協働を進める取り組み

ラウンドテーブルしが

第20回「滋賀県における景観形成とまちづくりについて」協議概要

  • 期日:平成20年(2008年) 8月26日(火曜日)
  • 時間:14時00分~16時00分
  • 場所:滋賀県庁別館4階 しが協働ル~ム
  • テーマ:「滋賀県における景観形成とまちづくりについて」

開会 [10時00分開始]

県民活動課から「ラウンドテーブルしが」と今回のテーマの趣旨説明、および会議運営ルールの説明

出席者

  • NPO・関連団体等関係者
  • 特定非営利活動法人 おうみNPO政策ネットワーク 橋本 律子氏
  • 特定非営利活動法人 淡海地球環境研究会 星山 文基氏
  • 特定非営利活動法人 P.P.P.滋賀 山村 眞司氏
  • 特定非営利活動法人 FIELD 村川 晃氏
  • おおつ環境フォーラム 景観グループ 市吉 登美一氏
  • まちなか交流館 浅野 智子氏
  • 滋賀県協働提案制度検討委員会 森 友美子氏
  • 守山琵琶湖よし笛アンサンブル 広実 照美氏
  • 世話人
  • 特定非営利活動法人市民がささえる市民活動ネットワーク滋賀 阿部 圭宏氏
  • 特定非営利活動法人おうみNPO政策ネットワーク 仲野 優子氏
  • 淡海ネットワークセンターおうみ未来塾2期生 鬼塚 孝治氏
  • 行政職員・事務局
  • 滋賀県都市計画課 北澤 賢治、西村 利寿、面條 航、廣田 龍一
  • 滋賀県県民活動課 谷口 良一、上山 輝幸、松永 隆士、竹内 朋香

協議結果

今回は、「滋賀県における景観形成とまちづくり」というテーマで、様々な視点から課題を抽出し、今後のあり方について意見を出し合うこととした。
県の施策・事業の説明と、NPOなどの出席者の皆さんからの様々な事例紹介や活発な意見提示をしていただいた結果、いくつかの実態や課題が浮かび上がってきた。
一つは、地域の景観形成(風景づくり)は、やはり行政だけではできないこと、また、実際これらの取り組みには住民やNPOが関わる場面が多くあること、さらに言えば、住民、NPOと行政との協働がさらに深まっていかないと実際に景観を守っていくことは難しいということである。これからは地域の人々が風景づくりに自ら価値を見い出して深く関わり守っていこうという意識を持たなければ、それはいつまでも続かないと思われる。
二点目は、景観の保全を行う際は、その地域で日々の生活や経済活動を営む人の視点と、外から訪れる観光客などの視点の両方をバランス良く取り入れていかないといけないことである。景観対策というのは、建物や広告物を規制するだけでなく、同時に生活基盤・経済基盤をどう維持していくかを並行して考えなければならない。また、自治体職員は日々の仕事を進めるに当たっては、行政の立場だけでなくそれぞれの地元住民としての視点も持って景観について考えるべきであることがわかった。
最後に三点目として、行政が法令などによって景観への悪影響を規制する一方で、風景を考慮したまちづくりへの取り組みを地域の経済活性化に結びつけて、企業などが投資価値を見出し、継続的に支えていくような対策も必要である。

協議内容(概要)

