滋賀県読書バリアフリー計画 滋賀県教育委員会 令和4年3月 目次 第1章 計画の基本的な考え方 1.計画策定の趣旨 2.計画の位置づけ 3.計画の対象等 4.計画の期間 5.計画の推進体制と進行管理 6.「SDGs」との関係 第2章 視覚障害者等の読書環境をめぐる現状と課題 1.国における取組 2.滋賀県における取組 3.視覚障害者等の読書の状況 4.視覚障害者等の読書環境についての課題 第3章 目指す姿と基本方針 1.目指す姿 2.基本方針 第4章 施策の展開 1.基本方針T[そろえる] 「読みたい、選びたい」がかなうよう書籍等を充実させます 重点施策1 重点施策2 重点施策3 2.基本方針U[とどける] どこに住んでいても利用できるよう書籍等を提供します 重点施策4 重点施策5 3.基本方針V[ささえる] 自分にあった読書ができるよう書籍等の活用を支援します 重点施策6 重点施策7 重点施策8 参考データ 第1章 計画の基本的な考え方 1. 計画策定の趣旨 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(以下「読書バリアフリー法」)は、視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者の読書環境を整備することによって、障害の有無にかかわらずすべての国民が読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受できる社会の実現に寄与することを目的として、令和元年6月に成立しました。 「読書バリアフリー法」では、地方公共団体は「国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する」とされ、地方公共団体に計画の策定を求めています。 昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々の生活や社会のあり方が大きく変化する中、氾濫する様々な情報から適切な情報を選択することの重要性が増しています。さらに、人との交流が制限され、社会とつながりが持ちにくくなる状況下にあって、読書を通じて心の健康を保つという視点でも、読書や図書館の有する意義が再確認されています。 また、東京2020パラリンピックでは、選手の活躍が人々に勇気を与えたように、障害のある人がその人らしく社会で活躍できる環境を整えることは、社会に活力を与え、生き生きとした滋賀の実現につながるものです。本県においては、令和7年に開催される全国障害者スポーツ大会に向け、今後一層障害のある人の活躍の広がりが期待されるところです。 読書は障害のある人の主体的な活動を後押しし、幅広い分野での社会参加・活躍を促すものであることから、本計画の策定により、「読書バリアフリー法」の理念を具現化し、視覚障害者等の読書環境の整備を推進することにより、障害者の社会参加・活躍の促進と、共生社会の実現を目指します。 2. 計画の位置づけ 1「読書バリアフリー法」第8条に基づく、地方公共団体の計画 2「第3期滋賀県教育振興基本計画(滋賀の教育大綱)」、「これからの滋賀県立図書館のあり方(平成30年3月策定)」、「滋賀県障害者プラン2021」等、県の他の関連計画等の方向性と整合性を図った計画 3「誰一人取り残さない」という「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の理念を踏まえ、関連する「SDGs(持続可能な開発目標)」の目標に資する計画 3. 計画の対象等 本計画は、視覚障害、盲ろう、発達障害、肢体不自由、知的障害等の障害により、活字によって表現された書籍を読むことが難しい者、寝たきりや上肢に障害がある等の理由により書籍を持つことやページをめくることが難しい者(以下「視覚障害者等」という。)を対象とします。なお、障害者手帳の有無は問いません。 また、「書籍」とは雑誌、新聞その他の刊行物を含みます。 4. 計画の期間 令和4年度(2022年度)から令和8年度(2026年度)の5年間とします。 5. 計画の推進体制と進行管理 1 推進体制 本計画に基づき、市町関係部局、図書館、学校等のほか、福祉・障害者団体、ボランティア等、関係者との連携・協力により、視覚障害者等の読書環境を整備する施策を推進します。 2 進行管理 計画に掲げた施策の推進状況や指標の達成度について、定期的に点検しながら評価を行います。 また、社会情勢の変化等を踏まえ、必要に応じて計画の見直しを行います。 6.「SDGs」との関係 平成27年9月に国連で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、この中で平成27年から令和12年までの国際目標として、「SDGs」が示されました。「SDGs」は誰一人取り残さない社会を目指し、持続可能な世界を実現するための17のゴールと169のターゲットで構成されています。 視覚障害者等の読書環境の整備を推進することは、障害のある方の社会参加・活躍を促進する共生社会の実現に寄与し、「SDGs」の目標達成に貢献します。 <関連するゴール> 1 貧困をなくそう 4 質の高い教育をみんなに 10 人や国の不平等をなくそう 16 平和と公正をすべての人に ※本計画において主に以下のターゲットに関する取組を推進します。 1.4 貧困層および脆弱層をはじめ、すべての男性および女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地およびその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。 4.5 教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民および脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。 