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じんけん通信

概要

  • みなさんは福祉用具という言葉をご存じでしょうか。
  • 福祉用具は日常生活に何らかの不自由を抱える人を手助けするための道具のことで、本人の自立の促進や介護者の負担軽減につながります。
  • 現在その一部は介護保険制度や障害者自立支援法でも給付の対象として位置付けられています。
  • また最近では福祉用具を活用した
  • 「ノーリフト」(持ち上げない介護・看護)の取り組みが広がっています。http://www.nolift.jp/
  • 今回は滋賀県福祉用具センターを訪問し、市川所長、田淵課長、そして改造製作に当たっておられる森田さんにお話を伺いました。

特集 「誰もがいきいきと暮らせるために」

Q1:立派な施設ですが県民の方々にはなじみが薄いと思います。どんなことをされているのか教えていただけますか。
(所長)当センターは福祉用具の展示、相談および改造を行っており、相談から改造まで一貫して対応できるセンターです。

(表)
展示室の様子自宅での使い勝手がわかるよう、廊下やバスルームなどのモデルが設置されている。

展示室の様子

自宅での使い勝手がわかるよう、廊下やバスルームなどのモデルが設置されている。

まず『展示』ということでは、最近では介護用品の売り場に置いてあったりもしますが、まだまだ福祉用具自体十分普及していないと私たちとしては考えています。
センターの展示室には約700点の福祉用具があり、県内最大の品揃えだと思います。
単に見るだけならパンフレットやカタログ、インターネットで見ることもできますが、実際に見たり触ったりして、その人に合ったものなのかを確かめていただく、というところを当センターでは大事にしています。いつでも見て触って、場合によっては借りていってもらって本当に自分に合っているかどうかというところを見てもらう、それが展示の意味だと思っています。自由にお越しいただき、先入観なく、「自分に合っているかどうか」確かめられるのがこのセンターの特徴です。
次に展示を見てもらった後の『相談』ですが、福祉用具を導入する場合には、そのまま導入できるケースもあれば、「このままでは自分には使えないな」ということや料金等、色々な相談ごとがあります。そのため、保健師や作業療法士など、専門の職員が対応にあたっています。
また、パンフレットやインターネットによる情報については、私どものホームページからも福祉用具事業所のホームページにリンクをできるようにしているほか、多くのカタログなどをそろえて情報提供しています。
そして、『研修』ですが、今、特に力を入れているのが、ケアマネージャーや理学療法士、作業療法士など福祉用具に携わる専門職向けの研修です。
介護保険制度や障害者自立支援法ができたことにより福祉用具が普及するきっかけにはなっています。しかし、ケアマネージャーの方でも福祉用具について詳しく知らない方もまだまだ多く、ケアプランの中にも福祉用具のことが十分に反映されていないというのが現状です。また、障害者福祉の中でも、補装具、日常生活用具として当然一人ひとりにあった給付がされるわけですが、実際専門的な角度からどれだけ情報がいっているのかということもあります。そういったことを踏まえ、専門職の方々を対象とした福祉用具のプランニング研修など様々な研修を実施しています。
また、福祉用具を地域の人にも知ってもらいたいということで、公民館などでの車いす体験や福祉用具を使った介護などの出前講座、それから小中学生や事業所の方に高齢者の疑似体験をしてもらうインスタントシニア体験などを最近、よくやっています。このような講座や体験を通じて色々な方に福祉用具の必要性を知ってもらっています。
最後に、これは他のセンターにないところですが、福祉用具の『改造・製作』を行い、本人の状況に応じた用具の提供をしています。
例えばシャワーイスがお風呂の洗い場にそのまま入らなかったり、子供用の三輪車でも座位が安定しなかったり、筋力が弱かったりするお子さんの場合、既製品ではなかなか対応できないといったようなことがあります。
本人や家族との相談の中で専門職、技術職が検討し、「本人に合っていて安全性を十分考慮し、なおかつ使っていて支障がない」というところにこだわって改造や製作をしているところです。
Q2:どなたでも相談に乗っていただけるということですが、年間どれくらいの利用があるんでしょうか。
(所長)相談時間は9時~17時で、無料です。件数としては電話などを含めると年間1,000件ほどあり、そのうち100件ほどが改造・製作に結び付くケースです。こうした施設は、県内はもちろんこのセンターだけですが、県外にもそう多くないので京都などからも見学に来られたりします。また改造をされてるところも全国的に少ないので珍しいと思います。
Q3:展示品を見て買いたいというときには紹介していただけるんでしょうか。
(課長)その場合には、扱っておられる事業所の一覧をお渡ししたり、自助具(日常生活の助けとなる小道具)工房で間に合うものでしたらそちらを紹介したり、カタログをお渡ししたりしています。