【話題提供】

県土木交通部都市計画課から、別添資料『滋賀県における景観形成について』に沿って、県の施策・事業等の概要を説明。
行政:滋賀県では昭和59年に都道府県では全国で初めて風景条例を制定して風景保全に取り組んできた。この条例は「大切な地域や地区の指定」、「大きな建物や工作物に対する対策」、「県民の自主的なまちづくり」、「市町による地域の特性を生かした対策」という4つの景観対策推進の柱から成っている。
県民の自主的なまちづくりによる対策として、近隣景観形成協定制度を設けて自治会などを単位として、建物の形態・色彩や緑化に、地域の風景を守り育てるための取り決めを自主的に締結してもらっている。平成20年3月末で80地域を指定している。
また、平成16年度に景観法という法律が作られ、その中で景観行政団体という概念もでき、現在7つの市が既に景観行政団体となっている。因みに近江八幡市は全国で初めて知事同意による景観行政団体となっている。
なお、従来法律に基づかない自主条例であった滋賀県風景条例も模様替えし、景観法を活用した条例に変更する。具体的には今までの基本施策を受け継ぎつつ、新たに、1「琵琶湖周辺の建築物の高さ制限」、2「市街地の景観形成」、3「指導・助言の実効性の向上」、4「県土の広域的な景観形成」、5「屋外広告物法との連携」という5つの柱を盛り込む。
景観法ができ、「景観計画」の中でこれから滋賀県が目指すべき景観を捉えているが、この詳しい内容については、都市計画課のホームページに概要を掲載しているので、興味のある方は見ていただきたい。
琵琶湖の景観形成地域については、高さ制限とともに、「マンセル」という色彩基準により、あまりけばけばしい色にならないような指導も行っていこうと考えている。
さらに、屋外広告物についても、現在「許可」地域となっている琵琶湖岸の地域を「禁止」地域に格上げし、更に高さ制限をかけてはどうか、ということを「景観審議会」で検討いただいている。またさらに農林や文化財の部局などとも連携を図っていきたい。
最後に、美しい滋賀の景観を守っていくためには、県民の皆さんの意見、取り組みが一番大切であり、このような場で皆さんの意見などを聞かせてもらえるのは非常に貴重な機会だと思う。

【ラウンドテーブル】
「風景」と「景観」の言葉の使い分けについて

世話人:県の施策でも「風景」と「景観」という言葉が区別して使われているようだが、定義はどう違うのか。
行政:基本的に変わらないが、よく言われるのは、主観的か客観的かという捉え方の違いである。概ね客観的に景色を捉える言葉が「景観」、主観的なイメージが入ったものが「風景」である。
行政:古代からいうと「景色」が一般な表現であった。「風景」も「景観」は、江戸・明治期以降に出てきたものである。人間の五感を含めて表現するときには「風景」。一方で「景観」は学術的意味合いが強いが、厳密に区分していない。自分の感性に合ったものを使ってもらったらと思う。
行政:因みに滋賀県では、法律に基づく計画などでは「景観」、県民の意思を反映させる条例では、「風景」という言葉を使っている。

県風景条例に基づく地域・地区の指定について

NPOほか:都市部における地域・地区の指定が少ないようであるが。
行政:基本的に風景条例の思想は、県として重要な区域の指定をして守っていくことである。もう一つは、区域指定はしないけれど、大きな建物は影響が大きいので規制の対象とすることである。また、大きなエリアでなく小さな単位の自分たちの住まいの近くの景観は、皆さん自分たちでつくっていただきたい、さらに、都市単位でそれぞれの市町が主体的に守ってくださいという柱立てをしたなかで区域指定をしている。県として大きな視点で指定したものが、琵琶湖であり、主要な道路・河川である。こういう枠組みから景観行政団体が新たにできてきたが、それぞれの地域・都市で独自の景観行政、資産を生かした取組をやってください、というが今の時代の流れである。逆に言うと、課題として言ったように、分割化されることにより、県全体としてのまとまりで一元的にはコントロールできない。そこに一定の課題があると認識している。

景観に関わる教育について

NPOほか:景観は住民の資産であるというのがヨーロッパなどでは定着しているが、日本では、ほとんどない。これができれば日本でも景観への取り組み・考え方が変わるのではないか。これを教えるためには、やはり教育の中に入れないといけないが、教育との関連性は?

行政:小学生に自分たちの住まいの周りの風景・景観に興味を持ってもらうため、小学校4~5年生の時に、いわゆる景観教育に活用する冊子を作って配布している。しかし、学校教育の中で決まったカリキュラムでは、時間を割いてその冊子を活用して教育する機会は十分ではない。さらにもう一つは、冊子を一人ひとりに毎年配る費用がない。教育が大事だという認識はあり一定の連携はしてきているが、十分にはできていないのが実情である。