10.2 年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化および社会的、経済的および政治的な包含を促進する。 16.10 国内法規および国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。 第2章 視覚障害者等の読書環境をめぐる現状と課題 1. 国における取組 国においては、国連の「障害者の権利に関する条約」を批准するため、平成25年成立の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」をはじめとした国内法制度が整備され、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けた取組が進められています。 平成25年に国連の専門機関(世界知的所有権機関)において障害者の著作物利用を促進するための「マラケシュ条約」※1が採択されたことを受け、平成30年に同条約の締結承認とともに、著作権法の改正が行われました。これらの動きを契機として、令和元年6月に「読書バリアフリー法」が施行され、同法に基づき、令和2年7月には「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」(以下「読書バリアフリー基本計画」)が策定されました。 「読書バリアフリー基本計画」は、視覚障害者等の読書環境の整備を通じ、障害者の社会参加・活躍の推進や共生社会の実現を目指すものであり、基本的な方針や、国が総合的かつ計画的に講ずべき施策その他必要な事項が定められています. ※1マラケシュ条約 正式名称は「盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」。視覚障害者等が著作物を利用する機会を促進するため、「利用しやすい様式の複製物」について規定している。この条約の締結により、視覚障害者等が「利用しやすい様式の複製物」を、国境を越えて交換することが可能となった。 2. 滋賀県における取組 本県では昭和26年に県立盲学校内に点字図書館を設置し、その後昭和31年に「県立点字図書館」として開館しました。平成12年には名称を「県立視覚障害者センター」と変更し、視覚に障害のある人の福祉の向上を図ることを目的として、各種情報の提供や、視覚障害者の自立および社会参加を促進する事業を実施しています。具体的には、点字図書・録音図書の貸出や製作、サピエ図書館※2へのデータの提供、IT機器の利用支援などを行っています。 一方、県立図書館では、これまでの図書館利用に障害のある人への障害者サービスに加え、平成29年度に策定した「これからの滋賀県立図書館のあり方」において、「全ての県民へ向けたサービスの実施」として、「図書館利用に配慮の必要な人に向けたサービス」を掲げました。障害者や高齢者の読書を支援するため、大活字本や点字資料、録音資料などの様々な形態の資料、拡大読書器や再生機器などの機器類を整備するとともに、郵送サービスや対面朗読などの障害者サービスの充実を図っています。 さらに、本県すべての自治体に設置されている市町立図書館※3に対し、視覚障害者等が利用しやすい様々な形態の資料や機器等の貸出および司書への研修を行うことで、県域全体のサービスを支援してきました。 また、平成31年4月には「滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例」を施行し、障害者の情報の取得や利用に対する支援を進めることを規定するとともに、令和3年3月には「滋賀県障害者プラン2021」を策定し、「読書におけるバリアフリーの推進」を重点的取組のひとつとしています。 ※2 サピエ図書館 視覚障害者および視覚による表現の認識に障害のある方々に対して点字データや音声データ等を提供するインターネット上の電子図書館。正式名称は「視覚障害者情報総合ネットワーク」。 ※3 滋賀県の図書館設置率について 滋賀県には全市町に県立図書館を含め計51館が設置されている。設置率100%の都道府県は、本県のほか、富山県、石川県、福井県、鳥取県の計5県のみ。(令和2年4月現在) 3. 視覚障害者等の読書の状況 視覚障害者等が利用しやすい書籍および電子書籍等には、次のようなものがあります。(以下「アクセシブルな書籍等」といいます。) ・点字図書、拡大図書、録音図書、触る絵本、布絵本、LLブック等 ・音声読み上げ対応の電子書籍、デイジー図書、オーディオブック、テキストデータ等 読書に関するサービスとしては、次のようなものがあります。 ・サピエ図書館や、国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービス等、インターネットを利用したサービス ・支援者等による代読や、公立図書館・点字図書館で実施されている対面朗読 アクセシブルな書籍等とは 【アクセシブルな書籍】 点字図書 点字に翻訳(点訳)された本。点を使って図や絵を表した点図と点字を貼り付けた「点字絵本」もある。 拡大図書 大活字本など、通常の本の文字を判読しやすく拡大して印刷された本。 録音図書(音訳図書) 書籍等を読み上げ(音訳)て録音し、聴くことで読書ができるようにした図書。CD等に録音されており、再生機を使って利用する。 触る絵本・布絵本 布・革・毛糸などを用いて作られた絵本で、触って絵の形が分かるようになっている。 ボタンをとめたり、ひもを通したりする仕掛けなどがあり、楽しみながら読むことができる。 LLブック 「LL」とはスウェーデン語の「Lattlast(分かりやすく読みやすい)」の略で、「LLブック」とは、読むことに困難を伴いがちな青年や成人を対象に、生活年齢に合った内容を、分かりやすく読みやすい形で提供すべく書かれた本のことである。 