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「じんけん通信」(第42号)

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じんけん通信

平成23年(2011年)10月(第42号)

  • みなさんは「ハンセン病」と聞いてどう思いますか。昔のこと、遠いところのこと…そう思っておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
  • しかし、ハンセン病患者・元患者を長年苦しめてきた「らい予防法」が廃止されたのは、ほんの10年ほど前のことです。
  • そこで今回は、ハンセン病と県の取組について、県健康福祉部の角野技監にインタビューしました。

特集 ハンセン病を正しく理解するために

角野技監

Q: ハンセン病とはどんな病気ですか。

ハンセン病自体は古くからある病気で、日本では「日本書紀」や「今昔物語」に「らい」という言葉が出てきます。医学的に定義されたのは1873年で、ノルウェーのハンセンという医師が原因菌であるらい菌を発見し、「ハンセン病」という名前になりました。
この病気の症状としては、皮膚がただれたり、末梢神経が冒されるので知覚麻痺が起きたり、筋肉の拘縮(こうしゅく)が起きたりします。現代の医学であればすぐに治せる簡単な病気ですが、昔は薬もなく、どうしても見た目に影響が出るので忌み嫌われていました。ですから患者の多くは家に閉じこめられていたり、また家にいられなくなって放浪する人(放浪らい)もいました。

Q:その後法律ができたわけですね。

西洋諸国と違って何も対策を講じてこなかった日本は、ようやく明治40年に「癩予防ニ関スル件」という法律を作り、行き場のない患者を療養所に入所させ社会から隔離しました。このときには療養所で治療を受けさせるという救済的な意味合いもあったわけですが、隔離が進んだことで社会全体に「うつりやすい、怖い病気だ」という誤解が広がってしまったのです。(実際には感染力はきわめて弱く隔離の必要はありません)

Q:そこからどのような隔離政策が進められたのですか。

昭和に入ると、全国各地で「無らい県運動」が始まり、行政や地域でハンセン病患者を探し出して強制的に収容するという動きが盛んになりました。昭和6年には先の法律を改正し、「癩予防法」が制定されました。
これにより強制隔離は明文化され、患者の人達はある日突然連れて行かれ、名前を変えさせられて、二度と療養所から出て行くことはできなくなりました。さらに昭和23年にできた「優生保護法」の中にもハンセン病は適用対象として明記され、断種や堕胎を強制されるなど様々な人権侵害を受けてきたのです。
そんな中で昭和26年に全国国立らい患者協議会が作られて、法改正を求める声をあげられたり、心ある医師が異論を唱えたりということもありました。しかしそれに逆行する形で昭和28年に新たな「らい予防法」が作られてしまいました。
この頃には特効薬が開発され日本でも使われ始めたことで、ハンセン病は治癒する病気になっていたのですが、この法律によってさらにハンセン病患者に対する差別を助長する結果となったのです。また家族も差別や偏見が自分たちに及ぶことを恐れて、周囲には結核で入院して亡くなったことにするなど戸籍から消してしまう場合もありました。

Q:法律の廃止までには長い時間がかかりましたね。

それからずっと科学的には問題がなくなっているにも関わらず、この法律は存在し続け、国は何も行動を起こしてきませんでした。そんな中で、当時厚生省の医務局長をしておられた滋賀県出身の大谷藤郎さんという方が、陳情に来られた患者さん達を初めて局長室に招いて一緒にお茶を飲まれました。このことに患者さん達はとても感激されたそうです。この方はその後も「らい予防法」の廃止に向け尽力され、ハンセン病国家賠償請求訴訟でも原告の一人として活動されました。
そうした努力の結果、平成8年ついに「らい予防法」は廃止されたのです。その後、国は「らい予防法」の違憲判決(平成13年熊本地裁)などを受け、患者・元患者に正式に謝罪し、補償制度や退所者に対する給付金制度を設けました。

