「わからない」だから「かわらない」そんなあなたの人権意識
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あなたの「わかりたい」を応援したい。人権施策推進課では、そんな思いで毎月「じんけん通信」を発行しています。ブラウザの「お気に入り」に入れていただければ感激です。
平成23年(2011年)6月(第38号)
Q: ピースマムを始められたきっかけは何ですか。
「滋賀の働くママを応援したい」ということです。ピースマムを始める前から、私自身4歳と7歳の子どもを育てながらフリーライターの仕事をしていて、自分のような立場の女性が読むフリーペーパーがそれまで滋賀県にはなかったので、作ってみたいなと思いました。それが2年半ほど前のことです。
Q:ピースマムプロジェクトとはどういったものですか。
ピースマムプロジェクトでは、「滋賀の子育てをもっと楽しくしたい」「子ども達に色々な経験をさせたい」という思いから、ピースマムの発行だけでなく、多くの企業の協力、応援のもと、子育てに関する色々なイベントを企画しています。そこでお母さん同士が仲良くなったり、出会うきっかけを提供することが目的で、これは紙やホームページの世界だけではできないことだと思います。
Q:具体的にはどのようなことがありますか。
例えば、一番人気の「シネマdeおはなしえほん」というイベントは、映画館のスクリーンに絵本を投影して生で朗読するというもので、毎回100組ほどの参加があるのですが、ここでもお母さん同士の会話が盛んです。こういうイベントは滋賀で初めてだったので、物珍しさもあってか毎回盛況で、今ではうちの代名詞になっています。
現在子育ての中で本の読み聞かせが注目されていますが、図書館や児童館などで行われる読み聞かせとは違い、ショッピングモールの中の映画館でやるので図書館などにあまり行かないお母さんでも気軽に来てもらうことができ、幅広い世代に参加していただいています。
他にはお母さん自身が講師となって実施する講座というのも増えてきています。お母さんの中には資格を持っていたり、器用な方も多いので、「私こういうことできるよ」という声を拾って、ピースマムとお付き合いのあるところで場所を確保し、ピースマムでお知らせをして参加者を募る…というような流れです。何かやってみたいという方に能力を発揮するステージを提供するとともに、参加される側も安くて気軽にできるのでとても好評です。特にベビーマッサージなど子どもに関することはママさんがやっぱり詳しいのでそういうものが多いです。「いかにも」というのではなくて、自然に参加できて身近な交流ができる企画を心がけています。
また、公民館など公共的な施設ではなくて、企業が持っている空きスペースを利用しているので、「来てもらいたい」企業と、「やりたい」というニーズを両方知っている私たちがうまくつないで情報発信することで、誰にとってもプラスなように、というのが特徴です。
Q:現在どれくらいの読者さんがいらっしゃるのでしょうか。
ピースマムの発行部数は15,000部から始め、現在は25,000部でホームページにもアップしていますし、あとケータイ会員さんが約30,000人で、その方たちに向けて週二回メルマガを発信しています。主婦の方はパソコンよりも圧倒的にケータイ派が多くて、アンケートなんかを送るとすぐに返してくださるんですよ。
Q:廣瀬さん自身働くママさんですが、両立するのは大変じゃないですか。
このマム企画という部署にはママじゃない人もいるのですが、私が保育園のお迎えに行かないといけないときなど色々と補ってくれていますし、会社としても両立できるように支援してくれています。
家族も土日のイベントにはよく顔を出していますし、働く姿を見せつつ、子ども達にも楽しんでもらえれば一石二鳥かなと思っています。
仕事と家事だけだとリフレッシュする機会がないので、働くママのコミュニティーを作って交流することで勇気をもらえればとフラダンスサークルもやっていたりします。
Q:読者の方の反応はいかがですか。
毎号働くママを紹介するページを設けているのですが、「ここを読むと元気が出る、という声をよく聞きます。時間のやりくりなんかも載せているので参考にしたり、働いているお母さんはなかなか情報交換ができずに孤立しがちなので、自分だけじゃないんだということを感じてもらえればと思って作っています。また次号から育児するパパも取り上げる予定です。
Q:読者の声の中で多く寄せられるのはどのような意見ですか。
子どもとお出かけできる場所を紹介してほしいです、という声が一番多いです。滋賀県はそういった場所が結構多いと思うのですが、お母さん達の周りにはなかなか情報が届いていないようで、自分と同じような人と出会える場所であったり、ママ友同士お互いの家以外で、一緒に出かけられる場所を求めておられます。それは専業主婦であっても仕事をしている方でも必要な情報だと思います。
他にも子どもと参加できるイベントや子どもに食べさせたい料理のレシピなど、読者の要望に合わせて情報提供しています。働いているお母さんでも、時間のかけ方や手作りにこだわっている方もたくさんいらっしゃるので、単に時間を短縮することばかりではなくて、要所要所での時間のかけ方や子どもとの関わり方を提案するようにしています。これは私自身が感じているところですが、たとえ短い時間でも何かとっておきのことをしてあげれば子どもの心には残ると思うので。高いお金をかけて行くところだけではなくて、ここでなら密度の濃い時間が子どもと過ごせるよ、といった発信ができればいいな、と思っています
