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「じんけん通信」(第28号)

「じんけん通信」は、県職員の人権意識の高揚と人権の視点に立った行政の一層の推進を図るために、人権施策推進課から定期的に発信してきたものですが、平成22年度からは、このホームページ上に公開していくこととしました。ブラウザの「お気に入り」に入れていただければ感激です。

じんけん通信

平成22年(2010年)8月(第28号)

  • 人権をもっと身近に学び、理解を深めていくために、国や県、市町などでは、さまざまな取り組みが行われています。啓発ポスターや人権作文、研修会、講演会などが行われており、皆さんも一度は目にされたり、参加したりといった経験がおありかと思います。
  • 毎回、さまざまな人権の分野で取り組んでおられる方々を訪問し、現場の声を届けていきたいと思います。どうか、よろしくお願いします。

特集 戦争と人権~戦争体験を語り継いでいくために~

豆村さんの写真

戦後65年を迎え、4人のうち3人までが戦後生まれとなった今、戦争体験の継承も難しくなってきています。
滋賀県では、戦争体験を語り継ぎ、平和を願う心を育む施設として、平和祈念館(仮称)の整備を進めています。
そこで、今回は、県庁健康福祉政策課平和祈念館(仮称)開設準備室で、戦争体験をお持ちの方からお話を聞き、当時の資料を収集されている、豆村ひとみさんにお話をうかがいました。

Q:これまで17年もの間、戦争体験者の方からお話を聞いていらっしゃるということですが、何人ぐらいの方からお話を聞かれましたか?

A:1,200人以上の方からお話を聞きました。私1人で全員から聞いたのではなく、5人のスタッフの合計数です。私はそのうちの半分くらいは聞いていると思います。
じっくりと話をお聞かせいただいた方もいれば、資料をいただくときに少しだけお話を聞いただけのような方もいらっしゃいます。でも、資料をいただくということよりも、一人ひとりの戦争の体験を聞くことを大事にしています。

Q:どのようなことに気を配りながら、お話を聞いておられますか?

A:実際に戦争を体験された方からも、ご遺族の方からもお話を聞いています。体験された方からお話を聞くときは、その方の思いを大事にしてお話をうかがうようにしています。また、ご遺族の方の中には、遺品として大切に残されている当時の手紙を手にしながら、亡くなられた家族が召集されていくときの様子などを、まるで昨日のことのように話してくださる方もいます。そのような思いを語り継ぐために、正確に記録することを心掛けています。

Q:戦争を体験された方の生の声をお聞きになられていますが、特に印象深いお話はありましたか?

A:みなさんお話をされるときには、「自分の話なんて特に聞いてもらうような話じゃない。」とおっしゃられますが、どなたもなにかしらつらい思い出や悲しい記憶を持っておられます。どのお話も印象に残る大事なお話ですが、特に心が痛むのは、当時の子どもたちの体験だと思います。
当時6歳の女の子で、お父さんが満州で警察署長をされておられたという方のお話です。家に冷蔵室があり、そこにハムがぶら下がっているような、大変裕福な暮らしをされていたのですが、戦争に負けたとたん、お父さんが警察署長だったということで指名手配をされ、それからずっと満州の地を1年あまり逃避行をすることとなりました。 お父さんは逃げて生活をしている間に体をこわし、お母さんがお父さんをずっとおんぶして逃げていました。お兄ちゃんは家族の荷物を持ち、その女の子は、3歳の弟と手をつないで逃げていたそうです。逃避行の末、この川を渡れば一安心というときです。
その川は、まだ小さい子どもにとっては歩いて渡るには深くて、足が川底につけば水面が頭の上にくるぐらいでした。弟が泣きそうになったのでお母さんに助けを求めると、お母さんはこっちを向いてとても悲しそうな顔をしたそうです。「ごめんね、お母さんはお父さんを背負っているので、あなたたちのことは助けてあげられない」と。
そのときのお母さんの気持ちを思うと、私も2人の子どもの母親として何とも言えない切ない気持ちになりました。また、そんな状況の中で女の子は「弟を守るのは私しかいない」と決意して、弟と一緒に、一気に川の中を歩いて浅瀬までたどり着いたいう話を聞きました。6歳の女の子が自分の命や家族の命を守るために、必死の思いで精一杯のことをしていたのです。
戦争があったことで小さな子どもが命がけで生き抜かなければならなかった時代を思うと、平和な時代に生まれてきたことのありがたさを感じます。

Q:滋賀県にも被爆された方がいらっしゃると聞いておりますが、その方からお話は聞かれましたか?

A:滋賀県内の方で、広島で原爆に遭われた方は、少ないですが何人かいらっしゃいます。そのうちの1人の方は、ずっと被爆されたことを黙っておられました。被爆者手帳ももらっておられませんでした。理由をお聞きすると「僕は結婚したかったから。その手帳があると結婚できないから、僕はもらってなかった。」ということでした。その方は亡くなられるまで被爆者手帳をもらわれなかったそうです。

Q:これまで集めてこられた資料にはどのようなものがありますか?

