「持続可能な心の成長」
最近、『SDGs』という言葉をよく見かけます。『持続可能な開発』のための国際目標で、地球環境の深刻な問題や国際紛争、差別や貧困などに世界全体で取り組もうというものです。このうち、CO2の削減や森林・海洋の保全などは、利益を求める企業にとっては、一見、制約を与えるものと思われがちですが、企業が長期的に発展していくためには必要な取り組みです。
ふと、「人間の心についても、地球の資源と同じように考えられるのではないか」という思いが頭に浮かびました。
心のエネルギーをどんどん使っていくばかりでは、やがてすり切れてしてしまいます。一度ダメージを受けたら、復活させるまでに長い時間と手当てが必要になることも、地球の資源と似ています。
私たちは、小学生のときから、「がんばることは良いこと」と教わってきました。勉強をがんばって、運動をがんばって、習い事をがんばって、友達づきあいをがんばって、お手伝いをがんばって・・・。弱音を吐かない、人に頼らない、あきらめない。そうすることが、強い子、強い心の持ち主と思われてきました。もちろん、心のエネルギーが十分にあるときは、がんばればよいし、その努力の末に、偉業(いぎょう)を達成する人たちもいるでしょう。けれど、がんばり続けた末に、疲れ果てて、体をこわしてしまうこともあります。
心のエネルギーにも限りがあるし、どれだけがんばっても、できないことはあります。どこかで、自分の力を知って、不可能なことは受け入れて、折り合いをつけて生きていくことが必要になります。もしかすると、これが、子どもから大人になるということなのかもしれません。
不登校になったとき、周囲は、「もっとがんばれ」と言います。実際に、本人は、ギリギリまでがんばります。でも、「これ以上がんばれない」というときが来て、学校を休みます。ここが転換点ではないかと私は思います。「やればできる!」というこれまでの価値観から、「できることをする」「自分に合ったやりかたでやる」「助けを求めながらやる」という方向に変えていくことが大切です。それもできないほど、エネルギーを使い果たしたときは、一度休むということも、将来のための大切な選択です。小中高生の人生は、この後80年も90年も続く可能性があるのですから。
SDGsで地球を守ることを、自分の心に置き換えて、負荷(ふか)をかけすぎず、一人ひとりが『持続的に成長』していけたらいいなと思います。
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