NPO・関係団体の景観への取り組みについて

NPOほか:今大きく分けて3つのプロジェクトを持っており、一つは「景観ウォッチング」である。団体のメンバーが町中を回り、景観チェック表を作り、ある地点で点数を付けている。いわゆる「一推し景観」等の評価をしている。うちのホームページを見てもらえればと思う。2つ目は、景観出前講座をやろうじゃないかと言っている。小中学校で遊びながら景観について知ってもらうことをやろうとしている。また、各自治会へ出向いていくことも必要。3つ目は、行政との協働である。地元市の都市計画担当部署と一緒に何かできないか、と考えているところである。
NPOほか:今、滋賀県の学習船「うみのこ」の老朽化の話が出ているが、新しくするには多くの費用がいるらしい。それに対して乗船を体験された方の間で募金活動の動きがあるようである。琵琶湖から見る風景が非常に心に残ったり、思いを寄せるところがあるので、是非そういうことを続けていく施策、アイデアを出させてほしい。
琵琶湖の周囲などの高い建物や看板については、湖南等で規制があるが、地元の市など湖北には、それらがあるために見えなくなる風景があるので、「こういうことをしていると、見えなくなりますよ。」と情報発信しようと考えている。
また、琵琶湖周辺に多く生えているヨシは、ただ単に再生するのは難しいが、ヨシを全国で必要とされているような生活必需品に変えることができれば良い。琵琶湖の美しいヨシが茂っている景観は蘇らせることができると思っている。地元から色々なことを発信していきたいので、ぜひ県も協力いただきたい。

景観行政への住民・NPOの参加について

NPOほか:景観法ができて4,5年経ち、大きな目玉は住民参加を謳った点だと思うが、特に農村が主体の地域で、県としてどのように住民参加をバックアップするのか。また、その際にはNPOも積極的に参加すると思うが、NPOの参画について教えていただけるとありがたい。
行政:法律では住民の提案でも景観計画が策定できるとなっている。なお、今回の景観計画の策定にあたっては、パブリックコメントの募集や説明会を県内3か所でやっている。また、市町を通した意見照会を行い、その結果をまとめて都市計画審議会で協議いただだき策定した。景観計画自体は5月2日に告示し、今その結果の縦覧をしている。当然それを決めるまでにも、住民の皆さんのご意見を聞いて活かしている。
NPOほか:景観形成は、すべてまちづくりにつながるが、さきほど県の担当課の人が言ったように、いかに住民参加をすすめ、NPOと行政が協働するかが問題としてあるが、今私の地元の自治体では、ボランティアを強制するかような回覧板が回ってきたりする。景観を保全するといった事業なら、自治会や行政だけで決めるのではなく、色々な人がもう少し柔軟な決まりの中で情報を持ち寄るべきである。条例で決まっているから、あるいは補助金が出るからやるのではなく、逆に古い“しきたり”や慣習が関係する地域も多いと思う。それを県内にアピールするものがあれば良いと思うし、栃の大木が見つかったというような話は良い事例である。そのように、行政主体にならないような情報が住民に広がっていくと良い。
NPOほか:住民一人ひとりの意識が変わることが大切。その風景が大切に思えるきっかけが大切だと思う。以前は地元のことを全然知らなかったが、色々なことを地主に教えてもらった。昔からその土地を知っている方から情報を知ることができれば、その土地を愛すること、感じることができる。そういうことを知る機会があればすごく嬉しい。
NPOほか:地元の市には条例があるが、建物の高さ制限や色の規制は、特に市民から必要だとして盛り上がってきたものである。ただ、船に乗った時に、やはり県内の方は自分たちの生活視点から見る。一方で琵琶湖から見える風景は、緑が豊かで県外から来た人には非常に評価が高い。確実に違う。自分たちの生活の財産でもあるけれど、滋賀県の財産だと主張していった方が良い。地元でも新しい物ができて松並木が、ばさっと切られたりしている。無くなってからでは遅い。
NPOほか:県の施策の提案が地域によって合うとき、合わない場合がある。一部の市町には合わないものもある。無理に(施策を)成功させようとしているようにも見える。そこには成功しないといけないという大きな課題があるけれど、市民にとってはまだ課題であることの捉え方しかないのに、「これをやったらどうか、あれをやったらどうか。」という提案は、重荷に感じるときがある。市民からの提案を揉みくちゃにしながらでも、課題をもっと見つけながら、この地域には何が必要かという話し合いを深める中で、客観的に町の課題を出してもられたらと思う。
また、人間は誰でも褒められたら嬉しい。まちが頑張れる要素を県から投げかけてもらえればと思う。景観にしても、そういう感じがする。市民がワクワクして動く要素があれば良い。県がコーディネーター役として少しのリードをしてもらえればと思う。
行政:県は条例だけでなく、地域の活動も行って見せてもらい、気が付いたところはアドバイスしている。県はこういう機会を持つべきと思っている。もしそういうニーズがあれば声を掛けてほしい。機会を作ってもらえればどこへでも行く。
NPOほか:表彰状で評価を形に表すのもアイデアの一つである。また、子どもも一緒に参加して行うような行事も考えられる。
世話人:景観計画には見直し規定は入っているのか。例えば、県民からの提案等はどのように受け入れる素地があるのか。策定段階でのパブリックコメントの募集などは聞いたが、実際に出来た以後はどのような取扱をされるのか。
行政:変更手続でも同じ手順を踏むという規定がある。
世話人:参加や協働の仕組みという点ではまだまだ弱い。行政はパブリックコメントの募集をやれば参加してもらっていると認識する傾向がある。