A: これまでに約24,500点あまりの資料を収集しています。戦時中の生活のようすを伝える資料や戦時色を表した子どもの遊び道具・学用品などがあります。

子供用の軍服
陶製の地雷
  1. 子ども用の軍服
    • 当時の子どもたちは、男の子は兵隊、女の子は従軍看護婦になることがあこがれだったそうです。七五三の時の晴れ着として、軍服をあつらえたお家もあったそうです。
  2. 陶製の地雷、手榴弾
    • 戦時中は金属が不足していたこともあって、戦争末期には鉄の代用品として信楽焼などの陶製のアイロンや湯たんぽなどが使われるようになりました。また、地雷や手榴弾といった兵器も陶器でつくられていたそうです。滋賀県の信楽でも、学校の生徒が勤労動員で陶製の兵器をつくっていたそうです。
  3. 子どもの絵
    • 当時小学生だった女の子の絵日記です。お花の絵を描くのが好きだったのですが、戦争が激しくなってくると、お花の絵を描いたら先生から丸がもらえず、飛行機の絵を描くと、先生から三重丸をもらえたそうです。また、戦争末期になってくると、物資がなくなってきて、色のついた絵は描かなくなっていったというお話も聞きました。
花の絵
飛行機の絵

Q:今年度も「平和祈念展」を開催されるということですが、どのようなところがポイントですか?

A:今年の平和祈念展は、8月11日から19日まで、東近江市の八日市文化芸術会館で開催します。平和祈念展では、これまでお聞きしてきた体験談を当時の資料とともに紹介しています。子どもたちに見てほしいという思いから、子どもたちにわかりやすい展示にしています。
身近に感じてもらえるように、地元の方の体験や戦跡を紹介するワークショップや、戦時中の資料を使ったワークショップ、戦時中の食事を体験するワークショップを企画しています。また、小学生、中学生の方たちに描いてもらったピースメッセージの展示も毎年しています。

慰問袋

Q:集められた資料というのは、学校の授業などで借りることができるのですか?

A:解説付きのセットを組んで貸し出しをできるようにしています。 例えば、慰問袋、陶器製のおろし金、配給切符、赤紙(レプリカ)などが入ったセットがあります。

Q:最後に、二度とこういった戦争を起こさないためには、豆村さんはどのようなことが必要だと思われますか?

A:戦時中は、子どもであっても死というものが身近に感じられる時代でした。「戦争で死ぬことが名誉なことである」と習っていた子もいるし、家族を亡くして、死というものがものすごく悲しいということを知っている子もいました。戦争があった時代を生きてきた人の話を知ってもらって、命が尊いものであるということを伝えたいと思います。また、大切な命を一瞬で奪ってしまうのが戦争であるということもあわせて皆さんに伝えたいと思います。
今の日本では、戦争が原因で自分の命をなくすと思っている子どもはほとんどいないと思います。私たちが住んでいる滋賀県でも実際にあったことだということを知ってほしいし、過去の出来事からたくさんのことを学んでほしいと思います。

記憶の湖

※7月に滋賀県民戦争体験談集シリーズ「記憶の湖」第9巻が発行されました。第9巻では、中国・朝鮮半島に行かれた方たちのお話が掲載されています。是非ご一読いただきたいと思います。

ホームページ「しがけんバーチャル平和祈念館」でも、体験談や資料を紹介していますので、ご覧ください。

☆☆☆人権カレンダー8月☆☆☆

◎8月6日は広島原爆忌、9日は長崎原爆忌、15日は終戦記念日です

  • 9日世界の先住民の国際デー

「世界の先住民の国際の10年」の期間中、毎年8月9日を「世界の先住民の国際デー」とすることが1994年の国連総会で決定されました。この日は、1982年に人権促進・保護小委員会の先住民作業部会が第1回会合を開いた日です。2004年12月20日の決議の規定によって、総会は「第2次世界の先住民の国際の10年」を宣言しました。同時に、第2次国際の10年の期間中もニューヨーク、ジュネーブ、その他の国連事務所で引き続き「世界の先住民の国際デー」を毎年記念することに決めました。総会は、既存の資源の範囲内で行なう国際デーの記念行事を支援するよう事務総長に要請しました。また国内レベルでもこの国際デーを記念するように各国政府に奨励することも要請しました。

  • 12日国際青少年デー

8月12日を「国際青少年デー」とすべきだとする世界青少年担当閣僚会議の勧告が、1999年12月17日、国連総会に認められました。1995年に総会が採択した「2002年まで、およびそれ以降のための世界青少年行動計画」に対する認識を高める方法として、国際青少年デーを支援する広報活動を行うよう総会勧告が出されています。

