および基本的自由を完全に享受する権利を有することをはじめ、先住民族およびその個人の権利および自由について述べたものです。これに基づき2008年6月に「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が衆参両院本会議おいて全会一致で可決されました。

アイヌの人々は豊かな自然とともに独自の文化や伝統を育んできました。アイヌの人々の民族としての誇りを尊重し、偏見や差別をなくしていくことが大切です。

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県外

  • 舳松人権歴史館「企画展 シリーズ歴史その2塩穴村の歴史から部落差別を考える~近現代~ 」
    期間:9月28日(金曜日)まで
  • 大阪人権博物館企画展「見た目問題」ってどんな問題?~顔の差別とむきあう人びと~
    期間:1月31日(火曜日)~3月25日(日曜日)
  • 平成23年度柳原銀行記念資料館企画展「いまに生きるアイヌ民族」
    期間:3月14日(水曜日)~4月20日(金曜日)
    連絡先:京都市人権文化推進課 075(366)0322
  • らいとぴあ21セミナー企画「1人親家庭ってどうなの? ~ちょっと気になるホントのところ~」
    日時:3月22日(木曜日) 開場18時30分 講演19時00分~21時00分
    http://raipiseminar.up.seesaa.net/image/3E69C88E382BBE3839FE3838AE383BC.pdf
  • 自殺を防ごうフォーラムin大阪<きっと何とかなる お金とこころの悩み>
    日時:3月17日(土曜日) 12時30分~14時40分
    場所:大阪府咲洲庁舎(旧WTCビル) 2階 咲洲ホール
    基調講演(山本 一力氏)、トークショー(間 寛平氏)、パネルディスカッション
    要事前申し込み:3月5日まで
    http://www.pref.osaka.jp/annai/moyo/detail.php?recid=8566

編集後記

埼玉県で餓死したとみられる遺体が発見されたとの報道がありました。また東京や札幌でも同様の事件が起こるなど、一家での孤独死が相次いでいます。それぞれ経済的な困難さや周囲からの孤立など、生き辛さを抱えていたとみられ、その最期を考えると胸が痛みます。

こういった悲しい事件をなくしていくためには、行政による支援はもちろん必要ですが、それには限界があるのも事実です。だからこそ地域で互いを見守り、様々な困難さを持った人を社会全体で支えようとする意識が大切なのではないでしょうか。

バックナンバー

編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課

人権施策推進課のページにもどる

お問い合わせ
滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:cf00@pref.shiga.lg.jp
Adobe Readerのダウンロードページへ(別ウィンドウ)

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。