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令和4年度第3回滋賀県総合教育会議の開催結果

開催日時

 令和4年11月11日(金曜日)午前10時から午前12時まで

開催場所

 県庁北新館5-A会議室

出席者

  • 知事 三日月 大造
  • 副知事 大杉 住子
  • 教育長 福永 忠克
  • 委員 土井 真一
  • 委員 岡崎 正彦
  • 委員 窪田 知子
  • 委員 野村 早苗
  • 委員 石井 太
  • (ゲスト)栗東市立葉山東小学校 好士﨑 壯 校長
  • (ゲスト)近江八幡市立八幡中学校 楠本 茂樹 校長 他1名

議題

(1)次期「滋賀の教育大綱」について

(2)子どもと教職員の笑顔あふれる学校づくりについて

会議録

(福永教育長)

ただいまから、令和4年度第3回の滋賀県総合教育会議を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

本日の出席者につきましては、お手元の出席者名簿と配席図により紹介に代えさせていただきますのでご了承願います。

また本日はゲストスピーカーといたしまして、栗東市立葉山東小学校の好士﨑校長先生、また近江八幡市立八幡中学校の楠本校長先生と、柳内先生にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

なお本日の会議は会場とオンラインの併用で開催をいたしまして、三日月知事、窪田委員、石井委員におかれてはオンラインでご出席をいただいております。

また会場での傍聴とあわせましてWeb会議システムのウェビナー機能によりオンライン視聴も実施しておりますので、ご承知おき願います。

それでは開会にあたりまして、知事からご挨拶をよろしくお願いいたします。

 

(三日月知事)

皆さんおはようございます。11月に入って山や町は色が変わり、暦の上では冬ということで、寒くなってきました。

それぞれお忙しい中、本日もご参加いただきましてありがとうございます。

また日頃は滋賀県の教育行政にそれぞれの立場でご協力、ご指導いただいていることに心から感謝申し上げます。

また、新型コロナ感染症もここにきて第8波の入り口ということで、少し感染が増えてきているのですが、段々とわかってきましたし、いろいろなものを止めるのではなく、うまく付き合いながら活動を継続させて、大切な命をしっかりと守っていく、より賢い対応をみんなで協力して取っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

昨日から滋賀県内の南部地域を中心に、学校体育研究大会滋賀大会が開催されています。昨日、教育長と一緒に出席してご挨拶をしましたが、全国から体育や保健体育の授業で頑張っていただいている大変多くの先生方にご参集いただいて、今日は研究事業が行われていると承知をしております。体と心の健康という点で、保健体育、体育の授業をこれからも大事にしていきたいと思います。

また今年は3年ぶりに栃木県で国民スポーツ大会、障害者スポーツ大会が開催され、大杉副知事にも応援に行っていただきました。高校生のアスリート、また滋賀ゆかりのアスリートの皆さんも大変頑張ってくださって、私も応援しがいがありました。現場で柔道と陸上の応援をしてきたのですが、現役高校生のアスリートもすごく頑張ってくれていて、キラキラ輝いていたのが印象的でした。

12月には全国中学校駅伝が、今年も野洲の希望が丘で開催されますので、ぜひみんなで協力しながら盛り上げていきたいと思います。

もう1つは、長浜農業高校の生徒が10月に鹿児島で行われた全国和牛能力共進会に初めて出場し、大変優秀な成績を収めてくれました。これも嬉しかったですね。

また昨日から今日にかけて、13カ国の大使等の皆様が県内へ訪問中です。昨日は私もレセプションに参加させていただきましたが、今日は午前中に信楽高校の生徒の皆さんと陶芸を通じた交流をしていただくことになっています。

生徒の皆さんが事前に、それぞれの国の文化に応じた、特徴のあるたぬきを作ろうとすごく頑張って準備をしてくれているようで、メディアの注目もすごく高いとのことでした。

ぜひ高校の魅力化をみんなで考えて、令和の時代にふさわしい取組をしようと思いますので、ぜひ今回のことを糧にしたいと思います。

あわせて、もう1つの選択肢を増やす、滋賀の高専を作る取組を進めているところです。教育行政にも関連するところがたくさんあると思いますので、教育委員会の皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

