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「じんけん通信」(第35号)

「わからない」だから「かわらない」そんなあなたの人権意識

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じんけん通信

平成23年(2011年)3月(第35号)

  • みなさんは「障害のある方の○○」というと何が思い浮かぶでしょうか。パラリンピックに代表されるスポーツ分野・・・。
  • 今回取り上げるのは「笑い」です。
  • 現在大学2年生で車椅子生活をされている森山慶一さんと八日市養護学校の教諭である小倉義昭先生は漫才コンビ「ホイルチェアー」としてM-1グランプリにも出場され今も活動されています。
  • お二人が漫才を通して伝えたい思いを伺いました。

特集 「『特別』にならない社会を目指して」

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Q1:最近になって、障害者の漫才がマスコミで取り上げられるようになってきましたが、お二人は、それよりもずっと前から漫才をやっておられます。どうして笑いの道へ進もうと思われたのか、そのきっかけをお聞かせください。

小倉先生:森山君が県立八幡養護学校中学部1年生のとき、私も八幡養護学校に勤務していたのですが、PTAによって開催された夏祭りの「素人名人会」コーナーで漫才をしてみようというのがきっかけです。その後、「M-1グランプリ」予選に出場したことが新聞に取り上げられ、インターネットにも紹介されたことから、話がいろいろな方向へと広がっていきました。

Q2:M-1グランプリ挑戦は、やはり、PTAの夏祭りに出て皆さんに笑ってもらうことが気持ちよかったからでしょうか。

小倉先生:夏祭りで、そんなに笑ってもらえたかどうかはわかりませんが、やはりそうですね。

Q3:大勢の人の前に出たとき、やはり車椅子に抵抗を感じることもあったのかなと思うのですが、そのあたりはいかがでしたか。

小倉先生:全く抵抗はなかったです。森山君と私は、いつも、教室でもおもしろいやりとりをしていて、そこから、「それなら漫才をやろう」ということになりました。コンビ結成当初からネタはすべて森山君が考えています。

森山さん:ネタは、公演に合わせて作り、今は全部で40くらいあります。パソコンにネタ帳があります。

Q4:先日、障害者の漫才をテレビで見て、初めは素直に笑えたのですが、ふと、我に帰ったとき、「これ、笑っていいのかな」と思いました。障害をネタにするということについてどのようにお考えですか。

小倉先生:ここで森山君と私の見解が分かれるのですが、私としては、普通のネタで漫才をしてもあまりおもしろくないので、「私たちにしかできないものを」と思っています。

森山さん:障害とは全く関係のない普通のネタで人を笑わせたいのです。これができてこそ本当のバリアフリーです。障害のネタは障害に理解のある人にしか笑ってもらえないのではないかと思います。

Q5:ホイルチェアーの長い活動の中では、マスコミに取り上げられたり、いろいろな人との出会いもあったと思いますが・・・。

森山さん:いい経験をしていると思います。障害があったからこそできたと思います。

Q6:今では、日本中で障害のある方が笑いの分野に挑戦されていますが、以前は、「お笑い」に挑戦される方は少なく、その中でホイルチェアーは先駆的に取り組まれてきたと思いますが、そのことをどう思われますか。また、車椅子利用者の目線で、日常考えておられることをネタにするといったことはあるのですか。

森山さん:他の障害者が漫才をやっていることは、障害者としてではなく、漫才師としてライバルだと思っています。また、車椅子をネタにすることもあまりありません。

小倉先生:あるテレビ番組で漫才をしたとき、周りの反応もよかったこともあって、私たちの漫才はおもしろいなと思いましたが、他にもっとおもしろい漫才をする人たちがいて、私たちは、まだまだだと思い直しました。