Q:県の取組としてはどのようなものがありますか。

滋賀県では、昭和41年から「里帰り事業」ということで、全国の療養所に入っておられる滋賀県出身の方に、年に一回故郷に帰ってきていただく事業を行っています。他府県では縮小や廃止の動きもありますが、入所者の方も高齢化が進んでいますし、機会はできる限り多い方がいいだろうということから、それまでは隔年で実施していたものを平成7年から毎年実施に変えました。またマスコミ等に取り上げてPRするというようなことは一切せずに、ただ粛々とやってきました。それは、この事業は我々が長年やってきたことに対する償いであり、何ら自慢するべきものではないとの思いがあるからです。
事業を始めた当初は社会の理解も乏しく、夜中に出発し夜中に帰ってくるような形で、食事をするにも宿泊するにも一苦労だったと聞いています。また入所者の方々も自分の生まれた町に来ると顔を隠して、とても気を遣っていらっしゃったそうです。
そこから徐々に社会の理解が進んだことやこちらが根気強く説明したりして、今ではどこも快く受け入れてくださるようになりました。一般のお客さんも驚かれたりすることもなく、親戚や小学校の同級生などが訪ねてくれるなど嬉しい変化もあります。また、帰ってこられるときに専門学校の生徒にボランティアで来てもらってお手伝いをしてもらっていた時期もあったのですが、みなさん自分の子どもや孫の世代とふれあうことができとても喜んでおられました。
現在滋賀県出身の療養所入所者は22人おられますが、高齢化(平均82.2歳)や健康状態などの問題もあり、常時参加されるのは10人ほどになってしまいました。しかし、たとえ一人二人になろうとも、最後まで続けていかなければならない事業だと思っています。

Q:訪問事業もされていると伺いましたが。

はい、年一回行っています。この時には県の職員だけでなく、県議会の方や社会福祉協議会の方など様々な方に参加していただいて、岡山県にある邑久光明園(おくこうみょうえん)を訪問しています。そこで入所者の方と歓談したり歴史を学んでいただくことが目的です。
実際に行ってみると、療養所の中には理髪店がありスーパーがあり郵便局があり…と、一つの町のようになっています。医師や看護師なども潤沢に配置され一見すると快適に感じるかもしれません。しかし、それはあくまでも閉鎖された空間の中であって、ずっとここに閉じこめられていたらと思うと大変だったのだろうなと思いますし、快適だからいいというものではないわけです。
ただ邑久光明園でいえば、完全な離島だったところに橋が出来て、自由に行き来ができるようになってからは色々と出掛けられるようになり、買い物に行ったり海外旅行に行ったりと活動的な方もいらっしゃいます。またみなさん時間があるので、趣味をお持ちの方はそれぞれとてもお上手だという印象があります。

Q:県民向けにはどういったことをされていますか。

もっともっとハンセン病を知っていただくための啓発ということで、県内の小中学校や大学で講演会をしたり、啓発リーフレットを作ったりしています。仮に今ではハンセン病に対する偏見はほとんどなくなっているとしても、過去にこういったひどい事実があったのだという歴史を伝えていくことが大切です。こういった誤解や偏見は、えてして無知からくるもので、いかにわかりやすく丁寧に伝えていくかが重要だと思います。

☆☆☆人権カレンダー10月☆☆☆

  • 里親月間

厚生省(現:厚生労働省)が昭和29(1954年)から実施。この期間、里親・職親の登録促進、児童委託の促進、里親の養育技術の向上と相互連携の強化が図られ、里親の研修会や一日里親等の行事が行われています。

  • 臓器移植普及推進月間

平成9年(1993年)10月に「臓器移植法」が施行されたことにちなみ、毎年10月は「臓器移植普及推進月間」と定められています。月間中は、厚生労働省、地方公共団体、(社)日本臓器移植ネットワークなど関係団体が連携・協力し、「臓器移植推進国民大会」や講演会など、臓器移植に対する理解と協力のための普及啓発活動を集中的に実施します。

  • 1日法の日

「法の日」は昭和3年(1928年)10月1日に陪審法が施行されたことにより、翌昭和4年(1929年)から「司法記念日」と定められたことに由来します。また、昭和22年(1947年)の10月1日は、最高裁判所発足後初めて最高裁判所で法廷が開かれた日です。
1959年に裁判所、検察庁、弁護士会の三者協議により提唱され、翌年の閣議了解で定められました。
この日から一週間を「法の日」週間とし、法の役割とその重要性を国民に理解してもらうことを目的として、全国各地で講演会、無料法律相談等各種行事が実施されます。
「法の日」週間記念行事

  • 1日国際高齢者デー

国連総会は1990年12月14日の決議によって、10月1日を「国際高齢者デー」に制定しました。これは、1982年の高齢者問題世界会議で採択され、同年に国連総会によって承認を得た「高齢化に関するウィーン国際行動計画」など、国連が主導してきたものを受けてのものです。

  • 10日世界メンタルヘルスデー

1992年にNGO世界精神衛生連盟(WFMH)が、メンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、人々に体験発表の場を設けるために10日を世界メンタルヘルスデーと定めました。WHO(世界保健機構)も協賛し、国際デーとなりました。