今日の話題は次の「滋賀の教育大綱」について考えることと、子どもの笑顔を作るためには、先生も笑顔にならなければいけない、学校全体が笑顔増えるようにしたいということです。そのために何をすればよいか、今日は現場の先生方から様々な取組の発表や課題提起をいただくことになっておりますので、限られた時間ですが、有意義なひと時になりますようお願い申し上げまして、私の冒頭のご挨拶とさせていただきます。

皆様よろしくお願いします。

 

(福永教育長)

ありがとうございました。それでは早速ですが、議事に入らせていただきます。

まずは「次期『滋賀の教育大綱』について」を議題といたします。事務局から説明をお願いいたします。

(教育総務課長)

議題1「次期『滋賀の教育大綱』」、について、特に本日は骨子案についてご協議をお願いしたいと考えております。

まず10月13日に教育振興基本計画審議会第1回会議を開催いたしましたので、その結果を報告させていただきます。

<資料1-1>

諮問内容をベースに、各委員から自由にご意見をいただいたところです。1ページの「4教育を取り巻く諸課題と対応について」に、意見をまとめさせていただいております。抜粋して紹介いたします。

まず「(1)次期計画の主題に関して」のご意見ですが、(2)では、次期計画の方向性について、「愛」をもってみんなで取り組む教育を位置付けておりましたが、教育において大事にすべき「愛」とは、相手を知ること、相手に配慮すること、相手に責任を持つこと、そして相手を尊重することの4点ではないかとのご意見をいただきました

2ページをご覧ください。(4)では、計画の全体のコンセプトはわかりやすく、ワクワク感などポジティブな部分に目を向けることが、教員確保の視点からも大切だというご意見をいただきました。

「(2)目標設定や実績評価に関して」は、(1)から(3)のご意見のように、量だけでなく質も見ていくべきとのご意見や、子どもたちの育ちの部分を評価していくべきとのご意見をいただきました。

「(3)子どもの知・徳・体の育成に関して」は、(3)では、全国学力・学習状況調査や体力調査への対策を検討されているが、まずは子どもたちの思いが大切であり、子どもたちの意欲が湧くような取組が大事ではないかとのご意見をいただきました。

(2)では、夢や目標を持っていないことが、児童生徒が読書をしない一つの要因であり、夢を持つことで知りたいと思う気持ちが芽生えて、自ら学ぶことに繋がるのではないかとのご意見をいただいたところです。

(3)では、体力の実績を平均で測るのではなく、個々の伸びしろが大切であり、それは学びの最適化の考え方にも通ずるとのご意見をいただきました。

(5)では、幼児教育は、非認知能力を身につけていくところであるという重要性を認識して、就学前の教育のあり方を考えることが大切ではないかというご意見をいただきました。

「(4)学びの環境や子どもの多様な状況への対応に関して)は、(1)では、ウェルビーイングの対象には生徒や教員も含まれることを認識し、持続可能な教育の創出が求められるというご意見がありました。

(2)では、学校の体制を多職種連携のチーム、具体的にはスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、部活動指導員などを挙げておられましたが、そうした多職種連携チームに変えていく必要があるのではないかとのご意見をいただきました。

以上の第1回目の審議会でのご意見等を踏まえて、今回骨子案を作成したところでございます。

<資料1-2>

次期大綱の骨子案の全体像を示しておりまして、左の「大綱策定の背景」に、現大綱の成果と課題を整理しております。

まず「生きる力の育成」では、読み解く力の育成が進んでおり、基礎的・基本的な知識技能の定着をはじめとする、確かな学力に繋げていくことが求められていること、またコロナ禍の影響を踏まえ、豊かな心や健やかな体の育成を図ることが必要だと考えております。

あわせて、特別支援教育におけるきめ細かな指導の推進や、ICT活用に向けた指導力の向上、滋賀ならではの体験学習の推進、教職員の働き方改革などを主要な課題と整理しております。

「社会全体での支え合い」ではコミュニティスクールの取組や地域全体で子どもたちの育ちを支える取組、困難な環境にある子どもたちへの支援などの充実が求められていると考えております。

「生涯学習の振興」では、生涯学習の機会の充実や読書活動の一層の推進、図書館サービスの推進などを課題と整理しております。

こうした課題に対応するために、右の目標や方向性、柱などを整理いたしました。

<資料1-3>

現大綱と比較して説明いたします。

基本目標については現大綱と同じく「未来を拓く心豊かでたくましい人づくり」としております。

サブテーマは、現大綱では「人生100年を見据えた、ともに生きる滋賀の教育」ですが、今回の骨子案では、教育を通じた幸せ、ウェルビーイングの位置づけを大きなキーワードとしておりますので「一人ひとりの幸せ育む滋賀の教育」としてはどうかと考えております。

