琵琶湖には一級河川だけでも117本の河川が流入し、一方流出河川は瀬田川のみであるため、大雨が降ると琵琶湖の水位が上昇し、湖辺地域では昔から洪水に悩まされてきました。
琵琶湖総合開発事業で、琵琶湖治水事業として、瀬田川の改修工事、湖岸堤の築造などが行われ、その結果、この洪水への対策は大きく進みました。
例えば、琵琶湖総合開発の開始された1972年(昭和47年)7月の高水(+92cm)と1995年(平成7年)5月の高水(+93cm)の例を比較すると、水位上昇に伴う湖辺の水田の冠水面積は、約2割に減少しています。
琵琶湖の水位は、明治7年から観測がはじまり、世界でも珍しい長期的な記録になっています。
現在では、琵琶湖の水位をはじめ、琵琶湖から下流への放流口である瀬田川洗堰の流量などの情報は、国土交通省琵琶湖河川事務所によって収集され、直接ホームページに掲載されているほか、県にも提供されています。
これらのデータは、生活や産業、琵琶湖の環境に与える影響を知り、対応を図る上で貴重な資料となっています。
現在の水位の操作のルールは、平成4年に定められた瀬田川洗堰操作規則に基づき、国土交通省が行うことになっています。
このルールは、できるだけ水位の変動を避けながら、県民生活や産業活動、生態系や自然景観等に対する影響を十分考慮したものとなるように、県が国に申し入れ、十分相談した上で制定されたものです。
しかし、平成4年にこの操作規則が決められて操作が始まって以来、次のような問題が分かってきました。
このため、県と国とは、洪水や渇水を十分考慮した上で、こうした問題に対応した操作ができないか、調査検討・試行などをしながら、検討しているところです。
琵琶湖の水位が大きく低下すると、地下水の低下や湖水位低下による水利用への支障や、干陸化などによる景観悪化、水草の繁茂、船舶航行への支障など、さまざまな影響が起こります。
このため、琵琶湖総合開発事業では、水位低下対策として、水道用水の取り入れ口を琵琶湖の沖に移動したり、航路を浚渫するなどの対策が行われました。 1994年(平成6年)の列島大渇水では、9月15日に観測史上最低水位である、−1.23mを記録し、下流府県では20%、県内では10%の水道等の取水制限が実施されるほどでしたが、県民生活への直接の大きな支障はありませんでした。
琵琶湖の水位は、県民生活や産業活動にさまざまな影響を与えます。
琵琶湖の基準となる水位(B.S.L.±0m)は、大阪湾の最低潮位から+85.614m(東京湾平均中等潮位から+84.371m)の高さとされており、片山(高月町)、彦根、大溝(高島市)、堅田、三保ヶ崎(大津市)の5ヶ所に設けられた水位計の平均値で表されています。琵琶湖の水位は、国土交通省琵琶湖河川事務所が琵琶湖の水位と下流の水需要を考えながら、瀬田川洗堰を操作することにより調節されています。
水位の調節は、次を基準とされています。
毎年6月16日から8月31日まで(洪水期) | 洪水期制限水位 | −0.2m |
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毎年9月1日から10月15日まで(洪水期) | 洪水期制限水位 | −0.3m |
毎年10月16日から6月15日まで(非洪水期) | 常時満水位 | +0.3m |