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「じんけん通信」(第44号)

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じんけん通信

平成23年(2011年)12月(第44号)

外観
  • 12月3日から9日は障害者週間です。
  • 滋賀県では昔から、日本の障害者福祉の先駆けとして様々な先進的活動が取り組まれてきました。その中心となったのが、湖南市にある滋賀県立近江学園です。
  • そこで今回は、近江学園の丸本次長と支援員の森本さんにお話を伺いました。

特集 障害者と人権

Q: 学園の歴史について教えてください。

近江学園は、糸賀一雄氏が、かねてから親交のあった池田太郎氏、田村一二氏とともに、昭和21年大津市南郷に創設した施設です。ご自身は園長に就任されました。
当時は、戦争で親を亡くした子どもたちが、たくさん戦災孤児となっていましたので、この子たちをきちんと教育して社会に返すことが、戦後の日本の復興には重要だとの強い思いがありました。そこで戦災孤児と知的障害児が一緒に生活し、その自立や就業の支援をしていく施設としてスタートしました。その後児童福祉法の施行を受けて県立の施設となり、昭和46年に旧石部町に移転し現在に至るわけです。

森本さんと丸本さん
左:森本さん右:丸本次長

Q:糸賀一雄氏といえば、「この子らを世の光に」という言葉が有名ですね。

この言葉は、「この子らに世の光を」という憐れみの思想から脱却し、一人ひとりの尊厳を大切にしていこうということを提唱された大変意義深い言葉です。しかし、糸賀氏もはじめからこのような境地に立っておられたわけではありませんでした。
当時は戦後の復興期から高度経済成長の時期でしたから、「生産性」というものが何よりも重視され、障害のある人は生産性の低い人間として、その存在価値を認められていなかったわけです。糸賀氏自身も最初の頃は、教育を通して何とかこの人たちを社会の役に立つ人間にしよう、との思いがおありだったようです。
しかし支援に携わられる中で、ある時重度の心身障害児に出会われたそうです。その子はしゃべることも自力で動くこともできませんでしたが、介助者がおむつを換えようとすると必死にお尻を上げようと頑張っている。その姿を見て、そこには働いている人と何ら変わりない命の輝きがあり、人間的な価値があるのだと気づかれたといいます。
どんな人であっても人間の本質的な価値を等しく持っているのだということ、これが先の言葉や糸賀思想の根底にあるのではないでしょうか。

Q:現在の近江学園はどのような状況ですか。

現在定員は100名で、11月1日時点で86名が暮らしています。基本的には子どもを対象とした施設ですが18歳以上の方もいらっしゃいます。生活は、障害の程度や年齢によって分けた五つの班による班別の寮生活です。

Q:入園されている方の生活はどのような感じですか。

日中の生活ですが、学齢期の子どもたちは学校へ行き、その他は学園内で作業をしています。以前は養護学校中等部卒業後、就労に向けて学園でトレーニングするのが一般的でしたが、現在は養護学校高等部や高等養護学校を希望することが多くなりました。作業種別としては、窯業科、木工科と重度の方むけの軽作業科があります。

Q:日々接しておられる中で大切にされていることはありますか。

ここに来る子どもたちはみんな多かれ少なかれ心に傷を負っています。障害があることで傷ついたり周りと同じことができなかったりして、自信を失くしてしまっているわけです。それを取り戻させてあげることが、日常生活や作業や色々な行事を通じての最終的な目的ではないかと考えています。
自分に自信を持つということは自分の弱さを認める上でとても大切なことです。自分に自信があるからこそ、社会に出て行ったときに、「自分はこういうことができるけどここが弱い」とちゃんとわかって、人に聞いたり頼ったりできる力につながります。
加えてそういった支援の前提には、身体的な安心安全は当然のことながら、精神的な安心安全をきっちりと保証してあげることが必要だと思います。そういった土台になる部分がしっかりしていないと育っていかないし、社会に出た時にも負けてしまうのです。子どもの傷ついて硬くなった心を癒すのは決して簡単ではありませんが、そういう日常の中での育ちを大切にしたいと思っています。

