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「じんけん通信」(第43号)

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じんけん通信

平成23年(2011年)11月(第43号)

  • 11月25日から12月1日は犯罪被害者週間です。
  • みなさんはテレビや新聞で事件や事故の報道を見たときどんなことを思いますか。「かわいそうに」「ひどい」そう感じると同時に、どこか遠くのことのように感じるのも事実だと思います。
  • しかしそこには報道では見えてこない被害者やその家族の苦しみや悲しみが確かに存在します。そして自分や自分の家族、身近な人が被害者になる可能性は常にあるのです。
  • そこで今回は犯罪被害者への様々な支援や各種啓発活動をされている「特定非営利活動法人(NPO法人)おうみ犯罪被害者支援センター」理事の松村裕美さんにお話しを伺いました。

特集犯罪被害者と人権

松村さん

Q: 犯罪被害者の支援と言われてもピンとこない方もおられると思います。どういったことを指すのでしょうか。

「犯罪被害者支援」というと「防犯」と混同されがちですが、それは違います。たとえ話をすると、ここに池があるとします。周りに柵をして「危ないから近づいたらだめですよ」とPRするのが防犯なら、犯罪被害者は自分では近づいていないのに、ある日突然腕をつかまれて池に投げ込まれてしまったような感じだと思ってください。
にもかかわらず、「なんでこれだけ防犯してるのに入るの」「早く出てきなさい」「いつまで入ってるの」と逆に責められているというのが犯罪被害者のおかれている現実なのです。そういったことを理解して支援していくことが重要になってきます。

Q:犯罪被害者支援の現状を教えてください。

以前から「加害者の人権」についてはいわれてきましたが、「被害者の人権」についていわれだしたのは本当に最近のことです。加害者であれば、未成年だったり精神疾患であったりと状況に応じて守ってもらえるにもかかわらず、被害者を守るものは何もないという状態が長く続いてきました。
私たちは「警察が犯人を捕まえて、裁判で被害者の仇を討ってくれる」という漠然としたイメージを持っていたりしますが、実際は「加害者を逮捕し、量刑を決める」ことが司法の仕事であり、その過程において犯罪被害者は蚊帳の外でした。ですから、たとえ犯人が逮捕され刑が確定しても、犯罪被害者の苦しさは誰にも理解されないまま放置されてきたのです。
そうした中で、平成16年(2004年)に「犯罪被害者等基本法」という法律ができ、犯罪被害者が裁判の中で証言できるようになりました。これは大変大きな一歩で、例えば加害者が「犯罪被害者はこんなにひどい人だった」と供述をした時に、「そんなはずはない」と反論したり、裁判官に思いを訴えたりできるようになったわけです。
また犯罪被害の場合、けがなどの治療費は相手方の有罪が確定するまでは請求できないので、最初のうちはずっと自分のお金で支払わなければなりません。有罪が確定して初めて、相手に改めて民事裁判を起こして、要した費用や慰謝料を請求するわけですが、その際に必要な援助(刑事裁判資料のコピー等)もされるようになり、利用しやすくなりました。
しかし、いくら民事裁判で賠償額が提示されても、相手方に支払い能力がなければどうしようもありません。そのようなときのために国が一定額を支給する「犯罪被害者給付金制度」ができました。さらに法律に基づいて基本計画ができ、行政の施策も進められています。
ただ色々と条件があって、まだまだ被害者にとって使いやすい制度にはなっていないのが実情です。

Q:そんな中でこのセンターができたのですね。

このセンターができたのは平成12年(2000年)です。その頃は警察にも「犯罪被害者対策室」ができ、被害者に配慮しようという機運が高まっていました。また臨床心理士や弁護士の先生からもっと被害者に対して支援すべきだという声が挙がっていました。そこでそういった方々が中心となって、警察のバックアップを受け全国で16番目の犯罪被害者支援センターとして誕生したのです。

Q:活動内容について教えてください。

最初は心理関係の方が中心だったこともあり、「心のケアをしていきましょう」ということで始まりました。まず、県内の相談機関で相談員をしていた人が集まってボランティアで電話相談を受けていました。その中で相談者の方から「心のケアも大事だけれどまずは生活なんだ」という声を聞きました。買い物や子どもの送り迎えをしようにも外にマスコミが大勢いて出られない、けがで働けなくなり住むところや治療費に困っている、裁判所や検察に一人で行くのが怖い、など犯罪被害に遭われた方々の日常には様々な苦痛が伴うことがわかったのです。それで精神的ケアだけでは不十分だということで、付き添いやマスコミ対応等、徐々に様々な支援を行うようになりました。
昨年度で計630件の相談があり、うち直接的に支援したケースが91件でした。中には県外の方からの相談もあります。

