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「じんけん通信」(第36号)

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じんけん通信

平成23年(2011年)4月(第36号) 

パピーウォーカーの表札
  • 27日は国際盲導犬の日です。
  • 盲導犬を扱った小説、映画、マンガなどで、また講座や街中で盲導犬を見かける機会も増え、盲導犬に対する理解は一昔前に比べると進んでいるのではないでしょうか。
  • また最近ではその幼少期の育成に関わるボランティア「パピーウォーカー」も取り上げられるようになってきました。県内でも現在15名の方がパピーウォーカーとして盲導犬の卵たちを育てています。
  • そこで今回は守山でパピーウォーカーとして盲導犬候補のジャーニー(ラブラドール・生後5ヶ月)と暮らす松田さん宅にお邪魔し、(公益財団法人)関西盲導犬協会の福井さんと一緒にお話を伺いました。

特集 盲導犬と人権

Q:まず、盲導犬というのはどのようにして育てられるのか教えていただけますでしょうか。

福井さん:盲導犬を育成する場合の特徴的なことは、警察犬などの育成と比べるとボランティアの方の関与が圧倒的に多いということがあります。
盲導犬は、最終的に人間と一緒に生活をする犬であり、そのために適応能力が高くないといけません。 ボランティアさんとの関わりの中でうまく適応できるか見ることができます。 協会がすべて育てるわけにはいきませんので、ボランティアの方に飼っていただくことになります。
協会には訓練部と事務部があり、それぞれ10人ずついます。私は訓練士ですが、今はパピーウォーカーと啓発の担当をしています。 常時訓練をしている訓練士は3、4人です。

福井さん

Q:育成の一部をパピーウォーカーさんにお願いすることで、より多くの盲導犬を育成しようとされているのですね。盲導犬にはラブラドールという犬種が多いと聞きますが・・・。

福井さん:そうです。ラブラドールは人間社会に適応する能力が高く、人を選ぶということもありません。 世界何十か国で盲導犬は活躍していますが、その90%以上がラブラドールです。ゴールデンリトリバーという犬種もいますが、ややプライドが高いというか人を選ぶというところがあります。繁殖犬と生後間もない子犬は、繁殖犬のボランティアさんのところで育てられます。

Q:繁殖犬ボランティアの方は滋賀県内に何人くらいおられるのですか。

福井さん :繁殖犬ボランティアの方は滋賀県内には1名しかおられません。盲導犬協会は京都府の亀岡市にあることから、そこまで頻繁に来ていただくのは大変ということもあります。 滋賀県内はこれからだと思っています。

Q:パピーウォーカーさんのところへ盲導犬候補の犬が来るのは、生後、何日目くらいなのですか。

福井さん:そうですね、離乳が完全に終わり歯が生えてくる生後50~60日くらい経過した頃に、繁殖犬ボランティアさんからパピーウォーカーさんのところに来て、預かってもらうことになります。
繁殖犬ボランティアの方に気をつけていただくのは健康管理ですが、パピーウォーカーさんの重要な役割は犬社会と人間社会の架け橋になっていただくということです。それがあってはじめて訓練士が犬と一緒に共通言語を作りながら訓練していくことができます。

(ジャーニーがしっぽを振って近寄ってくる。)

福井さん:このように人に寄ってきてしっぽを振る犬は非常に訓練しやすいです。無反応な犬だと訓練が進みにくいのです。コミュニケーションを取りやすくなるためには、家族の一員として扱われ、人が何か言えば反応するということが大切です。 

ジャニー1

Q:盲導犬候補の犬すべてが盲導犬になるための訓練を受けるとは限らないと聞いていますが、それはどういった点を基準にして決められるのですか。

福井さん: 盲導犬になれるのは10頭のうちだいたい3~4頭です。
盲導犬になれない要因の約7割は性格的なものです。多いのは不安が強い犬で、例えば雷とか運動会のピストルの音とかを聞いて萎縮して怖がってしまうというもの。それから他の犬への反応で、興奮してしまう興奮症というのも盲導犬になれない大きな理由です。 あとの3割は健康上の理由です。関節系が弱く長時間歩くのには向いていない場合もあります。
パピーウォーカー中に不適格になるということはほとんどありません。1歳までは性格的なことも固まらないので適格性を判断するのが非常に難しく、実際には訓練の中で盲導犬になれないということがわかってくるというのがほとんどです。