Q7:森山さんは大学生ですが、学業と漫才の両立についてどのようにお考えですか。

森山さん:もちろん学業優先です。漫才は、他にも色々やっている活動の一部です。

小倉先生:現在は、漫才公演のお話を頂戴して、漫才をさせていただいている状況です。

Q8:これからの活動についてお聞かせください。

小倉先生:ホイルチェアーの活動は森山君がいるからできているので、森山君がやらないと言ったらそれで終わりです。

森山さん:行き当たりばったりです。

小倉先生:最初は本当に漫才をやっているだけだったのですが、初めて、五個荘で開催された「人権の集い」に招かれ、90分の時間を頂いて、大勢の人の前で話をしました。その後旧安土町や東近江市でも、人権講座の講師として招かれ、森山君の、普通の人が経験していないような生き様をお話しましたが、そのようなことは、なかなかできないことですし、本当にいい経験をさせていただいていると思います。今まで、ホイルチェアーとして活動を続けてきたからいろいろなところからお話をいただいていると思います。これから、ホイルチェアーはどうなるかわかりませんが、いろいろなことができたらいいなと思います。

Q9:障害のある方が、お笑いやいろいろな分野に挑戦していく姿を拝見していると、熱いものがこみ上げますが、周りの方は障害のある方の頑張りに、どう感じておられますか。

森山さん:私はあまり障害のことは気にしたことがありません。やりたいことをやっています。

小倉先生:あるテレビ番組に出て確信したことは、「障害があるから特別に頑張っているのではない」ということです。障害にスポットが当たっているのは仕方がないと思いますし、ホイルチェアーのことを知っていただけるのはありがたいと思っています。
しかし、「感動した」とか「頑張っているな」と言われるのはちょっと違うかなと思います。私たちが漫才の練習を一生懸命頑張っているのを見て「漫才、頑張っていますね」と言われるのはとても嬉しいのですが、障害があるだけで頑張っているというものではないと思います。どの人も、みんな一生懸命生きていると思います。

Q10: 好きなことを頑張るのは誰でも同じですね。障害のある方がお笑いをやっていると、周りの方から特異な目で見られるということは仕方がないかもしれませんが、自分たちが好きなことを頑張っている、そのことをしっかり見ていただきたいということですね。だからおもしろいときは思い切り笑ってほしいし、つまらないときははっきりとつまらないと言ってもらいたいということでしょうか。

小倉先生:M-1グランプリに出場したときに、他の方と同じように舞台に立ちましたが、私たちが登壇したとき、ちょっと驚かれた方もおられたと思います。しかし、舞台できちんと笑いをとれないと、一人前の漫才師ではないなと森山君と話をしました。

Q11:障害者が自分の障害をネタにしていることに、なかなか笑えないという方もおられるようですが、そのことをどう思われますか。

森山さん:障害者ではないお笑い芸人でもハゲとかデブとかの身体的特徴をネタにしますが、それと同じだと思います。

Q12:ホイルチェアーを結成して一番よかったことは何ですか。

森山さん;私たちは本当に運がいいと思います。いろいろな人と出会うことができました。また、他の障害者の漫才から、いろいろな考え方も学ぶことができました。

小倉先生:私はテレビに出演したり、インタビューを受けたりする中で、私自身が、私自身も頑張っているなと思えるときがあります。これは森山君のおかげです。とてもいい経験をさせてもらっていると思います。

Q13:県で去年9月に「スポーツと人権」をテーマに「じんけんフェスタしが」を開催し、車椅子バスケットボールの試合を行っていただきました。選手の車椅子が激しくぶつかり合う試合は迫力がありました。障害の有無にかかわらず、どんな道でも究めることはすごいことだと思いますが、ホイルチェアーのお二人の究められている笑いの道のこれからについてお聞かせください。

森山さん:ただ、やっていて楽しいからやっているだけです。

小倉先生:私も楽しいからやっているだけです。ただ、障害者が漫才をしても、特別に取り上げられない世の中になったらいいなと思います。究極的には、私たちが、誰もが住みやすい社会をつくっていくことに貢献できたらいいなと思います。

Q14:森山さんのように、会話に障害のある方とコミュニケーションを取るにはどうしたらいいのでしょうか。

森山さん:「障害者」ではなく「人間」としてかかわってもらえたらいいと思います。正直言って、もし私が健常者だったら、私も関わり方に困ったと思います。

小倉先生:もし駅などで、例えば靴が脱げて困っていたら、皆さん普通に助けてくださると思います。そういった普通の関わりが大切なのではないでしょうか。

Q15:森山さんは、大学でサークルに入り、活動されているということですが・・・

森山さん:現在、ボランティアサークルに入っています。こないだはダウン症の子どもと一緒に遊びました。サークルでは、「漫才」にはない自分を見つけたいと思います。

小倉先生:いろんなことに挑戦するところは森山君のすごいところだと思います。

Q16:森山さんは、楽しいことが好きで、人が楽しく笑ってくれることが、一番嬉しいことなのですね。やりたいことにチャレンジできることが妨げられないことも「人権」だと思いますが、「世間の壁」のようなものはどう感じておられますか。