  • 9日~16日男女共同参画社会をめざす「パートナーしがの強調週間」

■じんけん豆知識 グリーンリボンキャンペーン~話してみよう、移植のこと~

10月は臓器移植普及推進月間です。平成22年の改正法施行を受け、事例が増えるなど注目を集めている移植医療ですが、さらなる理解と意思表示の大切さを訴えるグリーンリボンキャンペーンが展開されています。

グリーンリボン
  • グリーンリボンとは

グリーンリボンは、世界的な移植医療のシンボルです。グリーンは成長と新しいいのちを意味するといわれ、“Gift of life”(いのちの贈りもの)によって結ばれた臓器提供者(ドナー)と移植が必要な患者さん(レシピエント)の“いのち”のつながりを表現しています。
日本では、移植医療についてより多くの人に理解してもらうため、(社)日本臓器移植ネットワークが中心となり3年前からキャンペーンが実施されています。特に今年は「話そう。大切な人と」をメインテーマに一人ひとりが「考える」だけでなく、みんなで「話す」ことの大切さを訴えています。

  • 意思表示の大切さ

以前は書面による本人の意思表示がなければ脳死での提供はできませんでした。しかし、平成22年7月から、本人の意思が不明な場合は家族の承諾で脳死での提供が行えるようになりました。そのため、自分に万が一のことがあった時大切な家族が迷ったり悩んだりしなくていいように、意思表示カードを書くことはもとより、日頃から話し合っておくなど、自分の希望を家族などに伝えておくことが大切です。

意思表示カード
  • 意思表示の方法
  1. 臓器提供意思表示カード
  2. 保険証、運転免許証に記入する(記入欄がない場合はシールを貼る)
  3. (社)日本臓器移植ネットワークのホームページで登録する (外部サイト,別ウィンドウで開く)

※いずれの方法でも、「提供しない」意思を示すこともできます。また、臓器ごとに提供する、しないを選択することも可能です。

移植医療は、人の命に関わる大きな問題ですから、人それぞれ色々な考え方があっていいと思います。これを機会に、移植のこと、命のこと、考えて話し合ってみてはいかがでしょうか。

グリーンリボンキャンペーンのサイト

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県内

  • Gネットシネマ「アンネの日記」

日時:10月21日(金曜日)10時00分~
場所:滋賀県男女共同参画センター

  • 公開講演会「私は仕事も家族も決してあきらめない。」

日時:10月22日(土曜日) 13時30分~15時00分
場所:“G−NETしが” 大ホール
講師:株式会社東レ経営研究所 特別顧問 佐々木 常夫さん
チケット当日券:1200円

県外

  • 堺市立舳松人権歴史館企画展「塩穴村の歴史から部落差別を考える~前近代~」

期間:5月2日(月曜日)~10月29日(土曜日)

  • リバティおおさか特別展「モダンガールズ青踏の時代」

期間:11月6日(日曜日)まで

女性の生と性を考えるセミナー

  1. シングルマザーと労働問題…10月1日(土曜日)14時00分~16時00分
  2. 女性のライフスタイルと家族…10月8日(土曜日)14時00分~16時00分
  3. 生と性の自己決定…10月22日(土曜日)14時00分~16時00分
  • ピースおおさか

ウィークエンドシネマ「さくら隊散る」日時:10月1日(土曜日)・10月8日(土曜日)・10月15日(土曜日)・10月22日(土曜日)14時00分~

http://www.peace-osaka.or.jp/

  • 人権啓発フェスティバル「京都ヒューマンフェスタ2011」

日時:10月16日(日曜日)10時30分〜
場所:京都テルサ
内容:間寛平トークショー等
問い合わせ先:京都府人権啓発推進室075(414)4271

  • セミナー企画「性をこどもとどう話す?伝える?」

日時:10月7日(金曜日)開場18時00分講演18時30分~20時30分
場所:らいとぴあ213F視聴覚室

編集後記

リビアのカダフィ政権が崩壊して約1ヶ月が経ちました。新政府が国連に認められるなど明るい兆しも見えているようです。しかし、そこに至るまでの過程でたくさんの人が弾圧され命を落としたことを思うと、複雑な思いがします。また自由や権利を求めることの力強さや大変さを改めて感じました。

多くの人の努力や覚悟によって為し得た革命だからこそ、だれにとっても住みやすい国になってほしいと思います。

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FAX番号:077-528-4852
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