Q:盲導犬への命令というのは、いくつくらいあるのですか。

福井さん:よく使う命令は約10個くらいです。
盲導犬の一番のメリットは、白杖と比べて真っ直ぐ早く歩けるということです。訓練ではそれをメインに教えていくんですが、目の見えない方が当然自分が真っ直ぐと思っている方向と、実際の真っ直ぐな方向は違うことがあります。その場合、犬が正しい方向に誘導するんですけれど、ある程度体重がないと人を引っ張ることができません。だいたい体重20キロ以上が必要です。

Q:介助犬はドアを開けたり、物を引っ張ったりということをしますが、これくらいの大きな犬だとそういった命令も教えようと思えば教えることができるのですか。

福井さん :教えようと思えば教えられます。しかし、盲導犬の仕事はドアのノブまで鼻をつけることで、そこから先は人間の仕事ということになります。
最近、よくガラス張りの建物があります。中は見えているのですがどこから入ればよいのかわからなくて犬も困ってしまうということがよくあります。 また、自動ドアでタッチすると開くものもありますが、そういったことも犬に教えていかなければならないので難しいです。

Q:盲導犬ユーザーの方が実際使用されるのは、何年くらいなのでしょうか。

福井さん:基準としては2歳から10歳までの8年間、盲導犬として活躍します。 パピーウォーカーさんのところで10か月。そして1歳から訓練を開始して、8~10か月で盲導犬になります。その後、視覚障害者の方との共同訓練を経て、全部の訓練が終わると2歳くらいになります。
ラブラドールの寿命は13~14歳です。10歳というと人間でいうと60歳くらいでまだまだ元気なうちに引退させて、引退犬のボランティアさんのところで早く適応して、残りの犬生を過ごさせてあげようとしています。以前は12歳ころまで盲導犬をさせることもざらにありました。ユーザーさんも10年使うとかなり情も移りますので、10歳の誕生日で引退と決めておけば、次の盲導犬を持つときに協会としても計画しやすいということもあります。次の盲導犬を用意しておいて、引退すると同時に次の訓練に入ることでスムーズな引き継ぎをしたいと思っています。

Q:繁殖犬ボランティア、パピーウォーカー、訓練士、ユーザー、引退犬のボランティアと5つの段階で人間界との接触がありますが、盲導犬としてはユーザーが一番長く親密度もあると思いますが、パピーウォーカーと過ごしたときのことは、最期の時まで覚えているものでしょうか。

福井さん :覚えています。最初に出会った濃厚な人間との関係ですから、絶対忘れないです。本能的なもので、においを覚えていて強烈に印象に残っているのだと思います。
こうしたことからパピーウォーカーさんが育てた犬が盲導犬を引退したとき、引退犬ボランティアとして育てられることもあります。

松田さん

Q:松田さんがパピーウォーカーをしようと思われたきっかけはなんですか。

松田さん:テレビなどでパピーウォーカーのことは以前から知っていましたが、去年の4月頃、たまたま新聞でパピーウォーカーの募集範囲がこれまで大津までだったのが湖南まで拡大されたという記事を読みました。
ちょうどその頃、私たちも犬を飼いたいと思っていました。他のペットを飼うとパピーウォーカーができないということだったので、今しかできないですし、子どもにも何か得られるものが大きいのではないかと思いまして申し込みました。

Q:パピーウォーカーさんの募集範囲が湖南エリアまで拡大されたということですが、それ以北は協会から遠すぎて、ボランティアの方と十分なやりとりができないということなのでしょうか。

福井さん: そうですね。毎月、亀岡市の協会まで来ていただくか、こちらから伺うということになります。草津、守山はこれまでから結構問い合わせが多かったのでエリアを拡大しました。 近江八幡エリアはちょっと遠いですし、あまり問いあわせもありませんでした。もし、まとまって声がかかれば協会としても考えたいと思っています。
滋賀県は京都に比べて家も広いですし、また、希望ヶ丘みたいな公園もありますので、パピーウォーカーをするのに向いていると思います。