次に方向性ですが、現大綱では基本的な考え方として、「滋賀らしさを生かした学び」と「人生100年を見据えた学び」の2点を掲げておりますが、骨子案では1つ目が「愛情を持ってみんなで取り組む教育」、2つ目が「個人と社会全体の幸せ(ウェルビーイング)の実現を志向する教育」、3つ目が「学習者を主体に置く教育」、4つ目が「滋賀に学ぶ教育」、この4点を掲げたいと考えております。

これは前回会議で示した諮問の方向性を踏まえた内容としておりますが、1点、「愛情をもって」の部分について、元々「愛をもって」としておりましたが、「愛」という言葉は幅広い概念ですので、よりわかりやすくするために「愛情」に表現を変更しております。

柱については現大綱と同様に3本柱としておりますが、その構成を少し変更しております。

柱1の「夢と生きる力を育む」においては、「確かな学力の育成」では、読み解く力の育成や探究的に学ぶ力の育成、「豊かな心の育成」では自尊感情の育成や道徳人権教育の推進、「健やかな体の育成」では、体育教育の充実や食育の推進などを政策として位置づけたいと考えております。

また「滋賀ならではの体験活動の推進」や、「社会活躍・社会貢献意識の育成」は、具体的には主権者教育や学校、外国語教育、キャリア教育などを考えております。

またICTなどの「情報活用能力の育成」、「部活動の適切な運営」等をこの柱で位置付けたいと考えております。

柱2では「学びの基盤を支える」としまして、「教職員の働き方改革」、「ICT環境の整備」、「学校における心理的安全性の確保」、「インクルーシブ教育システムの構築」、「魅力ある県立高校づくり」、「就学前の教育・保育の充実および小学校教育との円滑な接続」等、これからの時代の変化に対応できるよう学びの基盤を支える各種施策を位置づけたいと考えております。

柱3では「みんなで学びに関わる」といたしまして、「生涯学習の振興」や「家庭の教育力の向上」、「地域や企業等との連携」、「図書館を生かしたまちづくり」さらには「困難な環境にある子どもたち一人ひとりの学びへの支援」、具体的にはスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置や不登校対策、福祉部門等との連携などの施策を位置づけたいと考えております。

資料1-3では現大綱の柱と比較をしておりますが、ご覧のとおり、現大綱の柱2、柱3を、今回の骨子案では柱3にまとめております。また骨子案の柱2では、学習環境の整備やシステムの構築など、学びの基盤づくりに向けた施策をまとめたところでございます。

 以上が骨子案の概要でございます。

本日ご議論いただきました結果を踏まえまして11月25日に予定しております、審議会の第2回会議において、具体的な骨子案の検討を進めてまいりたいと考えております。説明は以上でございます。

 

(福永教育長)

ありがとうございました。事務局の説明にもございましたように、本日はこの次期教育大綱の骨子案について、ご意見を伺いたいと思っております。

今説明のありました基本目標やサブテーマ、全体的な方向性、3つの柱、そして主な施策について、皆様からご意見をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 

(土井委員)

審議会の充実した議論を反映していただいており、基本的に良い骨子案だと思います。

ただ2点ほど意見として申し上げたいのは、まず全体的な方向性について、(1)から(4)の項目については、その通りだと思いますし、また「愛情」についても(1)から(4)まで4つの観点を示していただいていて、わかりやすいと思います。

ただ、この4つをどのように整理して、1つのストーリーにまとめるかという点は、お考えいただく必要があると思います。

(1)では「愛情」の4つの観点が全て「相手」に対する視点であるのに対して、(3)では「学習の主役は一人ひとりの学習者」として「私」の視点になっており、(2)では「ウェルビーイング」が出てきますので、「私」と「相手」と「幸せ」をうまく繋げて説明していただくことが大事だと思います。

「相手」から入っていく書き方もあれば、まず「自分」から入って「相手」についてどのように考えるかという書き方もあると思います。せっかく4点上げていただいているので、1つのストーリーとして説明するのがよいと思います。

