県民の人権に関する考え方や、県民が求めている施策の方向性などを把握し、今後の啓発をはじめとする人権施策を推進するうえでの基礎資料とする。
(1)調査期間…平成23年11月10日(木曜日)~平成23年11月30日(水曜日)
(2)調査対象…県内在住の満20歳以上の男女3,000人(外国籍住民を含む)
(3)調査方法…郵送による自記式アンケート調査(無記名方式)ハガキによる再依頼1回。
外国人対象者に対しては、日本語調査票と翻訳調査票(ポルトガル語・ハングル・中国語(標準語)・スペイン語・英語の5か国語)を送付した。
(4)回 収 率…53.9%(有効回収数1,618件)
(5)主な調査項目
1.人権に関する条約や法律等の認知状況
2.人権についての考え方
3.人権侵害を受けた経験および対応
4.人権尊重や人権侵害についての考え方
5.人権の個別分野ごとの課題
6.人権啓発について 7.人権尊重社会実現に向けての考え方
(1)滋賀県における人権尊重の状況
今の滋賀県は「人権が尊重される社会」になっていると思うかをたずねたところ、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を合わせた“思う”と答えた人の割合が42.0%となっている。
過去の調査と比べると、“思う”と答えた人の割合は、平成13年度では24.7%、平成18年度では31.8%と増加している。
これまでの人権に関する取組や啓発が徐々に浸透してきているものと考えられるが、さらに人権が尊重される社会の実現に向けたさまざまな施策を実施していく必要がある。
今回調査 | 18年度調査 | 13年度調査 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
そう思う | 7.90% | 42.00% | 5.80% | 31.80% | 5.30% | 24.70% |
どちらかと言えばそう思う | 34.10% | 26.00% | 19.40% | |||
どちらかと言えばそうは思わない | 6.10% | 10.40% | 10.00% | 16.70% | 11.10% | 20.00% |
そうは思わない | 4.30% | 6.70% | 8.90% |
(2)人権侵害を受けた経験および対応
ここ5年以内で人権侵害を受けた経験についてたずねたところ、「ある」と答えた人が13.6%、「ない」と答えた人が86.4%となっている。
人権侵害を受けたことが「ある」と答えた人に、人権侵害を受けたときにどのような対応をしたか(複数回答)をたずねたところ、「黙ってがまんした」が59.7%で最も多く、「身近な人に相談した」が39.6%、「相手に抗議した」が22.6%、弁護士や警察、相談機関等に相談した人は19.9%となっている。
黙ってがまんすることのないよう、また、相談機関への相談につながるよう、相談・支援体制の充実を図る必要がある。
(3)啓発活動への接触状況
啓発活動への接触状況についてたずねたところ、「よく見たり読んだり聞いたりした」「時々見たり読んだり聞いたりした」を合わせた“見たり読んだり聞いたりした”と答えた人の割合は、ア「広報誌」が74.3%で最も多く、次いで、オ「テレビ」が71.9%、エ「掲示物(ポスター等)」が69.1%などとなっている。
各啓発媒体とも若年齢層では接触率が低い傾向であるが、逆にインターネットは年齢層が低くなるほど接触率が高くなる傾向となっている。
インターネットを活用した啓発の接触率はまだ低い(17.0%)が、若年層への啓発を進めるうえで重要な啓発媒体と考えられる。インターネットを活用して、人権に関する様々な情報や取組について発信していく必要がある。
(4)講演会・研修会等の参加状況
過去3年ぐらいの間で、人権に関する講演会・研修会等へ参加したかどうかをたずねたところ、「参加したことがない」と答えた人が54.7%、「1~2回参加した」が28.4%、「何回も参加した」が11.1%となっている。
講演会・研修会に参加したことがない理由は、「講演会や研修会が開催されていることを知らなかった」と答えた人が34.3%、「時間や場所の問題で参加できなかった」が24.7%、「関心がない」が21.8%となっている。
多くの人の参加が得られるよう、開催についてさらに周知するとともに、時間や場所、内容に工夫が必要である。
(5)人権が尊重される社会の実現に向けての考え方
人権が尊重される社会の実現に向けての考え方をたずねたところ、「自分も実現に向けて努力したい」と答えた人が47.2%、「特に考えていない」が18.8%、「なりゆきにまかせる」が17.9%となっている。
過去の調査と比較すると、「自分も実現に向けて努力したい」は減少し、「特に考えていない」は増加、「なりゆきにまかせる」も平成18年度から今回にかけて大きく増加している。
なお、「広報誌」「冊子・パンフレット」の接触状況や「講習会・研修会」への参加頻度が高い人ほど、人権が尊重される社会の実現に向けて「自分も実現に向けて努力したい」が多くなっており、幅広い人が啓発活動に参加できるよう工夫が必要である。
今回調査 | 18年度調査 | 13年度調査 | |
---|---|---|---|
なりゆきにまかせる | 17.90% | 12.20% | 12.40% |
誰かしかるべき人が実現すればよい | 8.10% | 7.80% | 8.80% |
自分も実現に向けて努力したい | 47.20% | 51.70% | 60.40% |
特に考えていない | 18.80% | 15.90% | 13.80% |
人権が尊重される社会を実現するためには、行政の取組とともに県民一人ひとりが人権の大切さを理解し、お互いの人権を認め合い、日々の生活の中から人権尊重の取組を進めることも重要である。このため、県民の主体的な取組が進むよう、地域での人権に関わる活動についての情報提供に努める必要がある。
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