農村の景観と産業について

NPOほか:滋賀の象徴ともいえる農村の景観だが、農村景観というのはいわゆる構造物を規制するだけでなく、生産基盤をどう維持するかが非常に大きなテーマになってくる。生活が成り立たないといけない。社会的な問題にも関わる。そういった意味で県が施策としてどう考えているか聞きたい。
行政:県の場合は、元々風景条例があって、枠組みそのものが決まっている中で、枠組みの中に全体を移そうという作業をしたので、これから新たに景観行政団体になって景観計画を立てるところは県よりももっと地域に密着した景観資源を守ることになる。そうなると、住民、NPOとの協働がもっと色濃く出てこないと実際に守っていくことは難しい。これからの景観行政は、行政が誘導するだけでなく、地域の人々が深く関わって自分で守ろうという制度に変わっていかないといけない。農村行政は、そこの生活そのものと関わっている。最初に風景ありきではなく、まず基盤となる生活・暮らしがあってのことである。そこの施策がさきに無いと守っていけない。農業施策、商業施策があった上で結果として現れるのが景観である。先ほどの話のように規制だけでは何も生まれない。また、農村に住んでいる方だけでは守れない。都市の住民、あるいはNPOといかにうまく連携が図れるかどうかが大切である。
NPOほか:棚田の景観保全プロジェクトに関わり、棚田の美しさをアピールしたいと思っていた。どの辺を美しいと出していったら良いかを模索している。農村側もその地域の方が気づかなかった農村風景の美しさについて、他がバックアップする体制がないと動きにくい。どういった形で滋賀県がバックアップしていくのかと思う。
世話人:耕作放棄地が今大体全国で10%くらいある。特に中山間地は厳しい。棚田等を守るのも生業と結びつかないと難しい。都市計画課のサイドではいけるかと言うと、まさに行政の縦割りの話になる。いかに農林部局と結びつけられるかと思うが、そう簡単にはいかないだろう。
行政:縦割りだから確かに難しい。そうでなくても棚田の保全は行政では何ともできない。主体になるのが行政ではなく、そこに関わる人が新しい価値観を持って入らないと守れない。そういう人にいかにたくさん出てもらうかが、行政の仕事である。もう一つは、そこに入って活動してもらうために、どういうサポートができるか。補助金だけの行政ではなく、何か新しい姿が出てこないと守れないと思うが、それが見えてこない。行政が何をすればいいのか。できれば皆さんにご提案をいただいて、新しい方向性が見出せればと考える。
NPOほか:景観形成に役立ったかというのは、不動産業関連では、琵琶湖沿いのいわゆる琵琶湖が借景と言われる土地で、斜面を生かして勾配をつけるような工夫をしている。滋賀県は中心に琵琶湖があって周りが山だから、この借景はやはり大事な部分になる。もし(無計画に)建ってしまうと大変だし、防災面でも問題がある。