Q: 地域でのつながりはどうでしょうか。
市町で何か行事をすると、どうしてもそこに住んでおられる方が対象になってしまいますが、そうするとお母さん達のコミュニティーがずっと狭いままになってしまいます。これは私の持論ですが、小学校に上がると地域のコミュニティーは切っても切れなくなるので、乳幼児の間はもっと枠を広げて他市の方とお友達になっておく期間だと思うんです。特に今は児童館の利用が各市町単位で制限されているのでそれがとても残念だなと思います。例えば守山と草津と大津と…というような広いコミュニティーを小さいうちに持っておく方が、大きくなってからも情報交換をしたり相談したりする上でいいのではないかなと思うんです。小さなコミュニティーのままだと、小中高とずっと同じところで付き合っていくことになるので、昔とは違いそれがストレスになることもあります。多くの情報があれば、自分の地域のよさも見えてくるし、他でよいところがあれば取り入れることもできると思います。同じところだけで一緒の不満を持っていても何も変わらないので。
そういう意味では、ピースマムは県内どの地域から来ていただいてもいいですし、南部でやったイベントが好評であれば北部に広がることもあります。
Q:子育てする環境としてはどのように感じておられますか。
周りを見てみると滋賀県ではおじいちゃん、おばあちゃんの手助けで仕事との両立をしているケースがとても多くて、おじいちゃん、おばあちゃんがいるからなんとかなってます、という声も聞くんです。そこで、おじいちゃん、おばあちゃん向けの情報発信もしています。ただ逆を言えば、親が県外にいると両立は難しいのかなという印象も持ちます。やっぱり色んな人や制度を利用して仕事との両立ができるようになればいいなと思います。
Q:お悩み相談の欄もあるんですね。
このコーナーもすごく人気で、メールで気軽にできるせいかたくさんの応募があるんです。ところがこの反響を元に子育て相談セミナーを開催したのですが、それにはほとんど参加がありませんでした。メールであれば友達に相談するような感覚でできるけれども、どこかに行って悩みを専門家に打ち明けるとなると、なかなか難しいのだと思います。
Q:県では「住み心地日本一の滋賀」を目指して、仕事と子育ての両立ができる理想の姿「滋賀スタイル」を提案していますが、これからどういった社会になるべきだと思われますか。
ピースマムとしては、「滋賀のお母さんが日本一元気」といわれるような社会を目指したいと思っています。女性、特に主婦やママの層が元気な街っていうのは、コミュニティーも、経済的にも、教育面でもいいと思うので。もちろんお母さんが輝くためにはお父さんのサポートが必要ですし、そこをうまく両立している人が日本一多い街になればいいな、と思っています。
最近よく言っているのが、何か新しいことを始めるときに何かをやめなくちゃいけないという考え方はなくてもいいんじゃないかということで、やってみて、両立する方法を考える方が建設的ではないかと思うんです。案外やり始めてみると行政のフォローや色々なサービスが見えてくる場合もあるので、「やってみよう、じゃあこれをやめなきゃ」なんていう風に考えるのはやめましょう、といっています。
Q: 最後にメッセージを。
ピースマムをご覧になったことのない方には一度手に取っていただきたいですし、県内の子育てママさん全員がピースマムの会員になってもらって、みんながつながればいいなと思っています。また子育て支援に関心の高い企業さんに「ピーマム応援団」として登録してもらって、PRしたり協力してもらったりしているのですが、それも随時募集しています。今後も読者や参加者のニーズを企画にして、長く続けていけるように頑張っていきたいです。
ピースマムHP:http://www.peace-mom.net/
※ピースマムの送付を希望される場合は、10名から可能です。また、問い合わせれば、在庫のある設置場所を教えていただけます。(0748-36-6689)
☆☆☆人権カレンダー6月☆☆☆
人権擁護委員は、法務大臣の委嘱を受けて、地域の人に人権に関する啓発活動や人権相談などを行っています。全国人権擁護委員連合会では、人権擁護委員法が施行された日を記念して、毎年6月1日を「人権擁護委員の日」と定め、「全国一斉人権擁護委員の日特設人権相談所」を開設したり、人権への理解を深めてもらうための活動に取り組んでいます。
※県内の特設人権相談所一覧:http://www.moj.go.jp/jinkennet/shiga/img/kaisetu.pdf
1982年(昭和57年)8月19日、パレスチナ問題に関する国連緊急特別総会において、「非常に多数の罪のないパレスチナとレバノンの子どもがイスラエルの侵略行為の犠牲になったことに震撼させられた」ことから、毎年6月4日を「侵略による罪のない幼児犠牲者の国際デー」と定めることを決定しました。
1972年(昭和47年)12月15日の国連総会決議により、環境保全の必要性に対する一般の意識を高めるため、6月5日が「世界環境デー」に指定されました。6月5日という日付は、国連環境計画(UNEP)の創設につながった国連人間環境会議(1972年(昭和47年)、ストックホルム)の開会日に由来しています。
2002年(平成14年)にILO(国際労働機関)が最悪の形態の児童労働廃絶を呼びかけるために定めました。毎年世界各地で様々な活動が展開されます。詳しくはこちらのキャンペーンサイトをご覧ください。