次に具体的な政策について、「学びの基盤を支える」「みんなで学びに関わる」部分にも関わってくることですが、学校教育を教員と児童生徒の二極の関係で捉えるのではなく、地域の方々や保護者の方々にも関わっていただく構造とすることが大事だと思います。

その際に、もう1つの観点としてあってもよいと思うのは、「生きる力の育成」の成果と課題にある「自尊感情が十分高まっておらず」の部分との関係で、豊かな心の育成を図っていかなければならないということです。

個人として、または地域として、様々な困難や課題を抱えている子どもたちがいると思います。その子どもたちがなかなか自尊感情を持って積極的に取り組めていない状況が問題視されていますので、その点を改善しなければならないのですが、そのために重要なのは、ロールモデルをしっかりと見せていくことだと思います。困難な状況にありながらでも、積極的に取り組んで、社会に出て役割をしっかりと担っておられる方が身近にいることを見える形にしていくことが大切だと思います。そうでなければ、どうしても他人ごとのように捉えてしまうと思います。

様々なサポートのシステムを作っていく際に、そういったロールモデルを果たしていただける方に参画していただいて、子どもたちと様々な話をする機会を作っていくことが重要だと思います。そういったことを政策として組み込めればよいと思います。

 

(石井委員)

全体として、基本的に素晴らしいものを、皆さんで頑張って作成いただいた印象です。

1、2点、意見を申し上げますと、1つは審議会の内容で、子どもの知・徳・体の育成に関して、「運動する子としない子の二極化が大きな課題」であるとの意見がありましたが、由々しき問題だと改めて感じております。

 現代の流れとして、ゲームの方が面白いでしょうから、子どもたちはそちらに行きますけれど、一方で、体を動かす喜びを経験させていくことが、教育的観点から非常に大事になっていると改めて感じております。よろしくお願いしたいと思います。

もう1つは、知事が表現されている「愛」。不易流行という観点から、最も大事な価値観だと思います。児童生徒にとっては、友達を作る、親友を作ることが大切です。もちろん勉強も大事ですけれど、友達を作って、困った友達を助ける、友達を好きになるといった基本的な力を育むことで、社会に出てから人間関係を育むことができる、立派な人になってほしいという視点が重要だと思います。

成績を上げろという風潮がありますが、友達に対しての思いやりや、親友をつくる素晴らしさといった、基本的な価値観が重要だと感じております。

 最後に企業等との連携。これは産業界としてもESGが重要視される流れの中で重要な責務だと思っております。子どもたちの視野の拡大等に資するべく、積極的に展開していただきたいと感じております。以上でございます。

 

(岡崎委員)

全体的に異論はありません。

私も子育てをしてきて、家族の中でも兄弟やおじいちゃん、おばあちゃんといった相手を子どもたちが思い合って、すくすく育つ姿は家庭の中でもすごく微笑ましい状態です。こういった子どもが滋賀県の中にたくさん増えて、まずは家庭で兄弟を大事にしたり、両親を大事にしたりして、地域ぐるみで子育てをしている地域では、その地域の方々に感謝が伝えられるような子どもが育っていくべきだと思っております。

ですから、相手という言葉がいいのかどうか、私も悩みましたが、まずは相手を知ること、思いやることをしっかりと育む教育をしていくべきだと思いました。

 次に、柱1にありますが、最近話題になっています「部活動の適切な運営」の部分について、もう少し詳しく補足した方がよいのではないかと、気になりました。

もう1点は「学びの基盤を支える」ということで、就学前の教育についてです。今、孫が幼稚園に通うことで、日々成長している姿を見ていて、特に実感しています。これが小学校、中学校と連携されて、すくすくと育つことが大事だということを痛感していますので、就学前の教育は重点的に進めていただきたいと思いました。

 

(野村委員)

ご説明ありがとうございました。私も全体的に申し上げることはありませんが、皆さんと同じで、相手があって、自分がいて、周りの環境があって、それぞれに感謝できるような心が、やはり大人になる中で育っ

 

(窪田委員)

土井委員がおっしゃったように、全体的な方向性の4点が、(1)を目指すために(2)、(3)、(4)があるというストーリーになるのか、(1)のために(2)があり、(2)のために(3)があり、(3)のために(4)があるというストーリーになるのか、県として打ち出したいストーリーが伝わると良いと思いました。

