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じんけん通信(第31号)

「わからない」だから「かわらない」そんなあなたの人権意識

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じんけん通信

平成22年(2010年)11月(第31号)

  • 11月は「全国子ども・若者育成支援強調月間」(「青少年健全育成強調月間」から名称変更)です。
  • 9月14日文部科学省は「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の21年度結果を公開しました。
  • それによると、小・中・高等学校における暴力行為の発生件数は約6万1千件と、前年度より約1千件増加し、小・中学校においては過去最高の件数に上ることがわかりました。
  • 暴力行為以外にもいじめや不登校、自殺など青少年をめぐる様々な問題が起きています。 そこで今回は、 全国的にも珍しい非行少年の立ち直り支援の取り組みとして県が実施している「あすくる」事業について、「あすくる湖南」(湖南市少年センター)を訪問し、岩田所長さんにお話を伺いました。

特集 青少年と人権

あすくる=明るい明日がくる学校(a school)!

あすくる湖南入り口

Q:「あすくる」の取り組みは全国的にも珍しく、注目されていると聞いていますが、あまり知られていないのが現状かと思います。どういったことをやっておられるのか、具体的にお話をしていただけますか。

A:「あすくる」は『非行少年の立ち直り支援事業』として平成16年(2004年)に始まりました。現在、県内で16ある少年センターのうち9センターで実施されています。
この名前には、支援を受けた子どもたちに明るい「明日が来る」ように、それから子どもたちにとっての「地域の学校」(a school)という2つの意味があると聞いています。ここには現職の教師が指導主事という形で1名配属されており、中学校や関係機関との連携も行っています。
「あすくる湖南」の事業開始年の相談件数は260件程度でしたが、年々増加して昨年度は1000件を超え、今年度は上半期だけで昨年度を超えています。相談は、来所・訪問・電話・メールなどによる相談があります。
以前、支援した中学生は、学校には登校できず、センターに通所していましたので、卒業時には「自分の学校はここや」と言ってくれ、今も時々来所しています。

Q:ということは支援の対象は中学生が中心なんでしょうか?

A:対象は、中学生から20歳までの青少年ですが、中学生が中心というセンターが多いようです。
ただ、私は「中学生は学校が主体的に支援すべきだ」と考えています。厄介払い的な考えを学校がされるのは嫌ですね。先ほどの中学生も、通所するたびに中学校の先生も来所して指導してくださり、卒業式にも校長先生をはじめたくさんの先生が参加して、本人との関わりを大切にしてくださっていました。
「あすくる」に来る中学生も、学校に所属しているのだから、教職員は、自分の学校の生徒という意識を持っていないといけないと思います。こうしたことから、湖南市では「中学生の支援の中心は学校で、学校と力を合わせ、それを支えるかたちでセンターが支援するのだ」ということにしています。
「あすくる」では特に、『学校のない少年』(中卒の無職・有職少年や高校を中退してしまった少年)や支援がないと困難な『高校生』への支援が大切じゃないか、というスタンスでやっています。

岩田所長1

個々の子どもの個性に応じ、安心できる絆づくりを心がけて・・・

Q:子どもたちと接する際に気をつけていることや心がけていることはありますか?

A:よく言われることですが、ここに来る子たちの多くは、親も含めて大人に対する不信感をもっているので、「ここは安心できるんや」という暖かさが必要です。そうした雰囲気をきちっと作って受け入れる、ということを基本的に思っています。
それと、もう一つ。ここが学校ではしにくいところですが、支援する時は、必ず個別に対応することです。それぞれの違いを認め、個々の目標に向けて支援を行うことです。少年同士が出会うことによって、自分の目標を見失ったり、新たな問題が発生したりしないよう気をつけています。知り合った少年が集団で事件を起こすという心配もあるのです。また、支援対象の少年同士のつながりに気をつけないといけません。
そういった意味で、ここへ来たら「ああ自分のことを考えてもらえてるんやなぁ」と思ってもらえるよう一人一人の「新たな居場所作り」を考えてやっています。

Q:いろいろな事情を抱えた子を支援する中で学校や児童相談所など関係機関との連携が必要と思うのですが、連携面での課題などはありますでしょうか?