近隣景観形成地区について

世話人:近隣景観形成地区は自治会だが、滋賀県の3,300自治会のうちの80というのは、都市計画課としてどう評価しているか。昔は補助金もあったが。
行政:一番最初の近隣景観形成協定は、昭和60年の高月町の雨森区である。ここは以前からまちづくりの手段が景観づくりであった。花を飾り、鯉を泳がせ、電柱も家に取り込まれた。そこを起点にして、たくさんの人に見てもらい、こういう取り組みをやりませんか、というのが最初の活動であった。しかし、これは嫌だと言われる人が多かった。理由の一つは、きれいにするためには非常にお金がかかること。もう一つはお金だけでなく、週末に半強制的に出て行かないといけない。そういう活動をしながら、それでも地域の人がその状態に価値を見い出しているから、地域活動として自主的に続いている。その中で、協定地区の人が年に1回、一堂に会し、それぞれの協定地区の取り組みを見ていただく集いを始めた。それが全県的に広がった結果が現状である。平成18年度も80,19年度も80箇所であり、何故伸びていないかといえば、県の補助金が年々減少しているからであり、また、市町の財政も厳しい。協定を増やせば増やすほど、市町の財政も厳しくなる。県としては、当初平成22年に105地区という目標を掲げ、年に5地区ずつ増やそうと思っていた。今でも年に1地区は増やしたいと思っているが、それもままならない。補助金がいわゆるインセンティブになっているが、それはいつまでも続かない。やはり地域の方に取り組んでもらい、何らかの新しい価値を見い出していただければ続いていくし、価値が見出せなければ、補助金が終わったら止めるだろう。80地区あるが、すべてが実際に活動しているのではなく、その中の何割かが自然消滅していると思う。自主的に各地域が取り組むのが理想で、本来の目指すべき姿だと思う。

都市の景観保全について

世話人:例えば、奈良町はもともと民間の人が価値を認めていたものに対して、後から行政がお金をつぎ込むようになって、景観が維持されている。
行政:奈良町は古い家屋を保存するために、それを店にして残しているが、観光客などの外部の人だけでなく、地元の人にも結構好かれているようである。最近も情報誌で奈良町特集があり、そこで色々なお店などの紹介がされていた。
世話人:町家を考える会の事務局をやっていて何とかみんなで町家を残そうとしているが、地元の市は景観条例を持っているが、積極的に運用する考えがあまり無いようである。
世話人:奈良町も今でこそあのような形だが、当初町並み再生をやろうとしたら、そこに住んでいる人は、古くて寒いので、みんな出たいと言っていた。それを皆さんが動き回って、やっとあそこまで来た。ずっと心に残っているのが、やはり生活があってはじめて景観があるということである。私の地元は、駅前の開発が進んでいるため、商店街の活性化や町並みの保全が言われているが、地元の人は、そんなノスタルジーに浸っていても生活できないと言われる。このような中で最近、県内各地域でまちづくり協議会ができている。今、東近江、高島、湖南市、長浜、近江八幡辺りで。既存のまちづくり委員会などは、みんなで話し合い電柱を中へ入れ、道路の色を少し街並みに合った色にしたりして、ハードからソフトの部分、文化の部分へと発展している。私の地元でもそういうまちづくりのノウハウが住民に身に付いているから割とスムーズにいく。今、まちづくり協議会への一括補助金がある市がある。住民が興味を持つ所は活用されると思う。関係者の連携が難しい面もあるが、市町がこれから頑張っていかなければならない。
世話人:高月町の雨森区は特定の方が30年近く中心になってやっておられる。やはりあのようなリーダーがいないといけない。
行政:そうである。別に補助金が無くても、自分たちの住まいの周りを良い環境にしておきたいという思いが大切である。それに対して価値を見出せなければ、いくら補助金があっても、住民の総意としてはそういう活動にはなり得ない。一つはリーダーがいて、いかに啓発して引っ張っていくか。
NPOほか:先ほどの景観ウォッチングに関しては、「景観視点場」を作ったらどうかと考えている。各市町において、ここから見たら自分の町がわかるという場所をつくる。そうすれば、そこから見えるものには変なものを置けない、少なくとも現状の景観は保てる、ということでやっている。県の方で、50年、100年の計で考えていただき、各市町に一つずつ「景観視点場」をつくるというのを施策の中に入れてもらえたらということを提案したい。もう一つは、環境を考慮した景観であり、「アジェンダ21」を達成するのは景観を知らないといけない。皆さんご存じであると思うが、「景観は環境を写すカガミである。」という言葉がある。これをもう少しPRして、環境を考えた景観を念頭に置いて行政は施策を進めていただけたらと思う。主としては、我々がやらなければならないことではあるが。
NPOほか:右肩上がりの成長の時代が終わり、(景観への取り組みの)時間・スピードが、もう少しゆっくりでもいいのではないかと思う。基本的にそこで生きている人の大事な部分は生活環境である。我々も身近なところから少しでもできることはやっていきたい。