Q:松田さんは、パピーウォーカーになられてまだあまり日が経っていませんが、どんな感じでしょうか。

松田さん:大変なこともありますけれど、すごく楽しいの一言です。私自身は大型犬を飼うのは初めてなのでとまどうこともいっぱいありますが、協会の方がフォローしてくださるので安心して飼うことができます。子どももすごく喜んでいます。近所の方もこの犬が盲導犬になる犬なんだということで、すごく注目してくださっていて、頑張ってという声もよく掛けて貰います。

Q:パピーウォーカーになるにはどのようなことが必要ですか。

福井さん: パピーウォーカーになる条件として一番大事なことは、家の中で飼うということと留守がちでないということです。
共働きはもちろん、例えば奥さんが午前中だけパートに出るというのも、トイレトレーニングができないですし、犬が不安になってしまいます。犬をケージに閉じこめっぱなしになってしまいますので好ましくないですね。その2つがすごく大事な条件ですね。もちろん、1、2時間の買い物は全然大丈夫です。

(横で寝ているジャーニーを見て)

こういうふうに、人の横で犬が安心して寝られるという環境が理想的です。人の気配を感じて犬が安心するというのが最高の関係です。

Q:今が人との関係が築かれる大事な時期ということですか。

福井さん: 人と一緒にいると安心できるのだなと犬が感じてくれると訓練中もそれが生かされます。「大丈夫」というと、犬も「大丈夫」と思ってくれます。
子どもさんとかお年寄りとかが一緒に住まわれていると、いろんな人と交流ができていいと思います。たまに小さい子どもが怖いという犬がいます。松田さんみたいなご家庭だとそういうことはありません。犬は子どもがいても大丈夫とわかっています。

Q:ジャーニーがこの家に来てからどれくらいになるのですか。

松田さん :昨年の12月19日に来たので、もう3か月くらいですね。 だいぶん慣れましたが、トイレトレーニングは大変で、それが一番の悩みです。

Q:ご家族の反応はいかがですか。

松田さん:さっきも一番上の息子が言ってたんですが、ジャーニーのいない生活は考えられないって言ってました(笑)。もう家族の一員になった感じで、どこに行くのも一緒です。

Q:家族の一員となって過ごすということが大切なんですね。

福井さん:そうです。そうすることで車にも慣れてくれますし、一通りの人間生活をパピーウォーカーさんのところで経験できます。その10か月の生活には、雷であったり、運動会であったりいろんなことが一通り詰まっています。こういった経験は、盲導犬訓練センターではなかなかできないことです。

Q:パピーウォーカーさんに求められるのは、やはり愛情を持って飼うということにつきるのでしょうか。

福井さん: はい、その一言です。
生活については、社会的に最低限必要なマナーを守っていただくということです。それは、人が食卓に座ったまま食べ物を与えないことと、ベットで犬と一緒に寝ないということです。 食卓から物を貰うことに慣れると、人がレストランでご飯を食べる時に、盲導犬がよだれを垂らしていると言われてしまうことがあります。パブロフの条件反射みたいなものです。

(ジャーニーが横で寝ている姿を見ながら)

また、このように人間がテーブルに座ると自分は関係ないという感じで寝ているという習慣がすごく大切です。
そういう最低限のルールさえ守っていただければ、あとは愛情を持って飼っていただくだけです。

ジャニー2

Q:1歳になると別れることになりますが、子どもさんは寂しいでしょうね。

松田:上の子はそれが嫌でパピーウォーカーになるのを最後まで反対していました。別れる時はきっと寂しいと思います。でも、かえって愛情を濃くして、密に過ごしてあげようという感覚はあると思います。

Q:今日の午前中には、パピーウォーカーさん同士のふれあいの場があったとお聞きしていますが。

福井さん:取組をはじめて2回目になります。滋賀県でもパピーウォーカーさんが15名くらいに増えてきましたので、みんなが集まる会があったらいいのではないかということで始めました。
今日は、来月パピーウォーカーを卒業される方も2名いらっしゃいました。いろんな大きさの犬をつれて、さまざまな経験をしたパピーウォーカーさんが集まって、こういうことがあったよとか失敗談なんかも話してもらえるので、初めての方にはすごく助かっているようです。パピーウォーカーさん同士で話してもらうのが一番だと思います。

松田さん:毎回、ためになります。「こういうことは誰にでもあるんや、私だけではなかったんや」と安心したりできます。

Q:日課というのはだいたい決まっているのですか。

松田さん:一番下の子が幼稚園なので、天気が良いときは、子どもを幼稚園に送りがてら一緒に行って、その帰りにいろんなルートを通って散歩しながら帰ってきます。夕方にもう一回散歩に出ます。そのときは子どもが付いてきます。

