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【イべントレポート】「米原市清滝の『イブキ』の治療現場と周辺の巨木観察研修会」

イブキ
とき:平成20年11月2日(日曜日)10時30分~15時20分 ところ:米原市清滝周辺

米原市清滝の「イブキ」が治療されることとなった経緯

米原市清滝の「イブキ」は、地元の方から大切にされてきました地域のシンボル的な伝承700年の古木ですが、近年、大きな枝が枯れるなど、樹木の健康状態について心配する声があがっていました。
そこで、このイブキに専門的な治療を施し、樹勢を回復させるため、(財)日本緑化センターによる「巨樹・古木林保全管理推進事業」に、当イブキを推薦したところ、選考されました。
そして、この度日本緑化センターの委託を受けた滋賀県樹木医会のみなさんによる診断・治療が実施される運びとなりました。
この機会を利用し、滋賀県緑サポーターを始めとする巨樹・古木の保全に関心の深い方々を対象として、滋賀県樹木医会・米原市・滋賀県による「米原市清滝『イブキ』の治療現場と周辺の巨木観察研修会」を開催しました。

米原市清滝「イブキ」の診断と治療

イブキの診断と治療は、滋賀県樹木医会のみなさんが行いました。
樹木医は、傷んだり病気になった樹木の診断や治療、樹病の予防などに携わる樹木の専門家です。

イブキの概要

その昔、京極氏が伊吹山から一株のイブキの苗木を投げ、その飛び終えた地点を京極氏の墳墓にしようとしました。
苗木は当地まで飛来し根付き、以後、この地を京極氏の本拠地にしたという由来が伝わっています。
イブキは、別名ビャクシンと呼ばれています。
清滝のイブキは、イブキとしては県内最大級の巨木で、昭和50年に町の天然記念物に、平成3年には県の自然記念物に指定されています。

イブキの衰弱

近年、枝先の枯れが増えだしましたが、今年は特に西側の太い枝の枯死が目立つようになりました。

イブキの診断

今回の枝枯れ及び、樹勢の衰えの原因を判断するにあたり、現地の状況を調査したところ、近年下水道工事が行われ、樹木付近にあった池に水が溜まらなくなったとのことでした。
また、枯れている枝がどの根の方向か調査し、その付近の土質を調べてみると保水性の低い土壌が見られました。
以上の状況から判断すると、水不足によるイブキの衰弱が考えられました。

治療方針

  • 土壌を改良して保水性を高める。
  • 光合成が少しでも盛んになるよう、形を損なわない程度に枯れ枝を除去する。
  • 下がった枝の補助として、支柱の付け替え工事を行う。

治療のポイント

土壌の改良
樹木の生長には土壌中に養分があることはもちろんですが、それ以上に新鮮な酸素、水分が必要です。
樹木は、土壌中でも酸素を吸収して二酸化炭素を放出します。土壌中に空気が自由に出入りするすき間が必要であり、このすき間がふさがれてしまうと、根が呼吸できなくなります。
また、水分も樹木にとって常に必要です。夏期の乾燥期にも水分を十分保持してくれる水持ちの良い土壌が要求されます。
土壌中の空気と水分の問題は、ほとんど土壌中のすき間の量に関係しています。土壌中のすき間には、小さいすき間と大きいすき間があり、小さいすき間は根が吸収できる水分・空気を保ち、大きいすき間は排水・新鮮な空気の供給に役立ちます。

治療方法

  • 土壌
    • 有効土層と思われる100cmから120cmの土壌を改良。
    • 土質の改良:保水剤の真珠岩系パーライト、養分となるコンポスト堆肥、バーク堆肥を土壌に補給。掘削には、重機、エアースコップ(根の傷みを軽減するため)を使用。
  • 枝剪定 小枝を剪定し、古葉を落とす。
  • つる性植物の除去
  • 枝を補助する支柱の工事

研修会スケジュール

「米原市清滝の『イブキ』の治療現場と周辺の巨木観察研修会」
平成20年11月2日(日曜日)
10時30分~12時00分 清滝の「イブキ」の治療状況の研修
12時00分~13時00分 昼食 (清滝寺徳源院にて)
13時00分~15時20分 周辺地域の巨樹・古木の見学
 

  1. 清滝の「道誉サクラ」 (推定樹齢 300年)
  2. 長岡神社の「イチョウ」 (推定樹齢 800年)
  3. 西山の「ケヤキ」 (推定樹齢 400年)
  4. 八幡神社の「スギ並木」 (推定樹齢 400年)
  5. 了徳寺の「オハツキイチョウ」 (推定樹齢 200年)

以下に、当日の様子をご紹介します。

「イブキ」の治療 (午前中)

午前中は、米原市清滝にて滋賀県樹木医会による「イブキ」の治療状況について研修を受けました。
普段なかなか見ることができない、土壌改良等の技術を、間近で見ることができました。

イブキ観察
米原市清滝の現場に到着しました。
案内看板
清滝の「イブキ」は、県の自然記念物に指定されています。
樹木医による解説
滋賀県樹木医会による「イブキ」治療に対する解説。 診断の結果、水不足による樹木の衰弱が考えられる
イブキ治療
土壌改良の様子を見学しました。 エアースコップを使って、土をほぐしているところです。
イブキへ登る
希望者は、はしごを使ってイブキに登らせていただきました。
樹上からの見た風景
樹上からの風景。 樹高約9.5mのイブキに登ると、街並みが小さく見えます。
土壌改良材
保水性を高めるための、土壌改良材もまかれました。
イブキ
伝承700年の樹齢を物語るイブキの樹形。

昼食

清滝寺徳源院
清滝寺徳源院の中で、持参したお弁当をいただきました。
清滝寺徳源院
見事な庭を楽しませていただきました。

巨木の見学 (午後)

昼食後、樹木医会のみなさんによる案内のもと、近隣5箇所の巨樹・古木の観察に出発しました。
限られた地域の中に、このように多種多様な巨樹・古木の姿を見ることができました。

(1) 清滝の「道誉サクラ」

清滝の「道誉サクラ」
清滝寺徳源院の境内にある「道誉サクラ」
清滝の「道誉サクラ」
春には、多くの花見客が訪れます。

(2) 長岡神社の「イチョウ」

「イチョウ」
長岡神社の「イチョウ」
長岡神社の「イチョウ」
見学時には、紅葉前の鮮やかな黄緑色の葉を見ることができました。

(3) 西山の「ケヤキ」

「ケヤキ」
西山の「ケヤキ」
西山のの「ケヤキ」
樹木医による解説。

(4) 八幡神社の「スギ並木」

「スギ並木」
八幡神社の「スギ並木」
八幡神社の「スギ並木」
社殿への石段の両側にスギの巨木が並んでいます。

(5) 了徳寺の「オハツキイチョウ」

「オハツキイチョウ」
了徳寺の「オハツキイチョウ」
了徳寺の「オハツキイチョウ」
このイチョウがつける銀杏は、葉の上に実るという珍しい特徴が あります。
清滝のイブキ
(清滝のイブキ 2008年8月5日撮影)

ありがとうございました。
イブキの治療は11月中旬に完了し、現在、引き続き樹勢を見守っています。

お問い合わせ

滋賀県琵琶湖環境部森林政策課
電話番号:077-528-3918
FAX番号:077-528-4886
メールアドレス:dj00@pref.shiga.lg.jp