屋外広告物の規制について

世話人:看板は簡単に規制できそうだが、一度建った建物の高さを下げるような、県外の市での規制は揉めたようであるが、どこまで行政が言えるのだろうか。
行政:高さの規制は景観計画の中に盛り込めるが、高さは景観法ではなく、別の都市計画関連で規制をかけるべきだという概念があり景観法による変更命令はできないのが現状である。
行政:今の段階で建っているものについて、すぐに規制はできない。同時に広告物は、建物よりは回転が速いので多少の違いがあると思うが、同じく今あるものに規制をかけるのは非常に難しい。
NPOほか:広告物はヨーロッパでは回転させるか、八角形の集合広告を使ったりしている。その辺について何か政策はないか? 街中での話であるが。
世話人:のぼり旗も景観を壊しているという考えがある。それなら行政も多く立てている。
行政:「街中にある広告物って、汚いな、景観に悪いな。」と思って見ている方はどれくらいいますか?世話人:前は気にならなかったが、京都の様子を見ていると気になる。(京都は)色合いなどが落ち着いている。同じ会社の広告でも違う。
世話人:京都だけ配慮するのも変な話である。
NPOほか:広告デザインの雑誌を見ていると、やはり洒落たもの、なるほどと思うものが多く、町並みに合った広告物が掲載されている。
NPOほか:のぼり旗は、イベントの時は(案内として)立ててもらわないと会場に行けない。期間・時間的な問題もある。例えば半日、一日だけか、長い期間かによっても違うのではないか。
NPOほか:湖沼会議の時に、県外から来られた方が、琵琶湖があるのでスイスの湖畔のような景色をイメージされていたのだが、大津駅前に出て全然違って驚いていたと聞いた。
NPOほか:看板などの景観は、それが当たり前になってしまっているので、日々の生活でどうかと言われたら、あまり気にならないというのが正直なところである。それがどれだけ自分たちに影響を与えているのかという感性を持ち、「これはいけない。」という気持ちが芽生えるきっかけがあればと思う。

行政による施策の進め方、支援などについて

NPOほか:地元に高速道路が通り、新たなインターチェンジに期待されているが、今まで未開発の地域であり、ここの景観対策は協議されていると思うが、高さ規制等に関して、住民との話し合いの場がない。いきなり行政が示すのではなく、市民提案で条例等を作るべきと考えている。滋賀県の特性である農業や田園の素晴らしさも見てもらいながら、マッチングを示してもらえればと思う。
NPOほか:景観視点場については、それぞれの市町で選んでいく際にコンセンサスを得るための過程で、県がバックアップ、支援できるような仕組みづくりや研修などをしてもらえればいいのではないか。