Q:子どもさんがいる家で育てられるということはどうなんでしょうか。

福井さん:子どもさんがいる家で育つと少々のことでは動じなくなってきます。子ども同士がケンカしてても関係ないというふうに寝ていられる、そういうことが大事です。子どもとあまり接したことがない犬はうなったりするんですよ。子どもは大人と違う動きをしますよね。それが怖いみたいです。

Q:ドッグフードなど協会から支給されるのですか。

福井さん:はい、協会から出します。ケージもお貸ししています。パピーウォーカーさんに負担していただくのはトイレトレーなどのトイレ関係だけです。動物病院も協会が提携しているところがあり、診察してもらったら協会に請求がくるようになっています。
犬を飼ったことがないという人で、パピーウォーカーになって犬の飼い方を習いたいという人もいます。協会から一通りの犬具をお貸しするので、だいたいこういう物をそろえればいいのだなということがわかります。また、それがきっかけでずっとパピーウォーカーを続けていただく方もおられます。

(松田さんの家にあるケージを指さしながら)

あの黒いケージですが、ああいうふうに眠くなったらケージに入るという習慣は非常に良いことです。あそこを自分の部屋だと思っているんですね。子どもさんには、あそこに入っていれば犬を引き出さないでとお願いしています。ケージは閉じこめるお仕置き部屋では絶対なくて、自分の部屋という、そこにいれば絶対邪魔されないという場所です。

Q:盲導犬はハーネスをつけている間ずっと仕事というイメージですが、盲導犬自身はどういうふうに思っているのでしょうかね。

福井さん: 先ほど盲導犬になるのは3割くらいといいましたが、盲導犬に向いていない犬、人間にほめてもらっても喜ばない犬、あまり反応しない犬はまず盲導犬にしていません。人とのやりとりを楽しめる犬を盲導犬にしていますので、いやいやハーネスをつけられてということではありません。
盲導犬に向いているもう一つの素質はよく寝るということです。盲導犬はずっと仕事をしているイメージがありますが、例えば眼がみえる方も見えない方も1日に歩くのは1時間もあるかないかです。あとの23時間は何をしているのかといえば寝ています。ですから、がさがさしている犬よりはよく寝る犬が向いています。
あと一つは1時間に頭の切り替えができて仕事をちゃんとしてくれる犬です。短い時間に集中するというのはすごく大切です。

Q:人間が外に出て仕事している時間はメリハリをつけて仕事をして、家に帰ってきたらリラックスということになるのですね。

福井さん:盲導犬は家ではよき家庭犬ですし、外でハーネスをつけているときは、僕らは”ルールのある散歩”だといっています。すごく過酷な労働をさせているように見えますが、犬がする仕事は基本的には、左の壁に沿って歩くということ、段差で止まること、交差点で止まることの3つですね。私たちが車を運転するときに交通ルールを守るのと同じような感覚で、盲導犬も交通ルールを守りながら散歩しているんですね。ですから、そのルールをきちっと守っているのをほめてやると盲導犬も意欲がわいて嬉しいということです。

Q:いやいや仕事をしているのではないんだよということですね。自分が役立っているということに喜びを感じて人をサポートしている、そういう面では自己を実現し輝いているということが言えますね。

福井さん:もう一つの面から言いますと、家庭犬は人間と一緒に外に出るというのはなかなか難しいのですが、盲導犬というのはユーザーと一緒にどこにでも外出できます。元々人が好きな犬ですから、人と24時間一緒に生活できるというのは盲導犬にとってはすごく幸せなことかなと思います。

Q:別れの時は必ず来ると思いますが、それ以降は、それっきりになるのか、あるいはパピーウォーカーさんとはやりとりはあるのでしょうか。

福井さん:訓練の進捗状況は、パピーウォーカーさんに逐一お伝えしています。一生の別れのようによく言われますが、ほとんどの場合は、別れた後も必ず会えます。正月とかゴールデンウィークとか訓練士がお休みの時に、一時預かりしていただくことがあります。また、盲導犬にならなかった場合は、キャリアチェンジボランティアというのですが、一般家庭に引き取られる前に1週間ほど預かって貰えます。訓練がある程度終わった後に盲導犬になれなかったとしても大人になった姿を見て貰えるということです。