工作室の様子

その人の障害に合わせて、一つ一つ改造される

Q4:相談だけでなく実際に改造もしていただけるんですね。
(森田さん)それがこのセンターの大きな仕事です。その方が使えるように改造したり、どうしても既製品がない場合は一から作ることもあります。やはり「その方に合わせる」ということが福祉用具の基本となる考え方だと思うので相談に基づいてやっています。
Q5:福祉用具については、障害のある方の社会参加という側面以外にも、最近注目されている介護者の人権ということもあると思うのですが。
(課長)もちろんです。ここの理念としても「介護する人される人、誰もがいきいきと暮らせるように」ということが掲げられていますので、両方の意見、相談をしっかりと聞いて改造や製作にあたるようにしています。物選びや住宅を改修するといった場合のアドバイスも、介護者さんとご本人の状況をよく聞いた上で対応しています。
Q6:一口に福祉用具といってもベッドや車いすから小さな自助具まで様々ですがこちらではどんなものでも相談に乗っていただけるんでしょうか。
(森田さん)そうですね。例えば車いすにしても、軽いのがいいとなると材質などの面で様々な制約が出てきたりしてやりにくいこともありますが、「その方に合わせる」ということが基本にありますのでどんなことでもやろうと私は思っています。

手前から森田さん、市川所長、田淵課長

(所長)一度相談を受けると改造に至るまでには段階がありますし、一度では済まないので何度もやり取りをします。また、一度相談を受けた方から「またお願いします」という形でリピーターの方もいらっしゃいます。
(森田さん)さらに、相談や改造をする場合には、家の中など実際にどういう状況で使われるのか把握するため、あるいは来られない方のために、直接現場へ行ってお話を聞くこともあります。これは、よりその方に合わすという意味では大事なことだと思っています。車いすの改造をするのでも足置きを長くしたら引っかかって廊下が回りきれなくならないかどうかなど、そういうところもチェックさせてもらいながらやっています。
(所長)本人や家族、関わっている専門職の方など色々な人達が話し合う中で、「生活を豊かにしたい」という一人ひとりの願いを叶えていくということがポイントになるかなと思います。既製品を改造するわけですから当然一定のリスクも覚悟しなければいけません。その代わりできるだけその人にとって一番いい暮らしを、というみんなの思いが一致したところで進めていくのがこのセンターの特徴です。
Q7:県内にはボランティアの自助具工房もありますがそういう方たちへの研修もされているんですね。
(森田さん)現在各福祉圏域に一つずつくらい約10箇所の自助具工房があります。必要に応じてアドバイスをしたり、難しいものについてはこちらで作ったり一緒に考えたりします。また専門的な知識を持った方がいらっしゃらないところについては、できた物の評価をすることもできます。福祉用具は作ってその後本当にこれでいいのか確認するのも大事なのです。
Q8:福祉と産業を結び付けるということが言われるようになってきましたが、そのあたりはどうでしょうか。
(所長)メーカーに新しい展示品を置いてもらうのはなかなかすんなりとはいかず、そういう意味では、ここでの展示が、より多くの利用者に伝わって商品の引合いにつながるような場所になって、もっとメリットを感じてもらえるようになればいいなと思っています。
(森田さん)また、既製品の改造とか一人ひとりに合わせたものを作るのは、企業にしてみれば、採算面だったり、納期的に作れなかったりと色々難しいところもあるので、そういった企業ができないことをやっていくことも大事な役割ではないかなと考えています。
Q9:これからの展望について聞かせてください。
(所長)福祉用具も、このセンターも、まだまだ普及段階で、専門職の方の中でも知識にばらつきがあります。
もちろん、どなたに来ていただいてもいいのですが、せっかくの県に一つしかない施設ですので、専門的に関わる人には特に福祉用具についての最新情報をより持っていただきたいと思っています。さらに、離れたところから来られた方が見聞きしたことを持ち帰ってくださることで、どこでも同じようなことができるようになることを目指しています。また、その方々を通じて福祉用具を使った自立や介護の考え方が広まることにつながればと思っています。
私どもは専門職の方とも深く関わっていますけれど、ここには事業所も相談に来られますし、一般の方も、福祉用具を利用して生活されている方などあらゆる方々と繋がっています。色々な角度から見てみると、こういう総合的な機能は重要だなと日々感じています。
(森田さん)福祉用具のことはあそこに聞けば全部わかるんだというセンターを目指しています。そして福祉に携わる方や作り手さんなど新しい人を育てていきながら一緒に勉強できたらと思います。