作品例

Q:最近ではアール・ブリュット(生の芸術)が注目を集めていますが、近江学園での造形活動はその先駆けだと思いますが。

もともと芸術の専門家だった田村氏が中心となって始められたようです。そこには職業訓練的な目的以外にも、人格教育、人格形成という意味で大きな役割があったように思います。昔の近江学園では、造形活動以外にも音楽活動や能の上演など様々な形で人格教育が図られ重視されてきました。
昨年開催されたアール・ブリュット・ジャポネ展やその凱旋展、そして現在も行われている巡回展示などに多くの作品を貸し出しています。こうした作品が高く評価されていることはもちろん喜ばしいことですが、ただ私たちとしては、あくまでも人格教育の一環として取り組んでいますので、作品そのものよりもその過程を大切にしています。
またアール・ブリュットは、その人のありのままを表現した加工されていない生の芸術であり、作品が持つより本質的な価値を大切にしていると言えます。まさに糸賀思想と共通するものが根底にあるのではないかと感じています。

Q:今後の課題としてはどういったことが挙げられるでしょうか。

近江学園の課題としては、ハード面の整備と職員の資質をどう向上させていくか、ということだと思います。
障害が複雑化しニーズが多様化していく中で、職員それぞれが研鑽を積まなければなりません。また虐待など困難な家庭背景を持つ子どもが増えている現状を踏まえると、やはりゆとりのある人員配置であったり、専門的な知識を持った職員の配置が必要だと考えています。

母子像

Q:障害者福祉全体としてはどうでしょうか。

やはり重度の障害のある人たちを地域でどう支えていくか、ということだと思います。もちろん「施設から地域へ」というのは時代の大きな流れであり正しいことですが、そのためには地域で支えるためのもっとしっかりとした仕組み作りを進めていかなければなりません。
例えば、現在障害のある人のためのケアホーム(グループホーム)ができて数も増えていますが、では実際に近江学園で暮らす中度・重度の障害者がそこで暮らせるかといえば、今の体制ではそれは無理なわけです。そうなると結局障害の重い人は学園から成人施設へ、ということになってしまいます。
さらにいえば、知的障害児のための施設がここと信楽学園しかないということについても問題を感じています。特に信楽では比較的障害の軽い方を対象として職業訓練を中心にされていますので、そこに当てはまらない子の受け入れ先としては一つしかありません。滋賀県の地理的条件や他県との比較をしてみても、やはり複数の施設が必要だろうと思います。

Q:県民の方々にメッセージを。

私たちが日々支援に当たらしてもらう中で、「発達の保障」とか「発達支援」という言葉が使われます。
一般的に発達というと、昨日よりもこういうことができるようになったとか、明日は今日よりもうまくできるようになるとかそういう縦に伸びていく発達を想像される方が多いと思います。当然それは大きな意味を持ちますし、我々もそういった支援をしているわけですが、それ以外にもう一つ「横の発達」というものがあると私は感じています。
それは例えば内面的、人間的な成長であったり、その人なりの努力をした経過だったり、障害を抱えながらでも精一杯生きようとすることだったりします。つまり、何か結果としてでてくるわけではない、目には見えないそれぞれの人としての広がりや輝きのことです。
私たちは日々の生活の中でそういった瞬間にたくさん出会います。ぜひ一般の方にも、「障害」と身構えるのではなくて、目に見える部分以外のところに眼を向けてもらいたいですし、そうすればもう少し生きやすい社会になるのではないかなと思います。

障害のある人による公募作品展「ぴかっtoアート展~それぞれのカタチ~」

期間:12月7日(水曜日)~12月18日(日曜日)10時~20時
場所:イオンモール草津(2階イオンホール)
詳しくはチラシをご覧ください

☆☆☆人権カレンダー12月☆☆☆

  • 1日世界エイズデー

WHO(世界保健機関)は、1988年に世界的レベルでのエイズまん延防止と患者・感染に対する差別・偏見の解消を図ることを目的として、12月1日を”WorldAIDSDay”(世界エイズデー)と定め、エイズに関する啓発活動等の実施を提唱しました。日本でも、その趣旨に賛同し、毎年12月1日を中心にエイズに関する正しい知識等についての啓発活動を推進しており、全国各地で様々な「世界エイズデー」イベントが実施されています。