【アクセシブルな電子書籍等】 音声読み上げ対応の電子書籍等 バリアフリーに配慮した電子書籍は、パソコン・スマートフォン・専用機器を使って、目次から読みたいページに移動したり、文字の大きさ・色・フォント・背景の色を変えたりすることができる。内容を音声で聴くことができる電子書籍も増えている。 デイジー図書 デジタル録音図書の国際標準規格に則った電子図書。デイジー(DAISY)とは、Digital Accessible Information System(アクセシブルな情報システム)の略称。目次から、読みたい見出しやページに移動できる。書籍等の内容を録音し音声にした「音声デイジー」、内容をテキストにした「テキストデイジー」、文字や画像をハイライトしながら音声と一緒に読める「マルチメディアデイジー」がある。再生するには専用の再生機器を使うか、再生用ソフトをインストールしたパソコンや、スマートフォンやタブレットの再生用アプリを使う。 オーディオブック 書籍等を読み上げまたは口演し、必要に応じて効果音等をつけることで、聴くことにより読書ができる電子音声コンテンツ。 テキストデータ 文字だけで構成された文書のデータ。音声読み上げソフトなどで読むことができる。 4. 視覚障害者等の読書環境についての課題 「(仮)滋賀県読書バリアフリー計画」検討懇話会委員からの聴き取りおよび一般社団法人 電子出版制作・流通協議会が令和元年度に実施した「視覚障害者等の読書における技術的な課題等に関する調査研究【報告書】」からは、視覚障害者等の読書環境については以下のような課題があると考えられます。 (1)音声読み上げ対応の書籍等の出版点数が少ない。小説や文芸作品に比べ、専門書や実用書は少なく、マルチメディアデイジーやLLブックなど出版点数がさらに限られているものもある。そのため、なかなか話題の図書や新しい情報にふれることができない。 (2)出版された書籍等から点字図書やデイジー図書等を製作するのには時間がかかり、必要とする書籍をすぐに読むことができない。 (3)図書館等においてアクセシブルな書籍等の継続的な収集が必要である。 (4)障害のある児童・生徒にとって身近な学校図書館の読書環境整備が必要である。 (5)高齢化や社会環境の変化等により、点訳・音訳などのボランティアをはじめ読書環境を支える人材が不足している。 (6)視覚障害者等に読書や図書館等を身近に感じてもらえるような取組が必要である。 (7)デイジー図書等について、また公立図書館の障害者サービス、県立視覚障害者センターやサピエ図書館のサービス等について、視覚障害者等やその支援者に一層の周知が必要である。 (8)読書支援機器※4は高額な製品も多く、個人での購入は負担がある。 (9)デイジー図書等やサピエ図書館を利用するのにICT機器を使用する必要があるが、それらの扱いに不慣れな人もおり、利用支援が必要である。 (10)障害の種別や程度によって、利用しやすい書籍や読書の形態は異なる。サービス提供側が個々の障害の特性を十分理解し、ニーズを把握する必要がある。 ※4 読書支援機器 視覚障害者等の読書を支援する機器。文字などを拡大してモニターに写したり、コントラストを強調させたりできる拡大読書器や、音声デイジーなどを再生するためのデイジー再生機などがある。 第3章 目指す姿と基本方針 1.目指す姿 読書は生涯にわたって、個人の学びや成長を支えるものであり、教養や娯楽を得る手段のみならず、教育や就労を支える重要な活動です。 本県の図書館行政においては、先人の努力の成果として、県内の全市町に図書館が整備され、県立図書館は県内公共図書館※5への貸出を積極的に実施するとともに、公共図書館職員に対する研修や運営上の助言など、公共図書館の物的・人的ネットワークを確立してきました。このネットワークにより、すべての県民がどこに住んでいても必要とする図書・情報を得ることが出来ます。 また、福祉の分野においては、本県の先人は、福祉の実践の中で障害者の放つ命の輝きに社会を変えていく力があることを見いだし、「この子らを世の光に」の言葉に代表される福祉の思想を遺しました。この思想は滋賀の各地に広がり、更なる福祉の実践を生み出すとともに、こうした現場の先駆的な取組を施策につなげてきた歴史があります。 「読書バリアフリー」の環境整備に当たっては、視覚障害者等の読書環境をめぐる現状と課題を踏まえつつ、これら本県が誇る強みを活かし、目指す姿を「障害の有無にかかわらず読書を通じて豊かな人生を送れる滋賀」として取り組みます。 ※5 公共図書館 地域住民に図書館サービスを無料で提供する図書館。本県では地方公共団体によって設置される市町立図書館および公益財団法人江北図書館を指す。 2. 基本方針 目指す姿の実現に向けては、本県の強みを活かし、「読書を通じたネットワークでつながりあう」の考えを基盤に、次の3つの基本方針のもと、施策を推進することとします。 なお、第3章、第4章においては、特段の場合を除き、「書籍等」と表記したものは「アクセシブルな書籍等」を意味します。 読書を通じたネットワークでつながりあう 基本方針T[そろえる]「読みたい、選びたい」がかなうよう書籍等を充実させます 視覚障害者等が障害の特性に応じた適切な形態の書籍等が利用できるよう、 書籍等を充実させます。 基本方針U[とどける]どこに住んでいても利用できるよう書籍等を提供します 視覚障害者等がニーズに合った書籍等を手にすることができるよう、利用環境の整備に取り組みます。 基本方針V[ささえる]自分にあった読書ができるよう書籍等の活用を支援します 視覚障害者等が書籍等を活用できるよう、支援する環境を整えます。 第4章 施策の展開 1.基本方針[そろえる]「読みたい、選びたい」がかなうよう書籍等を充実させます 【基本的な考え方】 障害の種別や程度によって、利用しやすい書籍の形や利用方法は異なります。障害の特性に応じた適切な形態の書籍を利用できるように、書籍等を充実させます。 