もう1つは、不登校が過去最多を更新している中で、そういった困難な状況にある子どもたちを取り残さないために、柱3に多様な連携により支えていく視点を入れてくださっていますが、そもそもそういう子どもたちを含めた、子どもたちの学びの基盤をどう支えていくのか。不登校になった場合には、多様な福祉やSC、SSWと連携して支えていくということですが、そもそも、そういった子どもたちを含めた学校のあり方について、これからいろいろと考えていければよいと感じました。

 

(大杉副知事)

これまでの議論を凝縮した骨子案を作っていただいていると思います。

あとはどのように実現していくのかということですが、市町ごとの濃淡をどのように捉えて、しっかりと支援していくのか、課題解決能力に様々な差があって、市町としてもただ手をこまねいているのではなく、手をこまねかざるを得ない状況にあるのだと思います。

そこをしっかりと捉えて、どのような支援が求められていくのか、また支援をしていくのか、広域行政として考えていく必要があると思います。

様々のモデル事業についても、いい事例ができた、よかったと、事例集で終わってしまいがちですが、市町や学校の足腰を強くするために活用されたかどうかという点を見直すことだけでも、大きく違うかもしれませんし、この骨子案自体を、社会に開かれた教育大綱にしていくためにも、学校や市町、福祉も含めた様々な分野を巻き込む力も非常に大事になってくると思いますので、そういった点でも、今やっていることを授業づくりの面から見直していくことが大事だと思いました。

 

(教職員課長)

<資料2ページ>

本日はこの3点について説明をいたします。

<資料3ページ>

まず県内教職員の勤務の状況についてご説明します。ここに示しました3つのグラフは、左が教員1人当たりの超過勤務の月平均時間、右上が月45時間を超過した者の割合、右下が月80時間を超過して勤務した者の割合について、働き方改革取組計画策定当初の平成30年度から昨年度までの推移を示したものでございます。

平成30年度と令和3年度を比較いたしますと、教員の超過勤務の状況はわずかに減少しているものの、高止まりの状況でございます。

また左下の表は年休の取得状況でございます。コロナ禍により、令和2年度は数値が落ち込みましたが、令和3年度になり平成30年度の同様の取得状況となりました。

しかしながら、目標値には到達しておらず、働き方改革につきましては、取組を進めているものの、未だ道半ばの状況でございます。

<資料4ページ>

このような中、教職員の皆様がどのような意識を持っておられるのか、教職員課では、今年の9月から10月にかけて働き方改革に関わるアンケート調査を県内の教職員に対して行いました。

ここでは、アンケートの中でも「仕事のやりがい」や「職場の働きやすさ」に注目して速報値をご報告いたします。

まず「やりがい」についてですが、各校種において、「やりがいを感じる」、「やや感じる」と肯定的に答えた職員の割合はおよそ8割となっております。

勤務状況が厳しい中でもやりがいを感じて仕事をしておられる様子が見てとれます。

<資料5ページ>

次に、そのやりがいとはどのようなことで高まるか、ということを尋ねております。最も多かったのが「児童・生徒、保護者や関係者からの評価や信頼」、次に「仕事を通した自身の成長」でございました。

子どもたちの「わかった」「できた」という声がやりがいに繋がっている様子が見てとれます。

<資料6ページ>

次に「職場の働きやすさ」についてです。右のグラフが全校種平均です。7割の方は肯定的な回答をされましたが、およそ3分の1の方については「どちらとも言えない」、または否定的な回答をされています。

この3分の1の方に教育委員会としてどのようなことができるのか、今後さらに考えていく必要があると考えております。

<資料7ページ>

次に働きやすい職場の条件についてです。「休暇が取りやすい」や「長時間労働が少ない」の職場環境に関する回答がそれぞれ3割程度ございますが、それ以上に多い回答としまして、「困ったときにお互いが助け合える」、「あるいは意見が言いやすい、活発なコミュニケーションがある」といった点が選択されていました。

このことから、職場環境は当然でございますが、職員間の助け合い、あるいはコミュニケーションといった心理的安全性を求める声がより多くなっていると考えております。

ここでお示しした結果は速報値でございます。今後役職や年齢等によって、どのような意識の違いがあるかなどを分析いたしまして、今後の取組に反映していきたいと考えております。