  • 2日奴隷制度廃止国際デー

12月2日の「奴隷制度廃止国際デー」は、国連総会による「人身売買および他者の搾取の禁止に関する条約」採択の日を記念するものです。

  • 3日国際障害者デー

1992年、「国連障害者の10年」(1983~1992年)の終結にあたり、国連総会は12月3日を「国際障害者デー」と宣言しました。国際障害者の10年は、障害者の現状改善と平等な機会の提供を行うよう、一般の意識を高めつつ立法措置を制定する10年となりました。総会ではさらに加盟国に対し、障害のある人々の社会参加をいっそう促進させるため、この国際デーに重点を置くよう呼びかけました。

  • 3日~9日障害者週間

平成16年(2004年)6月に障害者基本法が改正され、それまで12月9日を「障害者の日」と定めていた規定から、12月3日から12月9日までを「障害者週間」と定める規定へと改められました。
12月9日は、昭和50年(1975年)に「障害者の権利宣言」が国連総会で採択された日であり、国際障害者年を記念して、昭和56年(1981年)11月28日に国際障害者年推進本部が12月9日を「障害者の日」とすることに決定しました。その後、平成5年(1993年)11月に心身障害者対策基本法が障害者基本法に改められた際に、12月9日を「障害者の日」とすることが法律にも規定されました。
「国際障害者デー」である12月3日から我が国の「障害者の日」である12月9日までの1週間については、平成7年(1995年)6月27日に障害者施策推進本部が「障害者週間」とすることを決定しています。

  • 4~10日人権週間

国際連合は、昭和23年(1948年)第3回総会で世界人権宣言が採択されたのを記念し、昭和25年(1950年)第5回総会において、世界人権宣言が採択された12月10日を人権デーと定めるとともに、すべての加盟国にこれを記念する行事を実施するよう呼びかけています。法務省と全国人権擁護委員連合会は、世界人権宣言が採択された翌年の昭和24年から毎年12月10日の人権デーを最終日とする1週間を人権週間と定め、人権尊重思想の普及高揚のための啓発活動を全国的に展開しています。

http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03.html(法務省HP)

  • 10日人権デー

1950年、国連総会はすべての国家と関係機関が12月10日を「人権デー」として記念するよう呼びかけました。12月10日は、1948年に総会が世界人権宣言を採択した日にあたります。

  • 10日~16日北朝鮮人権侵害問題啓発週間

北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民の認識を深めるとともに、国際社会と連携しつつ北朝鮮当局による人権侵害問題の実態を解明し、その抑止を図ることを目的として、平成18年6月に「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」が施行され、国及び地方公共団体の責務等が定められるとともに、毎年12月10日から同月16日までを「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」とすることとされました。
我が国の喫緊の国民的課題である拉致問題の解決を始めとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が国際社会を挙げて取り組むべき課題とされる中、この問題についての関心と認識を深めていくことが大切です。

  • 18日国際移民デー

国連経済社会理事会の勧告を受けて、国連総会は12月18日を「国際移民デー」と宣言しました。1990年のこの日、「すべての移民労働者とその家族に人権保護に関する国際条約」が採択されています。総会では、すべての移民の人権と基本的自由の尊重を保障するより一層の努力が必要となる点が強調されました。世界では約1億3,000万人が故国を離れて生活していると推定されています。世界で35人に1人は移民と推定され、故国以外の国で働き生活しています。

■じんけん豆知識 知っていますか、エイズのこと

レッドリボン

12月1日は世界エイズデーです。日本でも、レッドリボンキャンペーンを中心として様々な啓発活動が行われます。一時期は薬害問題やドラマなどで関心が高まりましたが、今は少し薄れているのではないでしょうか。これを機会に改めてエイズについて正しく知ってほしいと思います。

※エイズ(後天性免疫不全症候群)の原因となるウィルスをHIVと呼びます。感染から発症までには潜伏期間があります。

  • 昔の病気ではありません

2011年6月現在の報告では、国内のHIV感染者は13,083人、エイズ患者は6,036人にのぼります。滋賀県でも、2010年時点で52人のHIV感染者、35人のエイズ患者が報告されています。2010年の一年間に新しく報告された国内のHIV感染者は1,075人で、4年連続1,000人以上の感染が新しく判明しています。欧米の先進国では減少に向かっているにもかかわらず、日本ではまだまだ増加傾向にあるのです。また、新規のエイズ患者は469人で過去最多でした。