また、教育や就労など、人生のあらゆる段階において書籍を通じて専門知識を得ることができるように、多様な分野の書籍等の充実に努めます。 さらに、書籍等の製作を継続的に行うことができるよう、製作の支援を進め、製作人材を養成します。 重点施策1 書籍等の収集・製作 県立図書館、県立視覚障害者センター、県立学校図書館において、各施設の利用者の実情に合わせて、書籍等を収集します。 県立図書館および県立視覚障害者センターにおいて、書籍等に関して継続的に情報を収集し、利用者や公共図書館に提供します。 これまで培ったノウハウを生かして、障害の種類および程度に応じた書籍等の製作をします。 書籍のテキストデータの提供に係る国の取組が進むよう要望するとともに、県内出版社等へは「読書バリアフリー法」について周知し、書籍のテキストデータの提供について働きかけます。 重点施策2 書籍等の製作の支援 多様な主体による製作が行われるように、これまで培った書籍等の製作ノウハウを、市町立図書館、関係する施設・団体等と共有します。 重点施策3 書籍等の製作人材の養成 書籍等を製作する施設・団体と連携し、点訳・音訳などの書籍等の製作人材の養成を行います。 点訳、音訳などのボランティアの継続的な活動および活動の広がりにつながるよう、製作の支援を行うとともに、ボランティアの活動を広く紹介します。 (補足) 著作物を利用するときは、原則として著作権者の了解をとる必要があります。ただし、例外として了解なしに利用できる場合があり、著作権法に定められています。 著作権法第 37 条第 3 項における、視覚障害者等の福祉に関する事業を行う者で、政令で定めるもの(障害者入所施設や図書館等の公共施設の設置者、一定の要件を満たすボランティア団体等、また、文化庁長官が個別に指定する者)は、視覚障害者等向けに必要と認められる限度において、著作物を複製し、アクセシブルな書籍等を製作することができます。 ●指標 現状(令和2年度)、目標(令和8年度)の順に記載 視覚障害者センターのアクセシブルな書籍等所蔵数(タイトル数) 令和2年度14,489 令和8年度16,010 県立図書館のアクセシブルな書籍所蔵数(冊数) 令和2年度5,325 令和8年度6,015 サピエ図書館への年間アップロード数 令和2年度324 令和8年度346 点訳・音訳ボランティア養成・研修受講者数(人数 累計) 令和2年度1,522 令和8年度1,600 2.基本方針U[とどける]どこに住んでいても利用できるよう書籍等を提供します 【基本的な考え方】 視覚障害者等がどこに住んでいても必要とする書籍等を提供できるように関係機関の連携を強化します。あわせて、読書や図書館の利用が難しい視覚障害者等にとって、読書や図書館がより身近なものとなるような取組を進めます。 また、視覚障害者等が生涯にわたって、自ら必要な書籍を利用できるように、図書館等を円滑に利用できるよう支援します。 重点施策4 書籍等を提供するための連携強化 視覚障害者等が身近な図書館で書籍等を利用できるように、県立図書館および県立視覚障害者センターにおいて、公共図書館への情報提供や書籍等の貸出を行います。 視覚障害者等およびその支援者に、サピエ図書館および国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービスについて周知します。 視覚障害者等が読書を楽しめる方策について、当事者やその支援者、関係者が定期的に意見交換をできる場を設け、新たなネットワークを形成します。 重点施策5 図書館等の円滑な利用のための支援の充実 視覚障害者等が利用しやすいよう、県立図書館、県立視覚障害者センター、県立学校図書館等の各館の利用者の状況等に応じたわかりやすい書籍等の配置や館内表示などの環境整備を進めます。 県立学校における視覚障害等のある児童生徒の読書活動推進のため、学校図書館の整備を進めます。 視覚障害等のある児童生徒が生涯学習の場である図書館の利用について学ぶ機会を得られるように努めるとともに、具体的な利用方法を周知します。 指標 現状(令和2年度)、目標(令和8年度)の順に記載 視覚障害者センターにおける点字図書年間貸出数(タイトル数) 令和2年度916 令和8年度1,150 県立図書館におけるアクセシブルな書籍等年間貸出数(冊数) 令和2年度4,931 令和8年度5,985 サピエ会員新規登録者数 令和2年度197 令和8年度270 3.基本方針V[ささえる]自分にあった読書ができるよう書籍等の活用を支援します 【基本的な考え方】 視覚障害者等が書籍等を円滑に利用できるように、アクセシブルな電子書籍等の利用を支援するほか、司書や司書教諭※6、学校司書※7等、視覚障害者等の読書環境の整備に関わる人材の育成を行います。 また、視覚障害者等がライフステージにあった書籍等と出会い、読書を通じて豊かな人生が送れるよう、様々な形態の書籍等や読書の手段について周知し、県民への理解促進を図ります。 重点施策6 書籍等の利用支援 視覚障害者等が書籍等を利用できるように、県立視覚障害者センター、県立図書館、IT支援センター※7等において、読書支援機器やサピエ図書館等を利用するための支援を行います。また、デジタル技術の革新をふまえて、視覚障害者等の利便性の一層の向上を図るため、最新の技術について情報収集に努め、情報提供を行います。 視覚障害者等が書籍等を利用できるように、県立視覚障害者センターおよび県立図書館において、必要な読書支援機器の設置や貸出を行います。 読書支援機器の購入について、県立視覚障害者センターにおける相談や情報提供を引き続き行います。 書籍等や図書館の利用が促進されるように、各種障害福祉サービスの情報提供を行います。 重点施策7 視覚障害者等の読書に関わる人材の育成 司書や司書教諭・学校司書、読書ボランティア等を対象に、様々な障害の特性への理解を深め、その特性に応じた対応等について学ぶ研修を実施し、資質の向上を図ります。 