Q:一時預かりというのはパピーウォーカーを続けながらでもできますか。

福井さん:できます。2頭一緒に預かっていただいてもいいですし、小さいほうを協会がお預かりすることもできます。ただ、2頭一緒だとケージを2つおくことになったり、いろいろ大変だと思います。
盲導犬のユーザさんと交流されるパピーウォーカーさんもおられますし、盲導犬を引退した後に引き取られるということもあります。それぞれ、どこかの時点で成長した姿が見られます。

Q:自分のところで育った犬がユーザーさんのところでどのように活躍しているのかを聞くと、また次もパピーウォーカーしてみようかなと思うでしょうね。そういう意味では非常に楽しめて社会にも貢献できる有意義なボランティアですね。

松田さん:そう思います。

福井さん:一番可愛い時に別れなければならないとよく言われるんですけども、私は一番可愛いのは(ジャーニーを見ながら)今頃だと思います(笑)。別れるときは1歳で、もう大人です。人間でいうと20歳くらいの感覚です。

Q:パピーウォーカーは日々成長していくところを見られる唯一の時期ですよね。

福井さん:例えば、10数年犬を飼うとすると、犬を買ってしまうと1頭しか見られませんが、パピーウォーカーとして飼うと、10頭も見られて、それぞれ違いがあって楽しいという方もおられます。 また、犬と死に別れた方は、もうあれはごめんだから、パピーウォーカーがいいという人もおられます。別れは別れですが、死に別れほどは辛くないだろうということだと思います。

Q:キャリアチェンジ犬のことですが、盲導犬になれなかった犬というのは、希望者に引き取って貰うのがメインになるのですか。

福井さん: そうですね。訓練を受けていた犬のうち盲導犬になれない7割の犬のほとんどは一般の家庭犬として引き取られます。キャリアチェンジ犬ボランティアは常時20~30名待っておられます。盲導犬になろうとする犬はある程度健康管理されていますので、そういう意味ではペットショップで買われるよりも安心感はあると思います。
まれに、介助犬としての特性がある犬は介助犬協会に行くこともあります。

Q:今、東北・関東のほうで大震災が起こっていますが、被害に遭われたユーザーの方もかなりおられると思いますが。

福井さん: ユーザさんで、東北方面に住まわれている方3名の安否が確認できていません。(3月18日取材日時点)それが一番心配なところです。あと、仙台に盲導犬訓練センターがあるんですが、津波による被害はなかったのですが、電気・水道が復旧していないので訓練センターとしての機能が回復していません。東北地方はかなり遅れているところが元々課題だったのですが、これから、より力を入れていかなければならないなと思います。

Q:阪神・淡路大震災の時も同じようなことがあったのでしょうか。

福井さん:その時はユーザーさんもそうですが、視覚障害者の方が避難所でトイレの場所もわからないというような状況で苦労されました。我々もサポートしようとしたんですが、避難所では悪い立場に置かれてしまうということがありました。

Q:今回の大震災の報道にも時々外国人研修生を助けたとか、やはり弱者をフォローする視点が若干生まれているのかなと思います。私たちも人権について色々取り組んでいますが、少しでも視覚障害の方は大丈夫かな、盲導犬、介助犬はどうしているのかなと思ってもらえるとありがたいと思います。
そういう面でも仙台の学校も早く復興してほしいですね。

福井さん: あちらは、水も電気もダメという状態なので、こちらで犬を預かれればと思っており、申し出もしているところです。移送手段が、人も移動できないのに犬もというとなかなか難しいとは思うんですが。

Q盲導犬についてあまり知らない方に向けて、すぐにパピーウォーカーはできなくても、こんなことをしていただければありがたいなというようなことがありますでしょうか。

福井さん:盲導犬を町で見かけたときや白杖を持たれた方を町で見かけたときにどのようなサポートができるかということについては、例えば関西盲導犬協会の見学会で手引きのやり方とか簡単な講習会をやっています。
知っているのと知らないのとでは大きな違いがあると思いますので、自分に何ができるかということを知るために一度センターに来ていただくとか、知ろうとしていただく努力をしていただきたいと思います。
あとは、簡単なところでは募金箱の設置などのサポートをしていただきたいと思います。