A:ここに来る子どもは学校や警察、少年院など様々なところから来ます。そのため、それぞれの事情にあわせ必要な機関(学校、家庭裁判所、保護司、県警のサポートセンターなど)とは連絡を取っています。それから就労支援という場合には企業やハローワークの担当者など一人ひとりの事情にあわせた連携しています。
それから、「あすくる」には総合コーディネーターという方がおられます。弁護士や心療内科の医師など様々な立場の方なのですが、「この子には医療的な支援が必要なんじゃないか?」という場合、「あすくる」を通じて医療機関に予約をしたり、調整してもらえます。診断してもらい、治療を受けることでよい方向に向かった例もあります。
様々な機関へスムーズに橋渡しするためにも、子どもの個別事情を把握するため、まずアセスメント(面談)を行い、センターのカウンセラーさんの意見も聞きながら、子どもの個性や事情に応じ、自立のための就労支援、学校へ行くための学習支援、生活リズムを整えるための生活支援など必要な支援を考えて対応しています。

室内の写真

Q:発達障害であることがわかって、自分の生きにくさが理解できやり直せたという例も聞きますが、必要な支援を見つけるというのは難しいですね。

A:ただ、これは私の持論ですが、人間というのは診断されるとそれで安心するんです。けれど本当はその子にとって何が必要なのかを考えることこそが大事だと思うのです。例えばAという少年がアスペルガーと診断されたとして「ああ、それでこの子はやっぱり」と納得してしまいます。そうやって、ある意味、自分たちが手を抜いてしまっているところがあるのではないでしょうか。
発達障害でも「あかんことはあかん」と、どれだけきっちりと指導してやれるか、というところが抜けてしまっているように思います。診断されたことに安心して「これでもう自分たちにできることはない」となるのではなく、もっともっと真剣に関わっていかなければいけないと思います。

子どもたちの支援の一歩は「あいさつ」から・・・

Q:今まで支援されてこられた中で印象深い子どもさんというのはおられますか?

A:少年院を仮出院した少年。高校受験が1年遅れになりましたが、高校に行きたいということで、卒業した中学校の先生と教育委員会や少年センターが一緒になって、受験のための支援をしました。その後の高校生活を続けるための支援はなかなか難しいですが、現在も本人に毎週のように声かけをしたり、高校との連携をはかりながら立ち直り支援を続けています。
現在も湖南市出身で少年院に入院している少年が数名います。保護者や保護司、関係機関とも連携しながら仮出院してきたときの支援がスムーズに行えるように、面会・手紙のやり取りなどの支援を行っています。ただ、面会や通信というのも、本人・保護者の申請と少年院の許可を得てやっと実施できますので、全ての少年にできるわけではありません。
また、湖南市には外国籍少年のかかえる問題があります。『ことばの壁』が、不就学につながったり、不安定な就労や不就労につながってしまうのです。子どもたちに比べ、保護者のことばの状況はさらに深刻なことが多く、保護者との連携をはかるために、通訳できる方をお願いしたりしています。
その他にも、母子・父子家庭や再婚家庭の増加など、子どもを取り巻く家族の状況も様々で、そのことに悩んでいる少年もいます。しかし、それぞれにしんどさをかかえながらも必死で踏ん張っている少年たちをできる限り応援したいと考えています。

Q:私たち社会がこういう少年たちに対して偏見があるのも問題と思いますが、こういった子を社会が受け入れるにはどのようなことが支援になるのでしょうか?