学校におけるICT環境整備が進められていることも合わせ、教員や学校司書等に対し、アクセシブルな電子書籍等の周知とともに、読書支援機器の利用方法等について学ぶ研修を実施します。 重点施策8 県民への周知 視覚障害者等およびその支援者に、様々な形態の書籍等や読書の手段、市町立図書館および県立視覚障害者センターが提供しているサービスについて周知を図るため、相談窓口や福祉施設、医療機関等を通じた情報発信に努め、利用を促進します。 障害の有無にかかわらず全ての人が読書を通じて豊かな人生が送れるよう、様々な形態の書籍等や読書の手段についてホームページ等で県民に広く周知し、共生社会の実現の気運を高めます。 ※6 司書教諭・学校司書 司書教諭とは、学校図書館の専門的職務を担う教員。学校司書とは、専ら学校図書館の職務に従事する事務職員を指す。 ※7 IT支援センター 障害者のIT利活用に関する総合的なサービス提供拠点。滋賀県では、社会就労事業振興センターに設置している。また、視覚障害者を対象としたサテライトを、県立視覚障害者センターに設置している。 指標 現状(令和2年度)、目標(令和8年度)の順に記載 読書支援機器に関するITボランティアの派遣回数・IT支援回数 令和2年度66 令和8年度84 アクセシブルな書籍等を利用するための端末機器の延べ貸出日数 令和2年1,352 令和8年度1,800 読書バリアフリー関連講座や研修の受講者数(人数 累計) 令和2年度33 令和8年度220 1 参考データ 1.滋賀県における身体障害者手帳所持者等 各障害者手帳所持者および特別支援学校・特別支援学級等の在籍児童生徒等の状況は下記のとおりです。 障害手帳所持者(令和3年3月31日現在) 障害種別等 所持者数 身体障害者手帳所持者 視覚 3,208人 肢体不自由 28,817人 療育手帳所持者 15,317人 精神障害者保健福祉手帳所持者 11,710人 特別支援学校・特別支援学級等の在籍児童生徒数(令和3年5月1日現在) 県立特別支援学校 幼稚部 視覚障害2人 小学部 視覚障害2人、肢体不自由 147人、知的障害 559人 中学部 視覚障害4人、肢体不自由 95人、知的障害 400人 高等部 視覚障害15人、肢体不自由 85人、知的障害 820人 市町立小・中学校の特別支援学級 弱視 17人 肢体不自由 101人 知的障害 2,617人 通級による指導を受けている児童生徒 小学校 1,476人 中学校 376人 2.県立視覚障害者センターに関するデータ 所蔵数(令和3年3月31日現在) 録音図書(CD) 5,845タイトル 点字図書 8,644タイトル 作成数(令和2年度) 録音図書(CD) 126タイトル 点字図書 162タイトル 貸出数(令和2年度) 録音図書(CD) 9,140タイトル 点字図書 916タイトル 点訳ボランティア、音訳ボランティア養成・研修(令和2年度) 開催回数、受講者延べ人数の順に記載 点訳中級講習会 12回、119名 音訳中級講習会 6回、40名 個別サービスの提供(令和2年度) 件数・人数、延べ数の順に記載 点訳 75件、3,118頁 点字印刷 77件、9,242頁 録音・編集 100件、352時間 対面朗読 28名、56時間 その他(令和3年3月31日現在) サピエ図書館利用者(登録者)数190人 3.県立図書館に関するデータ 所蔵数(令和3年3月31日現在) 大活字本 3,382冊 録音図書(CD) 945点 音声デイジー図書 462点 マルチメディアデイジー図書 170点 点字図書 173冊 点字つき絵本 171冊 LLブック 22冊 ※LLブック所蔵数は参考数値 貸出数等(令和2年度) 大活字本 3,015冊 録音図書(CD) 1,851点 音声デイジー図書 18点 マルチメディアデイジー図書 25点 点字図書 13冊 点字つき絵本 9冊 郵送貸出 1,420冊(418件) 対面朗読 11件 ※点字つき絵本の貸出数は参考数値 その他(令和3年3月31日現在) 郵送貸出登録者数 140人 サピエ図書館利用者(登録者)数 7人 2 計画における所要見込額 本計画における主要関連事業の所要見込額は次表のとおりです。 令和5年度以降の所要額については、令和4年3月時点の見込みであり、国の制度変更、毎年度の予算審議等を踏まえ、変動することがあります。 関連事業名、令和4年度見込み額、令和5年度見込み額、令和6年度見込み額、令和7年度見込み額、令和8年度見込み額、計の順に記載。単位は千円。 読書バリアフリー推進事業、2,615、2,615、2,615、2,615、2,615、13,075 地域における読書バリアフリー体制強化事業(1/2国庫)、5,520、5,520、5,520、5,520、5,520、27,600 読書バリアフリーのための資料整備事業、637、637、637、637、637、3,185 県広報誌点字版・音声版作成、1,456、1,456、1,456、1,456、1,456、7,280 合計、10,228、10,228、10,228、10,228、10,228、51,140 3 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(令和元年法律第四十九号) 目次  第一章 総則(第一条―第六条)  第二章 基本計画等(第七条・第八条)  第三章 基本的施策(第九条―第十七条)  第四章 協議の場等(第十八条)  附則    第一章 総則  (目的) 第一条 この法律は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進し、もって障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化(文字・活字文化振興法(平成十七年法律第九十一号)第二条に規定する文字・活字文化をいう。)