森山さん:あまり、大変だと感じたことはありません。

小倉先生:森山君は何事に対してもとても積極的です。自分でできることは何でも自分でやっています。障害を障害と感じていないようです。

Q17:最後に、県民の方へメッセージをどうぞ。

小倉先生:私たちは普通の人間です。私たちは、誰もが住みやすい社会をつくっていきたいと思っていますが、ホイルチェアーの活動を通じてこのことを伝えていけたらと思います。

森山さん:私も「話す」ことを通して、誰もが住みやすい社会づくりについて伝えていきたいです。将来、私たちがこのようなことをいちいち話さなくてもいい世の中をつくっていくために、今、話を通して伝えていきたいです。

■じんけん豆知識「ゲートキーパー」って知っていますか?

3月は、例年月別自殺者数が最も多い時期です。そこで平成22年から国では3月を「自殺対策強化月間」と定めています。また滋賀県では昨年356人の方が自殺でなくなるという深刻な状況になってます。

皆さんは自殺についてどのようなイメージを持っているでしょうか。まずは自殺に対する正しい理解を持ちましょう。

  1. 自殺は追い込まれた末の死
    • 自殺は、個人の自由な意思や選択の結果と思われがちですが、実際は、倒産、失業、多重債務等の経済・生活問題、病気の悩み等の健康問題、介護・看病疲れ等の家庭問題などが複雑に関係して、心理的に追い込まれた末の死といえます。
  2. 自殺は防ぐことができる
    • 世界保健機関が「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題」であると明言しているように、自殺は社会の努力で避けることのできる死であるというのが、世界の共通認識となりつつあります。
  3. 自殺を考えている人はサインを発している
    • 死にたいと考えている人も、心の中では「生きたい」という気持ちとの間で激しく揺れ動いており、不眠、原因不明の体調不良など自殺の危険を示すサインを発しています。家族や同僚など身近な人は気づいている場合も多く、自殺予防にどうつなげていくかが課題です。

その中で政府は「あなたもゲートキーパーになりませんか」と呼びかけています。ゲートキーパーとは悩んでる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ見守る人のことで特別な資格は要りません。

  1. 気づき…身の回りの悩んでいる人に気づき、「どうしたの?」と声をかける
  2. 傾聴…本人の気持ちを尊重し、「大変だったね。」と話を聞く
  3. つなぎ…「相談に行こうよ」と早めに専門家に相談するよう促す
  4. 見守り…「どうしてる?」と温かくじっくりと見守る

このように私たち一人ひとりがゲートキーパーになれるのです。悩みを抱える人の話を聞き、孤立、孤独を防ぐ小さな行動が、自殺対策につがるのではないでしょうか。

☆☆☆人権カレンダー3月☆☆☆

3月は自殺対策強化月間です

8日国際女性の日

1977年、国連総会は各国に対し、それぞれの歴史、国民的伝統や習慣に沿うかたちで任意の日を「国際女性デー」と宣言するよう呼びかけました。女性に対する差別撤廃と、社会開発への完全かつ平等な参加に向けた環境整備に貢献することが各国に期待されています。この国際デーは国連総会が宣言した「国際女性年」(1975年)および「国連女性のための10年」(1976~1985年)に引き続くものです。国連が3月8日を国際女性の日としたのは、国際女性年(1975年)のことでした。

21日国際人種差別撤廃デー

「国際人種差別撤廃デー」は毎年3月21日と定められています。1960年のこの日、南アフリカのシャープビルで、アパルトヘイトの「パス法」に反対する平和的なデモ行進に警官隊が発砲し、69人が殺害されました。1966年にこの国際デーを宣言するにあたり、国連総会は国際社会に対し、いかなる人種差別も根絶するよう一層の努力をしていくよう求めました。