A:とにかく、仕事があることが大切です。がまん強く受け入れてくれる事業主さんが増えると有りがたいです。以前、高校を中退した子を受け入れてくださったのですが、原付免許取得が条件でした。その準備をしているときに、その子が万引きをしてしまって・・・。どうなるかと思っていましたが「それでもいい」と言ってくださった方もありました。湖南市にはそういう子どもたちを支援しようという会がいくつかあって、所属されている事業主さんにお願いしたりもします。遅刻など色々問題もありますが、それでも受け入れて下さる。つまり、仕事につくことは生活のリズムをきちっとするという意味でも大切で、社会での受け入れが広がることを願います。

Q:社会にはそういう子どもたちを異分子として排除してしまいがちですが、声をかけることなどだけでも違ってくるんでしょうね。

A:地域には少年補導員さんをはじめ様々な応援者がおられます。子どもたちが「顔を知っているかどうか」で、心の開き方というのが大きくちがってきます。私も朝、町を散歩しながら子どもたちに挨拶していますが、たとえ返事がなくてもそれだけで違うはずです。やっぱり周りが鬱陶しい目で見るのと、いつも見守ってくれているという目で見るのはすぐにわかります。ですから悪いときだけでなしに、何でもないときにも気軽に声をかけて、暖かい目で接してほしいなと思います。

☆☆☆人権カレンダー11月☆☆☆

岩田所長2

◎11月は児童虐待防止推進月間、全国子ども・若者育成支援強調月間です

  • 6日戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー

2001年11月5日、国連総会は毎年11月6日を「戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー」とすると宣言しました。武力紛争時の環境被害が紛争終結後もなお、しばしば国境や世代を超越して長年にわたって生態系と天然資源に悪影響を及ぼすと考えられたからです。また、私たちが共有するこの環境の保全活動の必要性を強調した「国連ミレニアム宣言」も改めて確認されました。

  • 12日~25日女性に対する暴力をなくす運動

平成13年6月5日、内閣府男女共同参画推進本部において、毎年11月12日から25日までの2週間、「女性に対する暴力をなくす運動」を実施するという決定がされました。

  • 20日世界こどもの日

1954年、国連総会は全ての加盟国に対し「世界のこどもの日」を制定して、これを子どもたちの世界的な友愛と相互理解の日に、また世界の子どもたちの福祉を増進させる活動の日に当てるよう勧告しました。具体的な日付の制定は各国政府の判断に委ねられています。11月20日は総会が1959年に「子どもの権利宣言」を、また1989年に「子どもの権利条約」を採択した日です。

  • 25日女性に対する暴力撤廃国際デー

国連総会は11月25日を「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に指定し、各国政府や国連機関、NGOが、この週間に対する一般の意識を高めるための活動をこの日に行うよう促しました。女性運動活動家たちは1981年以来、11月25日を暴力反対の日としてきました。この日付は、1961年にドミニカ共和国の支配者ラファエル・トルヒジョの命令で政治活動家ミラバル三姉妹が暗殺されたことに由来しています。

  • 25日~12月1日犯罪被害者週間

犯罪被害者週間は、当該期間における集中的な啓発を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況や犯罪被害者等名誉、生活の平穏への配慮の重要性について、国民の理解を深めることを目的として、「犯罪被害者等基本計画」において設定されました。

■じんけん豆知識「デートDV」

25日は女性に対する暴力撤廃国際デー です。女性に対する暴力としてよく挙げられるものにDV(ドメスティックバイオレンス)があります。夫婦や恋人など親しい男女の間でふるわれる暴力を指します。しかし最近では交際中の若い世代でも起こっており、交際中のDVは特に「デートDV」と呼ばれています。

デートDVが指す暴力は、一般のDVがそうであるように身体的な暴力だけでなく罵倒するなどの精神的暴力や性的な暴力、社会的に孤立させる、といったものも含まれます。H20年の内閣府による調査によると10代・20代女性の約10人に1人が交際相手から暴力を受けており、内約5人に1人が命の危険を感じたとしています。

以下はチェックリストの一例です。

  • 大きな声を出したり、物に当たったりして怖がらせる
  • 携帯電話などで居場所や行動を常にチェックする
  • 携帯電話の履歴を勝手に見たり、異性の友人のメモリーを消す(よう命令する)
  • 自分との時間を優先しないと、機嫌が悪くなったり怒ったりする
  • 友達づきあいを制限する
  • 「好きならやって」と嫌なことを強要する
  • 性的な行為を強要する