の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的とする。  (定義) 第二条 この法律において「視覚障害者等」とは、視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍(雑誌、新聞その他の刊行物を含む。以下同じ。)について、視覚による表現の認識が困難な者をいう。 2 この法律において「視覚障害者等が利用しやすい書籍」とは、点字図書、拡大図書その他の視覚障害者等がその内容を容易に認識することができる書籍をいう。 3 この法律において「視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等」とは、電子書籍その他の書籍に相当する文字、音声、点字等の電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。第十一条第二項及び第十二条第二項において同じ。)であって、電子計算機等を利用して視覚障害者等がその内容を容易に認識することができるものをいう。  (基本理念) 第三条 視覚障害者等の読書環境の整備の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。  一 視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等が視覚障害者等の読書に係る利便性の向上に著しく資する特性を有することに鑑み、情報通信その他の分野における先端的な技術等を活用して視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の普及が図られるとともに、視覚障害者等の需要を踏まえ、引き続き、視覚障害者等が利用しやすい書籍が提供されること。  二 視覚障害者等が利用しやすい書籍及び視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「視覚障害者等が利用しやすい書籍等」という。)の量的拡充及び質の向上が図られること。  三 視覚障害者等の障害の種類及び程度に応じた配慮がなされること。  (国の責務) 第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。  (地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。  (財政上の措置等) 第六条 政府は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。    第二章 基本計画等  (基本計画) 第七条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(以下この章において「基本計画」という。)を定めなければならない。 2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。  一 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策についての基本的な方針  二 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関し政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策  三 前二号に掲げるもののほか、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ、経済産業大臣、総務大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならない。 4 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ、視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。 5 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 6 前三項の規定は、基本計画の変更について準用する。  (地方公共団体の計画) 第八条 地方公共団体は、基本計画を勘案して、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の状況等を踏まえ、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない。 2 地方公共団体は、前項の計画を定めようとするときは、あらかじめ、視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 3 地方公共団体は、第一項の計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。 4 前二項の規定は、第一項の計画の変更について準用する。    第三章 基本的施策  (視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等) 第九条 国及び地方公共団体は、公立図書館、大学及び高等専門学校の附属図書館並びに学校図書館(以下「公立図書館等」という。)並びに国立国会図書館について、各々の果たすべき役割に応じ、点字図書館とも連携して、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援の充実その他の視覚障害者等によるこれらの図書館の利用に係る体制の整備が行われるよう、必要な施策を講ずるものとする。 2 国及び地方公共団体は、点字図書館について、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、公立図書館等に対する視覚障害者等が利用しやすい書籍等の利用に関する情報提供その他の視覚障害者等が利用しやすい書籍等を視覚障害者が十分かつ円滑に利用することができるようにするための取組の促進に必要な施策を講ずるものとする。  (インターネットを利用したサービスの提供体制の強化) 第十条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等がインターネットを利用して全国各地に存する視覚障害者等が利用しやすい書籍等を十分かつ円滑に利用することができるようにするため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。  一 点字図書館等から著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第二項又は第三項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「特定電子書籍等」という。)であってインターネットにより送信することができるもの及び当該点字図書館等の有する視覚障害者等が利用しやすい書籍等に関する情報の提供を受け、これらをインターネットにより視覚障害者等に提供する全国的なネットワークの運営に対する支援  二 視覚障害者等が利用しやすい書籍等に係るインターネットを利用したサービスの提供についての国立国会図書館、前号のネットワークを運営する者、公立図書館等、点字図書館及び特定電子書籍等の製作を行う者の間の連携の強化  (特定書籍及び特定電子書籍等の製作の支援) 第十一条 国及び地方公共団体は、著作権法第三十七条第一項又は第三項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい書籍(以下「特定書籍」という。)及び特定電子書籍等の製作を支援するため、製作に係る基準の作成等のこれらの質の向上を図るための取組に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、特定書籍及び特定電子書籍等の効率的な製作を促進するため、出版を行う者(次条及び第十八条において「出版者」という。)からの特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するための環境の整備に必要な支援その他の必要な施策を講ずるものとする。  (視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進等) 第十二条 国は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等が促進されるよう、技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進、著作権者と出版者との契約に関する情報提供その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、書籍を購入した視覚障害者等からの求めに応じて出版者が当該書籍に係る電磁的記録の提供を行うことその他の出版者からの視覚障害者等に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するため、その環境の整備に関する関係者間における検討に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。  (外国からの視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の入手のための環境の整備) 第十三条 国は、視覚障害者等が、盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約の枠組みに基づき、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等であってインターネットにより送信することができるものを外国から十分かつ円滑に入手することができるよう、その入手に関する相談体制の整備その他のその入手のための環境の整備について必要な施策を講ずるものとする。  (端末機器等及びこれに関する情報の入手の支援) 第十四条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するための端末機器等及びこれに関する情報を視覚障害者等が入手することを支援するため、必要な施策を講ずるものとする。  (情報通信技術の習得支援) 第十五条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するに当たって必要となる情報通信技術を視覚障害者等が習得することを支援するため、講習会及び巡回指導の実施の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。  (研究開発の推進等) 第十六条 国は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等及びこれを利用するための端末機器等について、視覚障害者等の利便性の一層の向上を図るため、これらに係る先端的な技術等に関する研究開発の推進及びその成果の普及に必要な施策を講ずるものとする。  (人材の育成等) 第十七条 国及び地方公共団体は、特定書籍及び特定電子書籍等の製作並びに公立図書館等、国立国会図書館及び点字図書館における視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援に係る人材の育成、資質の向上及び確保を図るため、研修の実施の推進、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。    