さて、今見てまいりました調査結果からは長時間労働と厳しい勤務の中にあっても、日々ご奮闘いただいている教職員の方の働く意識を垣間見ることができました。県教育委員会といたしましても子どもの笑顔を今以上に増やしていくには、まずその指導と支援に当たっていただいている教職員の方の笑顔を増やしていくことが必要であると考えております。

<資料8ページ>

そこで本年度、本県におきまして「笑顔あふれる学校づくりプロジェクト」に取り組んでいるところでございます。

このプロジェクトは「休みやすい職場環境をつくる」、「多様な人々が学校に関わる」、そして「働き方改革を進める」の大きな3つの視点で各種の取組を進めているところでございます。

この「つくる」、「関わる」、「進める」によりまして、教職員の皆さんの笑顔を引き出してまいりたいと考えております。

以上が事務局からの説明でございます。

(福永教育長)

ありがとうございました。最後の「笑顔あふれる学校づくりプロジェクト」の説明にもございましたが、「働き方改革を進める」取組として、教科担任制の推進を挙げさせていただいております。

そこでこの後は現場の先生方からお話をお聞きしたいと思っております。今年度、小学校専科指導加配教員を配置しております栗東市立葉山東小学校から、教科担任制や学年担任制の取組とその成果等が見られたのか、好士﨑校長先生から発表をお願いしたいと思います。

よろしくお願いいたします。

(葉山東小学校好士﨑校長)

<資料1ページ>

栗東市立葉山東小学校校長の好士﨑です。どうぞよろしくお願いします。

本日は貴重な機会をいただきましてありがとうございます。

本校が取り組んでおります、小学校における学年担任制、教科担任制と交流指導の実際についてご説明をさせていただきます。

<資料2ページ>

本題に入ります前に、本校職員の超過勤務の状況をご覧ください。先ほど事務局からの説明にもありましたが、本校でも職員の超過勤務の時間が大変長くなっています。

しかし、今年度の4月から7月の超過勤務時間を見ますと、昨年度の同じ時期と比べて大きく減少しております。これからご説明します取組が、この変化に大きく関係しているのではないかと考えております。

<資料3ページ>

本日はこの流れでご説明をいたします。

<資料4ページ>

初めに本校の課題についてご説明いたします。

生徒指導上の課題としては、子どもについては自分で判断し、主体的に、よりよく行動しようとする意識の向上、教職員については生徒指導上の情報を共有する時間の確保、また互いの指導手法などを学び合う機会の確保。

学力向上に関しましては、子どもについては自分で課題を見つけ、主体的に取り組む学習の定着、教職員では教科教材研究の時間の確保、専門性の向上、特に若手の教員における授業力の向上などが課題となっております。

これらを解決する手立ての一つとして学年担任制の取組を進めております。

<資料5ページ>

これは学年担任制についてのイメージ図です。保護者や地域の方にご説明する際に使っているものです。

左側に示しております4つの具体的な取組を中心としまして、教材研究や業務の効率化、児童理解を進め、結果として子どもたちが安心して過ごし、学べる学校を目指したいと考えております。

<資料6ページ>

それぞれの取組について具体的にご説明します。まずは教科担任制です。学級担任や担任外の教員が一部の教科を専門的に担当して、学年のどの学級でも同じ教科を1人の教員が担当して指導しています。

同じ学年の担任と教務による分担のほか、教科担任制の加配である小学校専科教員、またパイオニア実践プロジェクト研究の加配である、英語専科指導教員なども活用して実施しております。

本校では主に3年生以上で実施しています。

<資料7ページ>

次に交換授業です。1つの教科で教材や単元を、本校の1年生から6年生までの学級数である3つで1セットにして、そのうち1つを1人の教員が担って、3学級ともその教員が授業を行います。

同じ教科の中の分担と考えていただければと思います。本校では主に特別の教科「道徳」で実施しています。

<資料8ページ>

次に交流指導です。交流指導は特定の曜日などに担任が入れ替わって、朝の会や給食、掃除、帰りの会の指導を行います。本校では木曜日に実施しています。

これは他校での実践例はそれほど多くないのではないかと思います。本校でも今年度から新たに取り入れた取組です。

<資料9ページ>

最後に学年会の充実です。学年会は本来、学年を運営するための具体的な計画や調整の会議としても大切なものですが、学年担任制の中では、教科担任制や交換授業、交流指導を行う中での児童の様子や、学年・学級の課題、あるいは学年担任制そのものの成果や課題などを共有して、改善に向けた方策を立てるという意味でも大変重要になります。

