滋賀県読書バリアフリー計画 概要版 第1章 計画の基本的な考え方 1.計画策定の趣旨 本県における視覚障害者等の読書環境の整備を推進する計画 2.計画の位置づけ 「読書バリアフリー法」第8条に基づく、地方公共団体の計画 「第3期滋賀県教育振興基本計画(滋賀の教育大綱)」、「これからの滋賀県立図書館のあり方(平成30年3月策定)」、「滋賀県障害者プラン2021」等、県の他の関連計画等の方向性と整合性を図った計画 「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標に資する計画 3.計画の対象等 本計画において「視覚障害者等」は、視覚障害、盲ろう、発達障害、肢体不自由、知的障害などの障害により、活字によって表現された書籍(雑誌、新聞その他の刊行物を含む。)を読むことが難しい者、寝たきりや上肢に障害がある等の理由により書籍を持つことやページをめくることが難しい者とする。なお、障害手帳の有無は問わない。また、「書籍」とは雑誌、新聞その他刊行物を含む。 4.計画の期間 令和4年度(2022年度)から令和8年度(2026年度) 5.計画の推進体制と進行管理 市町関係部局、図書館等と連携、福祉・障害者団体、関係者との連携・協力 定期的な点検および評価 6.「SDGs」との関係 第2章 視覚障害者等の読書環境をめぐる現状と課題 1.国における取組 平成30年「マラケシュ条約」の締結の承認、「著作権法」の改正 令和元年「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(以下「読書バリアフリー法」)成立 令和2年「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」策定 2.滋賀県における取組 県立視覚障害者センター 視覚障害者の福祉の向上を図ることを目的とし、点字図書や録音図書の貸出し、製作、IT機器の利用支援等を実施。 県立図書館 活字を読むことが困難あるいは図書館利用に障害がある者への読書支援として、大活字本や点字資料、録音資料などの様々な形態の資料や拡大読書器・再生機器などの機器類の整備のほか、郵送サービスや対面朗読等を実施。県内市町立図書館への様々な形態の資料や機器類の貸出支援。 3.視覚障害者等の読書の状況 視覚障害者等が利用しやすい(アクセシブルな)書籍やサービス アクセシブルな書籍、アクセシブルな電子書籍等、インターネットを利用したサービス(サピエ図書館など)、代読、対面朗読 (補足説明) アクセシブルな書籍:点字図書、拡大図書、録音図書、触る絵本、布の絵本、エルエルブックなど、視覚障害者等が利用しやすい書籍 アクセシブルな電子書籍等:音声読み上げ対応の電子書籍、デイジー図書、オーディオブック、テキストデータなど、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等 サピエ図書館: 視覚障害者等が録音・点字・電子図書を、パソコン・スマートフォン・専用機器を使って利用できる、インターネット上の電子図書館 4.視覚障害者等の読書環境についての課題 (1)音声読み上げ対応の書籍等の出版点数が少なく、専門書や実用書が少ない。 (2)出版された書籍等からアクセシブルな書籍等を製作するのには時間がかかり、なかなか話題の図書や新しい情報にふれることができない。 (3)図書館等においてアクセシブルな書籍等の継続的な収集が必要。 (4)障害のある児童・生徒にとって身近な学校図書館の読書環境整備が必要。 (5)点訳・音訳などのボランティア人材が不足している。 (6)視覚障害者等に読書や図書館を身近に感じてもらう事が必要。 (7)視覚障害者等の読書に関する様々なサービスについて当事者・支援者に一層の周知が必要。 (8)読書支援機器は高額な製品も多く、個人での購入は負担がある。 (9)デイジー図書等やサピエ図書館を利用するのにICT機器を使用する必要があるが、それらの扱いに不慣れな人もおり、利用支援が必要。 (10)サービス提供側が個々の障害の特性を理解し、ニーズを把握する必要がある。 第3章 目指す姿と基本方針 1.目指す姿 障害の有無にかかわらず読書を通じて豊かな人生を送れる滋賀 2.基本方針 読書を通じたネットワークでつながりあう 基本方針T [そろえる] 「読みたい、選びたい」がかなうよう書籍等を充実させます 基本方針U [とどける] どこに住んでいても利用できるよう書籍等を提供します 基本方針V [ささえる] 自分にあった読書ができるよう書籍等の活用を支援します 第4章 施策の展開 1.基本方針T[そろえる]読みたい、選びたいがかなうよう書籍等を充実させます 重点施策1 書籍等の収集・製作 県立図書館、県立視覚障害者センター、県立学校図書館における利用者の実情に合わせた書籍等の収集 県立図書館および県立視覚障害者センターにおける書籍等の情報収集、利用者や公共図書館への情報提供 これまで培ったノウハウを生かした障害の種類および程度に応じた書籍等の製作 書籍のテキストデータの提供について国への要望および県内出版社へ働きかけ 重点施策2 書籍等の製作の支援 多様な主体による製作が行われるよう、これまで培った書籍等の製作ノウハウを公共図書館、関係する施設・団体と共有 重点施策3 書籍等の製作人材の養成 書籍等を製作する施設・団体等と連携した点訳・音訳等の書籍等の製作人材の養成 点訳・音訳等のボランティアの継続的な活動と広がりのための製作の支援および活動紹介 2.基本方針U[とどける]どこに住んでいても利用できるよう書籍等を提供します 重点施策4 書籍等を提供するための連携強化 県立図書館および県立視覚障害者センターにおける公共図書館への情報提供や書籍等の貸出 視覚障害者等およびその支援者へのサピエ図書館および国立国会図書館のサービスの利用に関する周知と利用促進 視覚障害者等、支援者、関係機関での定期的な意見交換と新たなネットワークの形成 重点施策5 図書館等の円滑な利用のための支援の充実 県立図書館、県立視覚障害者センター、県立学校図書館等の各館の利用者の状況等に応じたわかりやすい書籍等の配置や館内表示など視覚障害者等が利用しやすい環境整備 県立学校図書館における視覚障害等のある児童生徒の読書活動推進のための学校図書館整備 視覚障害等のある児童生徒の図書館等の円滑利用のため、図書館の利用について学ぶ機会を設けるよう努め、具体的な利用方法を周知 3.基本方針V[ささえる]自分にあった読書ができるよう書籍等の活用を支援します 重点施策6 書籍等の利用支援 県立視覚障害者センター、県立図書館、IT支援センター等における読書支援機器やサピエ図書館等を利用するための支援および情報提供 県立視覚障害者センターおよび県立図書館における書籍等の利用に必要な読書支援機器の設置や貸出 県立視覚障害者センターにおける読書支援機器の購入についての相談や情報提供 書籍等や図書館の利用が促進されるよう、各種障害福祉サービスの情報提供 重点施策7 視覚障害者等の読書に関わる人材の育成 司書や司書教諭、学校司書、読書ボランティア等を対象とした様々な障害の特性への理解を深め、その特性に応じた対応等について学ぶ研修の実施 教員や学校司書等を対象とした読書支援機器等の利用方法等について学ぶ研修の実施 重点施策8 県民への周知 視覚障害者等およびその支援者への様々な形態の書籍や読書手段、公共図書館および県立視覚障害者センターで提供しているサービスについての周知 誰もが読書を楽しめる「読書バリアフリー」を県民に広く周知