第四章 協議の場等 第十八条 国は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の効果的な推進を図るため、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、総務省その他の関係行政機関の職員、国立国会図書館、公立図書館等、点字図書館、第十条第一号のネットワークを運営する者、特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者、出版者、視覚障害者等その他の関係者による協議の場を設けることその他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとする。    附 則  この法律は、公布の日から施行する。 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画【概要】 (読書バリアフリー法基本計画) 【本計画の位置付け】 ・視覚障害者等(=視覚障害、発達障害、肢体不自由等の障害により、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者)の読書環境の整備の推進に関する施策の推進を図るため、 読書バリアフリー法(7条)に基づき、総務大臣・経済産業大臣等との協議を経て、文部科学大臣・厚生労働大臣が策定(対象期間:令和2〜令和6年度)。 ・関係者による「協議の場」(18条)として設置した関係者協議会からの意見聴取を踏まえて策定。 ・本計画策定後も、引き続き関係者協議会を開催するとともに、定期的な施策の進捗状況等の把握、課題の解決に向けた取組を実施。 【基本的な方針】 1.アクセシブルな電子書籍等の普及及びアクセシブルな書籍の継続的な提供 ・アクセシブルな電子書籍等(=音声読み上げ対応の電子書籍、デイジー図書、オーディオブック、テキストデータ等)について、市場で流通するものと、著作権法第37条に基づき障害者施設、図書館等により製作される電子書籍等を車の両輪として、その普及を図る。 ・視覚障害者等の需要を踏まえ、引き続きアクセシブルな書籍(=点字図書、拡大図書等)を提供するための取組を推進する。 2.アクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡充・質の向上 ・公立図書館、点字図書館、大学及び高等専門学校の附属図書館、学校図書館、国立国会図書館において各々の果たすべき役割に応じアクセシブルな書籍等を充実させる。 ・アクセシブルな書籍等を全国の視覚障害者等に届ける仕組みとして図書館間の連携やネットワークを構築する。 3.視覚障害者等の障害の種類・程度に応じた配慮 ・読書環境の整備を進めるに当たり、視覚障害者等の個々のニーズに応じた適切な形態の書籍等を用意する。 【施策の方向性】 1.視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(9条関係) ・公立図書館等や国立国会図書館、点字図書館におけるアクセシブルな書籍等の充実 ・各図書館の特性や利用者のニーズ等に応じた、円滑な利用のための支援の充実 ・視覚障害等のある児童生徒及び学生等が在籍する学校における読書環境の保障 ・公立図書館等における障害者サービスの充実 2.インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(10条関係) ・アクセシブルな書籍等の統合的な検索システムに係る十分な周知 ・国立国会図書館やサピエ図書館のサービスの周知、サービス内容や提供体制等の検討 ・サピエ図書館への会員加入の促進などサピエ図書館の安定的な運営に資する支援の推進  3.特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(11条関係) ・サピエ図書館における製作手順や仕様基準の作成支援 ・特定書籍・特定電子書籍等(=著作権法第37条により製作されるアクセシブルな書籍・電子書籍等)の製作ノウハウ共有等による製作の効率化 ・製作者への電磁的記録の提供に関する課題や具体的方法について出版関係者との検討の場を設置 4.アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(12条関係) ・ICT技術等の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進 ・アクセシブルな電子書籍等の販売等に関する著作権者と出版者との契約に資する情報提供 ・書籍購入者への電磁的記録の提供に関する課題や具体的方法について出版関係者との検討の場を設置 ・民間電子書籍サービスの図書館への導入を支援 5.外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(13条関係) ・受入れ・提供機関の役割分担等による円滑な入手及び外国への提供の促進 6.端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、ICTの習得支援(14条・15条関係) ・点字図書館等とICTサポートセンターの連携による端末機器等の情報の入手支援 ・点字図書館と公立図書館の連携によるサピエ図書館等のICTを用いた利用方法に関する相談・習得支援、端末機器の貸出等の支援 ・地方公共団体による端末機器等の給付の実施 7.アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等(16条関係) ・研究開発やサービス提供者に対する資金面の支援及び開発成果の普及 8.製作人材・図書館サービス人材の育成等(17条関係) ・司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上に資する研修等の実施 ・点訳者・音訳者、アクセシブルな電子データ製作者等の計画的な人材の養成