Q:犯罪被害者の方と接する際に心がけていることはありますか。

「犯罪被害者」と一口に言ってもその状態は本当に人それぞれで、ある人にとっては平気な一言でも、ある人にはひどく傷つく言葉になることもあります。また、「あなたは被害者じゃないんだから私の気持ちをわかるはずがないでしょう」と言われればその通りなので、「何とかこの気持ちを軽くしてあげよう」と考えるのではなくて、「今以上に傷つくことのないように」ということを念頭に置いています。

Q:印象的な出来事はありますか。

自由に使っていただこうと、相談室に同じ色の膝掛けを数枚置いておいたところ、たまたま被害にあった時に着ていた服と同じ色だったために、相談者の方がパニックになってしまったということがありました。それ以来、色々な色のものを用意して、選べるようにしています。また興奮したりして自分を傷つけることのないように、ソファに好きに叩いてもらえるクッションを用意しました。こんな風に、日々、事例に接しながら勉強させてもらっています。

Q:犯罪被害者を支援していく中で大切なことは何でしょう。

犯罪被害者の支援にあたっては、警察や行政だけだと、どうしても決められた法律の枠内でしか仕事ができず、そこから少しでもはみ出してしまうと援助が受けられないというところがあります。しかし、日常生活を営む上ではいろいろなことがあるので、そういう隙間の部分を民間の私たちで埋めていければいいのかなと思っています。また相談内容によっては、すぐには解決できないことや、もう元には戻せない苦しみもありますが、そういった場合でも話をすることで少しでも楽になってもらえればと思っています。

Q:啓発活動や講師派遣以外に相談員の養成活動もされていると聞きましたが。

センターの相談員は全員ボランティアで、養成講座を全て受講していただいて、最後に面接をした方にだけ参加していただいています。というのも、個人情報が山のようにある場所ですし、何も知らないまま対応してしまうと、アドバイスしようとして逆に傷つけてしまうこともあり得るからです。
今やっているのが第12期養成講座で、毎回30人から40人の受講がありますが、最終的に登録するのは十数人程度になります。現在登録者数としては50人程度、実働は30人程度で、毎日交代してもらっています。一応、月二回は来ていただくことになっていますが、仕事や介護などの問題で難しい場合でも様々な形で参加していただいて、細く長く続けていただければと思っています。

Q:今後はどのような活動に力を入れたいとお考えですか。

この度、相談員による啓発活動グループ「リーフ」を結成しました。もっと気軽に犯罪被害者への理解を深めていただくため、手記の朗読などをする30分ほどのプログラムをするチームです。これからいろいろなところに呼んでいただけたらと思っています。

Q:県民へのメッセージをどうぞ。

犯罪被害者の方には全ての支援を無料で提供しています。相談員さんはボランティアであっても施設の維持管理や広報などには一定の費用がかかります。行政によるさらなる援助を求めたいところですが、なかなか難しい部分もあり大変苦しい状態です。活動の維持、さらなる発展のために皆様のご協力(賛助会員・寄付)をお願いいたします。
犯罪の被害は、ある日突然だれに降りかかるかわかりません。誰もが被害者になってしまう可能性があります。みなさんの周りに犯罪被害で苦しんでいる方がいらっしゃる場合は、こんなセンターがあるよと教えてあげてください。

おうみ犯罪被害者支援センター相談窓口:(077)525-8103

☆☆☆人権カレンダー11月☆☆☆

  • 6日戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー

2001年11月5日、国連総会は毎年11月6日を「戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー」とすると宣言しました。武力紛争時の環境被害が紛争終結後もなお、しばしば国境や世代を超越して長年にわたって生態系と天然資源に悪影響を及ぼすと考えられたからです。また、私たちが共有するこの環境の保全活動の必要性を強調した「国連ミレニアム宣言」も改めて確認されました。

  • 12日~25日女性に対する暴力をなくす運動

平成13年(2001年)6月5日、内閣府男女共同参画推進本部において、毎年11月12日から25日までの2週間、「女性に対する暴力をなくす運動」を実施するという決定がされました。