Q:行政としては盲導犬の役割などもっと啓発していきたいと思っていますが、盲導犬を使われているユーザーさんでも、場合によってはお手伝いしましょうかと声をかけたほうがいいのでしょうか。

福井さん: そうですね、レストランでも人と犬が並んで通れないところがあると思いますし、席がどこと言われても犬は初めての所では誘導できませんので、そういうときは店員さんに手引きしていただけるとすごく助かりますね。
あと、プラットホームが危険ですね。以前、目白駅で視覚障害者の方が転落して亡くなられたことがありました。また、柱や自動販売機があると歩きにくく、特にラッシュ時は犬と一緒に歩くのは難しいので、そのときは手引きしてもらえると非常に助かりますね。

Q:盲導犬が入れるレストランも多くなってきましたが、入店を拒否されるということはまだまだあるのでしょうか。

福井さん:例えばスターバックスとかマクドナルドとかのチェーン店はほとんど大丈夫なんですが、個人経営の飲食店などは拒否されるところもあります。

Q:パピーの場合は、盲導犬みたいにお店には入れないんでしょうか。

福井さん:入れません。アメリカやイギリスではパピーであっても、どこでも入っていけます。電車もバスも乗れますので、小さいときから経験させることができます。日本はそういう面ではまだ遅れています。補助犬法が出来ただけでも大きいと思いますが、もう一歩進めて訓練中の犬でも入れるように、新幹線でも乗れるようにしていただければと思います。

Q盲導犬を必要とする人は滋賀県には多いのですか。

福井さん:野洲エリアで結構多いですね。大津エリアから野洲エリアにユーザーさんが増えてきています。今、だいたい申し込んで頂いてから1年くらいでお渡しできるくらいにはなってきています。
滋賀エリアは盲導犬の発展という意味では今からどんどん広がっていくと思いますので、パピーウォーカーの委託エリアも含めて拡大していきたいと考えていますので、是非お問い合わせ頂きたいと思います。声を出して頂ければ協会としても、もっとエリアを拡大しようかなということになります。

Q:パピーウォーカーをしてみたいという方に何かメッセージはありますでしょうか。

松田さん: 楽しいことが多いので、是非パピーウォーカーになってみてください。希望される方が増えてくれればいいなと思います。

パピーウォーカーや飼育ボランティアに興味を持たれた方はこちらから(公益財団法人)関西盲導犬協会:http://www.kansai-guidedog.jp/

☆☆☆人権カレンダー4月☆☆☆

  • 2日世界自閉症啓発デー

平成19年12月18日の国連総会において、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」(World Autism Awareness Day)とすることが決議され、世界各地において自閉症に関する啓発の取り組みが行われています。
これに対応し、世界自閉症啓発デー・日本実行委員会が組織され、自閉症をはじめとする発達障害について、広く啓発する活動が行われています。

世界自閉症啓発デー日本実行委員会公式サイト
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/

  • 2日~8日発達障害啓発週間

日本では、4月2日の「世界自閉症啓発デー」に加え、4月2日~8日までを「発達障害啓発週間」として、関係団体や国、自治体が協力し、自閉症をはじめとする発達障害について広く啓発する活動が展開されます。

  • 7日世界保健デー

世界保健機関 (WHO) は、設立以来全世界の人々の健康を守るため、広範な活動を行っています。「世界保健デー」は、このWHOの憲章が効力を発した1948年4月7日を記念して設けられたものです。

「世界保健デー」には、毎年WHOによって国際保健医療に関するテーマが選ばれます。この日を中心に、世界各国でその年のテーマに沿ったさまざまなイベントが開催されます。

  • 10日女性の日
  • 10日~16日女性週間

1946年のこの日、戦後初の総選挙で初めて婦人参政権が行使されたことにちなみ、1949年に労働省(現在の厚生労働省)が「婦人の日」として制定し、1998年に「女性の日」に改称。この日から1週間が「女性週間」となっています。

  • 27日国際盲導犬の日

国際盲導犬学校連盟が発足したのを記念して、毎年4月の最終水曜日が「国際盲導犬の日」と定められています。

■じんけん豆知識「人を支える犬」

今回特集した盲導犬以外にも私たち人間を支えるために働いている犬はたくさんいます。みなさんはいくつ知っていますか?