もちろん、当てはまったら即DVというものではありませんが、これらの行為の背景には相手を自分の思い通りにしようとする意識が働いているといえます。相手との関係を考える(話し合う)きっかけにしてはいかがでしょうか。

さらに被害者は、「好き」という気持ちから「愛情表現の一つ」と思い自覚がない場合が多く、周囲が気づいてあげることが大切です。また被害者から相談された際には、本人を責めたりせず、「あなたは悪くないよ」と言って専門機関を紹介してあげてください。

どんなに親しい間柄でも、暴力は許されません。場合によっては生命の危険につながることもあります。自分も相手も大切にし、互いに尊重し合う対等な関係を築きましょう。

主な相談窓口
中央子ども家庭相談センター 077-564-7867
彦根子ども家庭相談センター 0749-24-3741
男女共同参画センター相談室 0748-37-8739
滋賀県警察本部警察総合相談電話 077-525-0110

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県内

  • イクメンパパの絵本読み聞かせ体験

日時:11月7日(日曜日)10時00分~12時00分
場所:近江八幡図書館
対象:子育て中のご家族

  • 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」シンポジウム

日時:11月20日(土曜日)13時00分~16時30分(関連イベント10時00分~)
場所:滋賀県立男女共同参画センター
シンポジウムのみ申し込みが必要(11月12日まで)

  • 第12回おうみ犯罪被害者支援フォーラム2010

日時:11月12日(金曜日)13時30分~16時00分
場所:栗東芸術文化会館「さきら」中ホール
「オウム事件の経験をふまえて今考える事」~その時何が!そして真実に至るまで~
講師河野義行さん(松本サリン事件被害者)

県外

  • 大阪人権博物館 学芸員セミナー「ヘレンケラー・岩橋武夫・横塚晃一 ―障害者差別との向きあい方―」

日時:11月13日 (土曜日)14時00分~
場所:研修室

  • 大阪人権博物館 共催展「ひめゆり平和への祈り」

期間:11月16日(火曜日)~12月26日(日曜日)

  • 2010年度 高麗美術館コレクション名品展「みんなで学ぶ 朝鮮・韓国の歴史と思想」

期間:2010年10月23日(土曜日)~12月23日(木曜日)

  • 平成22年度人権啓発フェスティバル 大阪会場 一人ひとりを認めあうこころ!! ~大阪らしい「人権文化」を咲洲(さきしま)から~

日時:11月6日(土曜日)・7日(日曜日)10時00分~17時00分
会場:ATC(アジア太平洋トレードセンター)・ATCホールおよびその周辺施設

  • 京都部落問題研究資料センター 2010年度部落史連続講座 PART2

日時:11月26日(金曜日)「続川の流れに人の身は―六条河原の幕末維新―」
12月10日(金)「京都市東九条におけるスラム対策と同和行政―高度成長期の部落問題と政策的認識―」
18時30分~20時30分
場所:京都府部落解放センター実習室
http://shiryo.suishinkyoukai.jp/

  • 京都ヒューマンフェスタ2010「みんなで築こういのちが輝く人権の世紀を-考えよう相手の気持ち育てよう思いやりの心-」

日時:11月21日(日曜日)10時30分~15時30分
場所:京都テルサ

  • 和い輪い人権ワークショップ「普通じゃない」って…何?

日時:11月12日(金曜日)
場所:京都市男女共同参画センター 「ウィングス京都」
申し込み締め切り:11月5日(金曜日)

  • 京都市「四字熟語人権マンガ」募集中!

人権について四字熟語(造語可)とマンガ で表現した作品を募集 (詳しくは下記を参照ください)
11月15日(月曜日)まで

編集後記

今回インタビューした岩田所長は元教員でもあられ、少年たち一人一人と向き合いなんとか支援したいという想いを熱く語っていただきました。お話を聞いて私が一番感じたことは、支援の第一歩は関心を持つことだということです。今月は児童虐待防止推進月間でもあります。虐待の問題も非行少年の問題も、ただ「難しい問題、自分にできることはない」と遠ざからずに、自分の周りや地域に関心を持つことから始めてみませんか。

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編集・発行/滋賀県県民文化生活部人権施策推進課

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