  • 20日世界こどもの日

1954年、国連総会は全ての加盟国に対し「世界のこどもの日」を制定して、これを子どもたちの世界的な友愛と相互理解の日に、また世界の子どもたちの福祉を増進させる活動の日に当てるよう勧告しました。具体的な日付の制定は各国政府の判断に委ねられています。11月20日は総会が1959年に「子どもの権利宣言」を、また1989年に「子どもの権利条約」を採択した日です。

  • 25日女性に対する暴力撤廃国際デー

国連総会は11月25日を「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に指定し、各国政府や国連機関、NGOが、この週間に対する一般の意識を高めるための活動をこの日に行うよう促しました。女性運動活動家たちは1981年以来、11月25日を暴力反対の日としてきました。この日付は、1961年にドミニカ共和国の支配者ラファエル・トルヒジョの命令で政治活動家ミラバル三姉妹が暗殺されたことに由来しています。

  • 25日~12月1日犯罪被害者週間

犯罪被害者週間は、当該期間における集中的な啓発を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況や犯罪被害者等名誉、生活の平穏への配慮の重要性について、国民の理解を深めることを目的として、「犯罪被害者等基本計画」において設定されました。

■じんけん豆知識 滋賀マザーズジョブステーションがオープンしました!!!

男女共同参画の拠点施設である滋賀県立男女共同参画センター(近江八幡市鷹飼町)内に、このほど子育て中の女性を中心として就労に関する支援を行う総合相談窓口ができました。

★おすすめポイント★

イメージキャラクター
イラスト/タカノキョウコ
  1. 働きたい女性を応援する窓口が一か所に
    「マザーズ就労支援相談」では、就職に向けたカウンセリングや研修・訓練の情報提供、子育て・保育に関する情報や仕事と子育ての両立に向けたアドバイスなどもしてくれます。また、「マザーズハローワークコーナー」での求人情報の提供や職業紹介、ひとり親の方のためには「母子家庭等就業・自立支援センター」の各窓口がそろっています。
  2. 土日、祝日も相談できます。
    都合の良い時に相談できるように、男女共同参画センターの休所日以外で、土日、祝日も相談を受けられます。(ハローワークは平日のみ)
  3. 無料託児室(6ヶ月~小学校就学前)もあって安心
    子ども連れでも落ち着いて話ができるように、無料の託児室(予約不要)が用意されていますので、気軽に相談に行けます。 結婚や出産で一旦仕事を離れてしまうと、働きたいという意欲はあっても、はじめの一歩がなかなか踏み出せないものです。「私には何ができるんだろう」「何から始めたらいいの」といった疑問や悩みの相談から仕事探しまで力強くサポートしてくれますので、多くの女性の方に利用いただきたいですね。

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県内

  • 平成23年度滋賀県薬物乱用防止推進大会

日時:11月22日(火曜日)14時00分~16時00分
場所:栗東芸術文化会館さきら

  • 糸賀一雄記念賞第十回音楽祭

日時:11月27日(日曜日)14時00分~(13時30分開場)
場所:栗東芸術文化会館さきら

県外

  • リバティおおさか特別展「モダンガールズ青踏の時代」

期間:11月6日(日曜日)まで

  • 柳原銀行記念資料館 第23回特別展「明石民蔵と家族の肖像〜明石は悲境に沈淪したのか〜」

期間:12月9日(金曜日)まで

  • ピースおおさか

ウィークエンドシネマ「青葉学園物語」
日時:11月5日(土曜日)・11月12日(土曜日)・11月19日(土曜日)14時00分~

  • 和い輪い人権ワークショップ「『外見では分からない』病気や障害への理解」

日時:11月17日(木曜日)13時30分~16時30分
場所:ウィングス京都
要申し込み(11月10日まで)

編集後記

先日、今年のノーベル平和賞受賞者が発表され注目を集めました。それは、受賞者がいずれも女性であったことや今までに受賞の少なかったアフリカ、中近東の人であったからでしょう。

また今回の受賞理由のポイントは「非暴力」と「女性の権利向上」ではないかと思います。内紛や脅迫といった圧倒的な暴力を前にしても、それに抵抗する手段が非暴力だからこそ勝ち取れるものがあるのではないでしょうか。そして女性のような社会的弱者の権利が確立されることが平和な世界を作るためには大切なんだと改めて感じました。

みなさんも改めて平和のこと、考えてみませんか。

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編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課

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