http://stopchildlabour.jp/
2001年(平成13年)が難民の地位に関する条約(1951年(昭和26年))の50周年にあたること、また、アフリカ統一機構(OAU)が6月20日の「アフリカ難民の日」と同日に国際的な難民の日を設けることに同意したことに留意し、国連総会は2000年(平成12年)12月4日、翌2001年(平成13年)より6月20日を「世界難民の日」と定めることを決定しました。[注:OAUは2002年(平成14年)7月9日にアフリカ連合(AU)へと改組]
厚生省(現厚生労働省)が1964年(昭和39年)に制定。1931年(昭和6年)にらい病(ハンセン病)の予防と患者の救済に深い関心を寄せられていた大正天皇の后・貞明皇后の誕生日(6月25日)を記念して始められました。その後ハンセン病に対する正しい知識をさらに普及させ偏見をなくしていくために、6月25日を含む一週間を「ハンセン病を正しく理解する週間」として、いろいろな行事を行うようになりました。
男女共同参画推進本部が2000年(平成12年)12月に制定。「男女共同参画基本法」の公布・施行日である1999年(平成11年)6月23日を踏まえたもので、2001年(平成13年)から様々な取り組みを実施しています。本年度のキャッチフレーズは「チャンスを分かち、未来を拓こう」に決まっています。
国連総会は1987年(昭和62年)、薬物乱用なき国際社会という目標の達成に向けてさらなる行動と協力を促進する決意の表明として、6月26日を「国際薬物乱用・不正取引防止デー」と決定しました。この決議は、1987年(昭和62年)6月26日に「薬物乱用統制における将来の包括的多面性アウトライン」を採択した「薬物乱用・不正取引防止に関する国際会議」の勧告に従い、同12月7日に採択されたものです。
国連総会は1997年(平成9年)、経済社会理事会の勧告を受け、6月26日を「拷問の犠牲者を支援する国際デー」と宣言しました。この日を設けるねらいは、拷問を根絶させ、また1987年6月26日に発効した1984年(昭和59年)の「拷問およびその他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰を禁止する条約」を有効に機能させる点にあります。
6月20日~26日は「ハンセン病を正しく理解する週間」です。また今年はハンセン病の隔離政策が違憲であったとの判決が下されてちょうど10年になります。
ハンセン病は「らい菌」という細菌によって引き起こされる感染症です。その感染力は極めて弱く、日常生活で感染することはありません。現在は様々な治療薬があり、適切な治療によって必ず治る病気になっています。しかし昔は「らい病」と呼ばれ、遺伝病のように考えられたり、特効薬もなかったため不治の病として恐れられていました。
1929年(昭和4年)に、ハンセン病患者を見つけ出して療養所に強制的に入所させる「無らい県運動」ががはじまりました。また1931年(昭和6年)に癩予防法が成立し、全ての患者を強制的に入所させ、隔離する政策がとられました。療養所では、自由に外出することもできず、結婚に際しては断種や堕胎を強制されるなど人権侵害が行われました。また、患者の家族も厳しい差別を受け、そのために本名を名乗ることもできませんでした。
特効薬の使用が開始され治療が進んでいく中でも、法律は存続し、1996年(平成8年)にようやく廃止されました。また1998年(平成10年)に違憲国家賠償請求が提訴され、平成13年に熊本地裁が違憲判決を出し、国側は控訴を断念し、謝罪しました。これにより、患者、元患者に対して保障制度や給付金制度ができ、社会復帰する人もいました。しかし、今なおハンセン病に対する偏見は残っており、これからも正しい理解を広め、偏見をなくす努力をしていかなければなりません。
県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。
日時:6月24日(金曜日)10時~
場所:県立男女共同参画センター視聴覚室
詳しくはこちら
期間:5月2日(月曜日)~10月29日(土曜日)
期間:5月1日(金曜日)~8月31日(水曜日)
http://www1.mahoroba.ne.jp/~suihei/sui04.html
日時:6月10日(金曜日)18時30分~20時30分
場所:京都市左京西部いきいき市民活動センター第1会議室
http://www.asahi-net.or.jp/~qm8m-ndmt/
日時:6月11日(土曜日)14時~
日時:6月4日(土曜日)/6月11日(土曜日)/6月18日(土曜日)14時00分~
入館料等はこちらをご覧ください。http://www.peace-osaka.or.jp/
現在滋賀県では福島県に対して継続的な災害支援をしていますが、現地では原発事故に伴う風評被害が産業をはじめとする様々な分野に大きな打撃を与えています。また一方で、県外に転校した子どもがいじめられたり、福島県からの避難者がホテルへの宿泊を拒否されるなど、人に対する偏見や差別も多数見受けられます。
これらは放射能に対する正しい理解がないために起こることです。豆知識で取り上げたハンセン病もそうですが、正しい知識がないと、根拠のない思いこみや恐怖心から人権侵害につながってしまいます。事実を正しく理解し、差別のない社会にしていきたいものです。
編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課