  • 23日奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー

1791年8月23日カリブ海のサントドラミンゴで始まった奴隷の反乱に端を発し、初の黒人による共和国設立に結びついたことを踏まえてこの日が制定されています。

■じんけん豆知識「映画で描かれる戦争」

夏休みが始まり、家族で映画館に行ったり、家でDVD鑑賞をしようと思っておられる方も多いのではないでしょうか。日本ではこれまで戦争を題材にした作品が数多く作られてきました。映画は、様々な切り口を通して当時の生活や人々の心情などに深く触れることができる大切な機会です。ぜひこの時期に改めて戦争や平和について考えてみませんか。

★最近のおすすめ作品

  • 硫黄島からの手紙 (2006)
    • おすすめポイント:この作品に描かれる日本兵は実に様々です。元在米武官として誰よりもアメリカの強さを知る指揮官、帝国軍人としての誇りを貫こうとする古参の上官、オリンピックの金メダリスト、妻と生まれてくるはずの我が子を残してきたパン屋の店主、憲兵隊だったが非情になりきれず左遷された青年…それぞれが様々な思いを胸に、祖国のため、家族のため、必死に戦い抜く姿が胸を打ちます。
  • 真夏のオリオン (2009)
    • おすすめポイント:日本の潜水艦とアメリカの駆逐艦の攻防を描いた臨場感ある作品。愛する人の元に生きて帰りたいという切実な願いが予想外の作戦に結びつく手に汗握るストーリー。
  • 母べえ (2008)
    • おすすめポイント:反戦を主張するドイツ文学者の父が逮捕され、残された妻と幼い娘二人が時代に翻弄される中で色々なものを失いながらも懸命に生き抜く姿が力強く描かれています。母の強さとは、優しさとは何かを深く考えさせる作品です。
  • ラストゲーム最後の早慶戦 (2008)
    • おすすめポイント:「敵国のスポーツ」野球が禁止され、学徒動員が決まった1943年。二度と戻ってこられないかもしれない若者達に生きた証を残してやりたいと奔走する顧問の姿や、野球ができる喜びに溢れた選手のプレーが、今を生きる私たちに大切なことを伝えます。

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県内

  • さんかく塾 ウェルカムセミナー「安心の生き方 暴力から守られる社会に『デートDV』」

日時:8月5日(木曜日)13時30分~15時30分
場所:滋賀県立男女共同参画センター

  • さんかく塾新家族セミナー

対象:0歳~1歳半の乳幼児のいるご家族(パパ・ママ・赤ちゃん)
日時・場所:8月21日(土曜日)(多賀町ふれあいの郷)・8月28日(土曜日)(日野町西桜谷公民館)10時00分~11時30分
参加費:500円(材料・おやつ代)

県外

  • 大阪人権博物館

(1)学芸員セミナー「朝田善之助 ―部落差別と闘った解放運動家」
日時:8月14日(日曜日)14時00分~16時00分
場所:研修室

(2)企画展「韓国併合100年・親子で学ぼう! 日本と朝鮮半島の歴史―古代から現代、そして未来へ」(8月29日まで)

【関連イベント】

  • 子ども向け学芸員セミナー「大阪で暮らす韓国・朝鮮人の歴史と文化」

日時:8月7日(土曜日)14時00分~15時00分
場所:研修室

  • リバティシネマ「『韓国併合条約』調印にみる、“江戸時代の朝鮮通信使”と“解放の日までの在日朝鮮人の足跡”」

日時:8月22日(日曜日)

  1. 『江戸時代の朝鮮通信使』10時00分~11時00分
  2. 『解放の日までの在日朝鮮人の足跡』12時30分~16時00分

場所:リバティホール
参加費:1,000円

  • 人権啓発ポスターデザイン・キャッチコピー募集(大阪市主催)

人権問題のテーマに沿ったポスターデザイン・キャッチコピーを募集し、入選作品を大阪市の広報印刷物等(地下鉄車内吊りポスターや情報誌広告、新聞広告等)に活用します。(9月8日まで)

  • 第115回高麗美術館研究講座「日本人が見た植民地朝鮮」

日時:8月28日(土曜日)13時00分~14時30分
場所:佛教大学四条センター
受講料:1000円

編集後記

みなさんお待ちかね(?!)「じんけんフェスタしが2010」の告知がHPにアップされました!!今回は「スポーツと人権」をテーマに、9月11日(土曜日)野洲市総合体育館にて開催します。滋賀レイクスターズのプレシーズンマッチや映画「キクとイサム」上映会、絵本コンサートに人権トークショーなどなど、他にも盛りだくさんの内容ですので、どれか一つでも興味を持たれた方はぜひお越しください!ただし入場には事前申し込みが必要ですので、下記リンクで詳細をご確認の上お申し込みください。

じんけんフェスタしが2010

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編集・発行/滋賀県県民文化生活部人権施策推進課

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