福祉用具センターインフォメーション

(表)
住所 草津市笠山7丁目8-138(県立長寿社会福祉センター内)
TEL 077-567-3907
FAX 077-567-3967
開所時間その他 9時00分~17時00分(休所日:土日祝・年末年始)

※来所・相談は自由にしていただけますが、担当者が不在なこともありますので事前に連絡することをおすすめします。

■じんけん豆知識色々な福祉用具

インタビューでもあった通り福祉用具には様々な種類があります。ここではそれらを簡単に説明した上でセンターの展示品のうちのいくつかをご紹介します。

  • 福祉用具とは…心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障がある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具 (「福祉用具法」第2条より)
  • 福祉用具の種類
  1. 治療訓練用具…投薬用具・床ずれ防止用具など
  2. 義肢・装具
  3. パーソナルケア関連用具…衣類・靴、トイレ用品など
  4. 移動機器…車いす・歩行器など
  5. 家事用具…炊事用具・食事用具など
  6. 家具・建築設備…ベッド・テーブルなど
  7. コミュニケーション関連用具…対話用機器・補聴器など
  8. 操作用具…手や指の機能を補助する道具・手の届かないところのものを処理する用具など
  9. 環境整備用具…計測機器、作業用家具など
  10. レクリエーション用具…ゲーム・スポーツ用品、楽器など

※なお介護保険制度での定義は上記とは異なり、対象となる福祉用具は限定されます。

  • 福祉用具選びのポイント
  1. 身体能力や体格に合っていますか
  2. 使用する環境に合っていますか
  3. 介護者の状況を考慮していますか
  4. 専門家に相談しましたか
  5. 無理や我慢をしていませんか

全国でも類を見ない福祉用具センターは介護する人される人誰もが生き生きと暮らすため多くの事業を行っています。気軽に相談することで介護が楽になったり、生活が豊かに広がったりします。
あきらめないで、出来ることを応援してくれるセンターです。

ポータブルトイレ
(表)
ポータブルトイレ。部屋のインテリアとしても違和感がないよう、家具調のものや消臭・立ち上がり機能が付いたものもあります。 体幹や筋力が弱く座位が安定しない子どものための改造三輪車。 サドルを大きくし、体幹を支えるための背もたれとベルトが付いています。
(表)
片手でも使えるように工夫されたシャンプーボトル。 手のひらを上に手の甲でポンプを押し、手のひらで液体を受けます。 リモコンスイッチの操作が困難な人が自力でベッドの操作ができるように工夫されたリモコン。 右のものは寝たきりの方の顔の両脇に置き、頭を少し動かすことで操作します。
片手で爪を切る爪切り
その他改造事例