まとめ

NPOほか:やはり住みやすさを自分たちで感じ、さらに滋賀に住んでいることの誇りも加味しながら、生活を見直していかないといけないと思う。自分たちの地元の足下から誇れるまちづくりについて考えさせられた。
NPOほか:滋賀県は全国の真ん中にあり、交通の要衝でもあり、風景や観光の問題を全国に発信しやすい場所だから、皆さんと共に努力しながら風景の素晴らしさなどを全国に発信できたらと思う。
行政:皆さんが住んで楽しい気持ちの良いまちづくりをしていくと同時に、観光客を外から呼ぶ必要がある。県は法令等で一定の強制力を持っているが、それだけではだめである。経済的なコンセンサスを得る努力をしていきたい。今日は非常に勉強になった行政:今県の財政も非常に厳しい。昔ながらの補助金でなく、むしろ、住民・NPOの自主的な活動をいかに県がサポートできるのかということを考えていく時代でないか。県にこういうことを求める、という意見をいくつかいただき非常に心強く思う。期待に応えていきたい。
行政:景観の仕事をしながら思うのだが、それぞれの農村、都市で色々な要素がある。景観部局の取り組みだけでは十分ではない。改めて景観施策の難しさを考えた。同時に皆さんがこれだけ考えていただいている、という生の声を聞けてよかった。今回の会議を何かのきっかけ、今後の参考としたい。
行政:景観法という法律ができて、景観施策は一番身近な市町村がやるという原則が出て、それでは一体、県の役割・仕事は何かと考えると、一つは、景観行政団体になっていない市町に行って、勧めることである。一方で、本当はしたいのに、県の方から手放すようなことをして自己矛盾を起こしている面もある。景観行政団体になる市町では勉強されているが、そうでないところは視点場の重要性もわからない。ただ、大きな流れとしては、まだまだ県がやることもあるなと思った。
行政:過去に屋外広告物を撤去する仕事をしていたときに現場を回った。しかし、実際に経済活動をしている方の思いもあることがわかった。なかなか難しいところもある反面、やはり気持ちよく生きていきたい。
行政:大学で観光も研究しているが、滋賀県では観光客が増える要因として、やはり琵琶湖の存在が大きい。観光客に評価される景観を大切にしていきたい。
行政:県の立場で仕事をしているとなかなか見えないが、県職員も地域に帰ると一住民である。県の施策もNPOや県民の立場を理解し、現場の視点でという話もよくしている。地元で自然環境や観光関係の活動などをやっているが、観光を中心に考えているので湖岸には高いビルはないが、違った位置から見ると重要文化的景観のすぐ隣にコンクリートのテラスや橋など行政主導で造ったものが景観を害していることがある。県職員も地元の住民の目で考えて欲しい。
行政:生活者の視点と外からの視点をバランス良く取り入れて考えていかないといけないと思った。県財政も厳しい中で、NPOや市民団体の果たす役割がますます大きくなっている。皆さんにはそれぞれの分野でご活躍いただければと思う。
NPOほか:地元では10数階建てのマンションができる。しかも隣の家から60cmしか離れていないところに建つ。それにより、地域住民が動いて景観条例ができた。しかし条例ができたというだけでなく、盛り上がってきたものが萎んでいかない、より良い地域づくりを考えていきたいと思う。
世話人:NPOの景観を守りたいという思いがひしひしと伝わってくる一方で、県は予算も減ってきており、どう守っていくのか。また、県から市町へ権限も移る中で、打つ手がないというのが正直な感想だ。これは、障害を持つ人がどう社会参加するかという流れによく似ている。要するに障害者が社会参加するときに、運動機能が弱い人が他の人と競争した場合に仕事の能力が低いと見られる。そういう人が競争の中で排除されていくと、社会がギスギスしてくる。競争しすぎるとかえって非効率になる。社会的弱者の方が社会参加していくことが、経済的合理性があるということに行き着いて、ユニバーサルデザインを広めている。色々な人が社会参加する方が経済的効率は良い。例えば、お年寄りが社会に出ると家で寝込まなくなり医療費もかからなくなる。景観もそれと一緒で似ている。近江八幡市の担当の方が熱心で、取り組みがどんどん拡がって近江八幡の魅力になり、観光客がたくさん来る。何故だろうと思ったが、過去の積み重ねがあって今に繋がっている。景観対策には投資価値があるのだと思う。その価値の測り方をこれからの県の仕事にしていかなければならない。屋外広告物は出す側は派手にして目をひきたい。しかしそのような看板はどうしても下品になるが、それに気付かない。そうするとマイナスイメージも同時に広告していることになり、結局看板の広告価値はどうかという話になる。一方で例えば、温泉に人を案内するときは、場所が分かるための看板自体は必要だ。そうしたら、どのような広告物をつくるべきか考えたときに、中間色みたいな淡い色調で統一するという「マンセルデザイン」を広めたり、看板屋さんとタイアップして、「この看板は県の認定基準に基づいている」といったような、新しい規制ではないが、それに近い取り組みが必要ではないか。法律で規制するところと、景観というのは投資になるという教育と、住民の取り組みを支えていくのと、企業からの応援の視点(企業が景観に投資すると儲けにつながるよ)が必要かと思った。
世話人:活発な意見を出していただきありがたい。景観保全は行政だけではできないというのがよくわかった。また、一方で実は景観には住民もNPOも関わるところが結構あると改めてわかった。
もう一つ「しが協働ル~ム」という、具体的にNPOの方が行政と何かのテーマで話し合いたい、といった提案を取り上げる仕組みがある。とりあえず協議会をつくって全県的に広めようとされているものもあるので、もし具体的に何かあれば、もう一回都市計画課と話がしたいと県民活動課に言っていただき、是非それも活用していただきながら、少しずつ進めば良いと思う。
閉会 [16時00分終了]

参考資料
参考リンク

情報掲載日 2009年01月26日
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  • FAX:077-528-4838
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