21日~27日人種差別主義と闘う人々との連帯週間

22日国連水の日

1992年、国連総会は3月22日を「国連水の日」と宣言しました。この日は、水資源開発の経済的生産性や社会福祉に対する貢献度を広く認知してもらうことを目的としています。

24日世界結核デー

「世界結核デー」は1882年3月24日のコッホによる結核菌発見の発表を記念し、世界の結核根絶への誓いを新たにするために1997年制定され、それ以降、毎年3月24日前後に世界でイベント等が実施されています。

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県内

  • こころのほっと相談会(滋賀県臨床心理士会)

夜間・休日も相談できる窓口ができました。(相談は無料です)

県外

  • 性暴力・DV被害に24時間無料電話相談「パープルダイヤル」(内閣府)3月27日まで

0120-941-826

  • 舳松人権歴史館企画展「差別のない社会をめざして~部落解放のあゆみ~」 (4月28日(木曜日)まで)
  • 水平社博物館第11回企画展「コリアと日本~「韓国併合」から100年~」 (3月27日(日曜日)まで)
  • 平成22年度柳原銀行記念資料館企画展「「性同一性障害」と多様な性を生きる-法律・医療・生活(仮)」

期間:3月1日(火曜日)~24日(木曜日)
時間:10時~16時半
連絡先:京都市人権文化推進課(075-366-0322)

  • らいとぴあ21

トーク&ライブ『遠くて近いAFRICA!』~巨大スラムで子どもたちと生きる~
日時:3月4日(金曜日)
16時30分~手づくりサファリで遊ぼう!オープン
18時00分~開場(屋台スタート)
18時30分~スタートオープニングアクト:『Talibe』
18時50分~近藤ヒロミライブ
19時20分~早川千晶トーク
料金:18時30分~に参加される方のみ500円(高校生以下無料)
http://raipinews.seesaa.net/

社会課題アドバンスセミナー『学校とセクシュアリティ』
日時:3月6日(日曜日)13時半~16時
http://raipiseminar.seesaa.net/

  • 大阪人権博物館

記念講演1.「 日本の社会の民衆芸能・伝統文化」
日時:3月5日(土曜日)14時~16時
記念講演2.「 学校教育と大阪人権博物館の展示活用」
日時:3月19日(土曜日)14時~16時

  • ピースおおさか

所蔵品展「焦土大阪2.絵で見る大空襲」
期間:3月10日(木曜日)~7月10日(日曜日)

平和祈念事業1「講演会と歌で検証する戦争と平和」
日時:3月12日(土曜日)14時から16時半

平和祈念事業講演会2「大阪大空襲と幻の卒業式」
日時:3月13日(日曜日)14時から16時半

ウィークエンドシネマ「戦争と青春」
日時:3月5日(土曜日)/3月19日(土曜日)14時00分~
入館料等はこちらをご覧ください。http://www.peace-osaka.or.jp/

  • ウイングス京都

安藤哲也講演会「結婚するならイクメン!子育てするオトコと暮らす幸せ」
日時:3月11日(金曜日)18時半~20時
料金:600円(前日券)800円(当日券)

  • 第9回高齢者・障害者権利擁護の集い

日時:3月11日(金曜日)13時~18時
場所:国立京都国際会館大会議室

  • 映像と音楽でつづる講演会「うつ病やアルコール依存症を克服するために」

日時:3月12日(土曜日)13時半~15時(開場13時)
場所:中央区民センター
申し込み:3月4日(金曜日)まで

  • 外国語字幕付き日本映画上映会

作品:『めがね』 (字幕:英語)
日時:3月18日(金曜日)18時30分~20時16分
場所:(財)大阪国際交流センター
参加費:500円
http://www.ih-osaka.or.jp/news/20110120_1916/

編集後記

先日大きな地震のあったニュージーランドでは今なお多くの行方不明者があり、今も救命活動が続けられています。日本人も多数被害に遭い、衝撃を受けた方もおられるのではないでしょうか。政府は資金協力を決め、ネット上では早くも義援金の募集が始まるなど色々な人たちが支援に動き出そうとしています。こうした大変なときにこそ、国境や宗教を超えて、同じ人間として、助け合える世界になればいいなと思います。

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編集・発行/滋賀県県民文化生活部人権施策推進課

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