1.介助犬

介助犬とは、身体の不自由な方の手助けをするために特別なトレーニングを積んだ犬です。盲導犬が目の不自由な方の目となって障害物や曲がり角の存在を知らせるように、介助犬は身体障害者の方々の手足となり、日常生活における動作の補助をします。
できること…ドアを開ける、落ちた物を拾う、指示した物を取ってくる、靴を脱がせる、車いすの牽引など

2.聴導犬

聴導犬の仕事は、家の中で音を教えるだけでなく、どこにでも同行して、聴覚障害者の方々を災害や事故に巻き込まれる危険性を回避することも期待されています。
できること…警報機や煙報知器の音を伏せて知らせる、目覚まし時計・FAX・ドアベル・赤ちゃんの泣き声など、家の中で必要な音を知らせる

盲導犬・介助犬・聴導犬を総称して「身体障害者補助犬」と言います。
啓発リーフレット(厚生労働省)

補助犬ロゴマーク

3.救助犬(レスキュードッグ)

地震などの災害時に瓦礫の中の行方不明者を捜索したり、山間部などでの行方不明者の早期発見に活躍します。
今回の東北地方太平洋沖地震でも出動しました。

4.セラピードッグ

セラピードッグは、触れ合いや交流を通じて、病気やケガまたは精神的な痛手を受けた人の不安を減らし気力を高め心と体を癒す働きをする高度な訓練を受けた犬たちです。セラピードッグを活用した医療を動物介在療法といい、またセラピー犬を連れて福祉施設や病院を訪れる活動を動物介在活動といいます。

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県内

  • 第11回 ヒューマニティーフォーラム21

日時:4月24日(日曜日)13時30分~16時20分
場所:ピアザ淡海 ピアザホール
第一部:パネルディスカッション「日本の中の多文化共生~琉球から沖縄へ400年の歴史~」
第二部:文化交流「日韓文化のコラボレーション」
http://www1.odn.ne.jp/tryjing/03-forum/index.html

県外

  • 舳松人権歴史館企画展「差別のない社会をめざして~部落解放のあゆみ~」(4月28日(木曜日)まで)
  • 柳原銀行記念資料館2011年企画展「「性同一性障害」と多様な性の在り方~男/女ではわりきれないもの~」(4月9日(土曜日)まで)
  • ピースおおさか ウィークエンドシネマ「赤錆び色の空」

日時:4月2日(土曜日)/4月9日(土曜日)/4月16日(土曜日)/4月23日(土曜日)14時00分~
入館料等はこちらをご覧ください。http://www.peace-osaka.or.jp/

  • ウイングス京都 心のバリアフリーチャリティーコンサート

講演「がんについて知っておきたい5つのこと」 他
日時:4月3日 13時~16時
事前申し込みが必要(0797-57-0007)

  • シンポジウム「同胞教団を目指して」

1.基調講演 「解放運動と浄土真宗」
講師 組坂繁之氏(部落解放同盟中央本部執行委員長)

2.パネルディスカッション 「大谷派における解放運動の今後の展望について」

3.むらの文化にふれる
「竹田の子守唄」コーラス、「肉ようかん」「さいぼし」などの試食
日時:4月6日(水曜日) 13時~17時
場所:カフェあいあう(総会所)

  • アムネスティ・インターナショナル設立50周年記念・日本コンサートツアー「ヴラダン・コチ チェロコンサート―魂の自由と人間の尊厳を求めて―」

京都:4月27日(水曜日)18時半~21時(同志社大学 寒梅館ハーディーホール)
大阪:4月30日(土曜日)15時~17時半(日本キリスト教団 豊中教会)

  • 大阪人権博物館の総合展示が新しくなりました!

総合展示 統一テーマ「私たちのいのち・社会・未来」

編集後記

東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

先月号でニュージーランドの地震に触れたときには、まさか一ヶ月後に日本で起きたこととして話題にするなど、夢にも思っていませんでした。連日報道される被害の大きさにただただ心を痛めるばかりです。

また国内外問わず各地で募金や支援活動が行われ、節電しようという動きが進むなど、心温まる場面もある一方、食料や水の買い占めやガソリンの盗難など、考えさせられるニュースも多くあります。

こんな時だからこそ、自分に何ができるかを考え、互いを思いやる気持ちを持つことが大切ではないでしょうか。

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編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課

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