  • 特別な人の病気ではありません

エイズは、性経験のある人なら誰がなってもおかしくない病気です。
また、HIVに感染したからといって、すぐに何らかの症状が現れるわけではありません。健康だと思っていても感染していることもあります。実際に検査を受けないと、感染しているかどうかはわからないのです。

  • 死の病ではありません

現在の医学では、体内から完全にHIVを取り除くことはできません。しかし、薬の開発も進んだため、早期発見し適切な治療をすれば、発病を抑えて健康な人と変わらない生活を送ることができます。また母子感染のリスクも、薬やその他の方法で最小限に抑えられるようになり、出産も可能です。つまり「死の病」から「共に生きる病」へと変わりつつあるのです。

  • 日常生活ではうつりません

HIVは血液や精液、膣分泌液に多く含まれ、感染力はとても弱いウィルスです。そのためHIV感染者と生活をともにしていても(一緒に食事する、手を握る、トイレやお風呂を共用する)感染することはありません。
「全国のHIV陽性者の生活と社会参加に関する調査」によると、HIV陽性者のうち73%が働いています。しかし職場の人に病名を伝えている人は、そのうちのわずか26%です。私たち一人ひとりが、HIVやエイズに対する理解を深め、HIV・エイズと共に生きる人たちが、偏見や差別を受けることなく安心して暮らせる社会を作らなければなりません。
今年の啓発のテ-マは、「エイズと私~支えることと防ぐこと~」です。きちんと正しい知識を持ち、適切な予防対策をすることが大切です。また何か不安に感じることがあれば検査(匿名・無料です)を受けるようにしましょう。

検査や相談について

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県内

  • 人権尊重と部落解放をめざす県民のつどい

日時:12月4日(日曜日)9時40分~
場所:滋賀県立文化産業交流会館
記念講演「子どもたちに夢を~東日本大震災医師の格闘~」
詳しくはチラシをご覧ください

  • G-NETシネマ
  1. 「百合祭」…12月16日(金曜日)10時00分
  2. 「パパは雪だるま ジャック・フロスト」…12月23日(金曜日)13時30分~
  • 障害のある人が働く作業所によるビジネスマッチングフェア「おこしやす」

日時:12月9日(金曜日)11時00分~16時30分(受付10時30分)
場所:大津プリンスホテルコンベンションホール淡海2F

  • -働くあなたへ-絵てがみ作品展の作品募集

期間:12月15日(木曜日)まで
対象:県内在住または県内在勤の方(年齢制限なし)

県外

  • 大阪人権博物館 共催展「親鸞と被差別民衆」

期間:12月18日(日曜日)まで

※東本願寺、西本願寺でも展示されます。(詳しくは下記リンクをクリックしてください)

  • 柳原銀行記念資料館 第23回特別展「明石民蔵と家族の肖像〜明石は悲境に沈淪したのか〜」

期間:12月9日(金曜日)まで

http://suujin.org/yanagihara/

  • 舳松人権歴史館「企画展 シリーズ歴史その2 塩穴村の歴史から部落差別を考える~近現代~ 」

期間:2012年9月28日(金曜日)まで

  • 人権問題シンポジウム2011-いま、世界を人権の視点から見直す-

日時:12月4日(日曜日)14時00分~17時00分(開場13時30分)
場所:池坊学園こころホール
基調講演 安藤仁介「”アラブの春” と国連・国際社会の動向」

  • らいとぴあ21連続セミナー「子供の貧困をどうする?」

日時:12月14日(水曜日) 19時00分~21時00分(開場18時30分)

編集後記

12月10日は人権デーです。これは1948年のこの日、世界人権宣言が採択されたことを記念するものです。世界人権宣言は第二次世界大戦の反省にたち、人間一人ひとりの自由や平等を謳っています。世界人権宣言前文

しかし、その内容は多岐にわたり言葉も難しいので、なかなか読むのは大変です。そこで私がおすすめしたいのが「人権パスポート」。作家の谷川俊太郎さんが、簡単で親しみやすい言葉で語っています。

これを機会に人権のこと、考えてみませんか。

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編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課

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滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:cf00@pref.shiga.lg.jp
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