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県内
  • 男女共同参画寄席

日時:2月13日(日曜日)13時30分~

場所:滋賀県立男女共同参画センター 大ホール

事前申し込みが必要です。

  • 権利擁護セミナー

日時:2月28日(月曜日)13時00分 ~16時20分

場所:滋賀県立長寿社会福祉センター(草津市笠山7丁目8-138)

内容:(第1部)基調講演

「障害者虐待防止法の施行に向けて」~障害者虐待防止法のあゆみ~

講師:つくし法律事務所所長竹下義樹氏

(第2部)パネルディスカッション

主催:社会福祉法人滋賀県社会福祉協議会

*申込みが必要です。
詳しくは

をご覧ください。

  • 災害時外国人サポーター養成講座

日時:第1回目2月19日(土曜日)13時30分~16時30分、第2回目2月26日(土曜日)13時00分~17時00分

場所:湖南市中央まちづくりセンター(湖南市中央1丁目1番地、両日とも)

事前申込が必要です。

  • 子どもの健康セミナー「父親を楽しもう!~公開イクメントーク~」

日時:2月11日(金・祝)14時00分~16時30分

場所:滋賀県立小児保健医療センター1階研修室(守山市守山5-7-30)

事前申込が必要です。

  • 障害者就職面接会

日時:2月16日(水曜日)13時00分~15時30分

場所:クサツエストピアホテル2階瑞祥の間(草津市西大路町4-32)

対象者:求職中の障害者

参加企業:湖南地域に事業所がある企業を中心に20社程度

*求職者の方は事前に申込む必要はありません。参加は無料で、時間内の入退出は自由です。
*面接会当日は、面接に備え履歴書(JIS規格)複数枚と筆記用具をご持参ください。
*ハローワークに求職登録をされている方は、案内封筒またはハローワークカードをご持参ください。
まだ登録されていない方は障害者手帳をご持参ください。
主催:滋賀労働局・ハローワーク滋賀県

後援:社団法人滋賀県雇用開発協会滋賀障害者職業センター

  • 中学生チャレンジウィーク5周年フォーラム

日時:2月10日(木曜日)13時40分~16時45分

場所:滋賀県庁東館7階大会議室(大津市京町四丁目1-1)

県外
  • 舳松人権歴史館企画展
  • 「差別のない社会をめざして~部落解放のあゆみ~」 (4月28日(木曜日)まで)
  • 水平社博物館第11回企画展
  • 「コリアと日本~「韓国併合」から100年~」 (3月27日(日曜日)まで)
  • 「赦しその遙かなる道」上映会

日時:2月5日(土曜日)12時20分~14時00分(開場12時10分)

場所:大阪国際交流センター2F小ホール

  • 第16回ふしみ人権の集い

日時:2月12日(土曜日)13時30分~16時30分

会場:京都府総合見本市会館パルスプラザ稲盛ホール(入場無料)

内容:(第1部)人権の集いからのメッセージ

(第2部)記念講演陽気に生きよう!歌にささえられて

-フォーク・ソングの原点竹田の子守唄と出会って-

出演高石ともやさんwith部落解放同盟改進支部女性部

問い合わせ先:ふしみ人権の集い実行委員会事務局伏見区役所まちづくり推進課

TEL:075-611-1144

  • 第42回人権交流京都市研究集会

日時:2月19日(土曜日)全体会9時30分~分科会13時30分~

会場:大谷大学講堂および各教室

内容:全体集会記念上映会「TOKYOアイヌ」(森谷博監督、2010年)

上映前お話浦川治造さん

参加費:2,000 円

編集後記

昨年末から始まったタイガーマスク運動が約一ヶ月たった今も全国で続いています。連日伝えられるニュースには子ども達の笑顔がいっぱいで、温かい気持ちになるものです。しかし本当に意味で大切なのは、善意の輪の根底にある、自分の周りにいる人に関心を持ち、思いやる気持ちではないかなと思います。たとえ大きな行動を起こさなくても、一人ひとりの小さな思いやりによって人権が尊重される豊かな社会が実現するのではないでしょうか。


編集・発行/滋賀県県民文化生活部人権施策推進課


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お問い合わせ
滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:cf00@pref.shiga.lg.jp
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