学年担任制推進の要であると言って良いと考えております。

<資料10ページ>

次に、6年生3クラスの週予定表を使って、時間割と担任の動きをご覧いただきます。これは実際に子どもたちに配っている週予定表です。左から6年生の1組、2組、3組のクラスとなっています。

細かいのですが、よく見ていただきますと、担任以外の教員の授業の時間には、教科名の下に教員の名前が入っています。

詳しく見ていきますと、3組では担任の古川がそのまま社会科を担当しています。同様に1、2組においても青い枠は古川の社会科の授業となっています。

次に例えば2組をご覧いただきますと、月曜日の3、4時間目に古川の社会科が入っていますが、その間、3組の月曜3、4時間目は、2組の村瀬が家庭科を担当しています。

同様に村瀬が1組の家庭科の授業をしている木曜3、4時間目をご覧いただくと、その間2組の木曜3、4時間目は、1組の松本が図画工作科の授業に入っているという関係になっています。

さらに紫の枠は、先ほど申し上げました、教科担任制加配の堀井が理科の授業を受け持っておりますし、ピンクの枠はパイオニア加配の松浦が外国語の授業に入っています。

このような形で専科的指導に取り組んでおります。

<資料11ページ>

この表のうち、上の2つは先ほどの時間割を見やすく整理したもので、下の2つは担任の動きを表しています。

 下の2つをご覧いただきたいのですが。担任の動きのうち、薄いオレンジ色の枠は、出授業といって他のクラスで自分が担任ではないクラスで授業を行っている時間帯です。青い空白はいわゆる空き時間で、この時間は教材研究や事務処理などに充てています。

主に専科指導の教員である教科担任制加配とパイオニア加配が入っている時間を空き時間としていることが多いです。他の学年では教務などが入ることになりますが、行事等の関係で授業の進度を調節する必要があるときなどは、専科指導が自分のクラスに入っている間に他のクラスの出授業をするといったことも必要になってまいります。

 空き時間の確保、それから出授業の調整と2つの意味で専科の加配教員が大変大きな役割を担っております。

<資料12ページ>

成果と課題に移ります。これは学年主任会での評価の総括です。成果としましては、4月から5月に学級づくりに取り組み、6月から学年担任制をしっかり実施できるように準備を進めたのですが、これが大変好評でした。4月、5月の学級づくりを、担任が主に担うことが大事だったということです。

また「事務量が減ってゆとりができることで、子どもに丁寧に対応ができるようになった」、「個々の学級での困りごとを共有できる」という意見がありました。もう少し詳しく見ますと、「互いに授業に入ることで具体的に共有ができる」「1人で抱え込まず、遠慮なくお互いの学級や事案等が発生したときに入っていける関係が作れる」、「その週の取組や課題を共有できる」、「他のクラスの担任の手法などを学べる。研修会等も行っているが、それ以外の部分がよく見える」という声が上がっていました。

「授業準備が合理化できる」という意見もありました。同じ授業を3回することになりますので、先ほど課題に挙げておりました本校の教員の教科専門性の向上という意味でも大変大きな役割を果たしております。

<資料13ページ>

 これは全職員にとった学校評価のアンケートの抜粋です。学年担任制の評価は大変高くなっています。特に上から2つ目は、児童理解についての項目ですが、肯定的評価が100%となっています。

本校の生徒指導主任は、「生徒指導関連の事案の件数は昨年と比べて減っていない、むしろ増えている。しかし、これまでは、そういった事案が発生した際には、フリーと呼ばれる担任以外の教員が中心になって相談をしていくことが多かったのに対して、今年度は学年内で事実を共有し、協議をして、ある程度方針を固めてから確認として報告が主任に上がってきている。」と、学年の動きを大変高く評価しております。

また日頃から他の学級の子どもとも信頼関係ができているため、担任以外の職員でも事案の際の事実確認の聞き取りや、指導にも入ることができ、これが早期対応と早期解決、保護者との信頼関係の構築に繋がった事例がいくつもありました。

<資料14ページ>

 多くの職員で幅広く子どもの様子を見取り、共有すること、また学級担任に空き時間が確保され、情報共有や諸対応のための時間のゆとりがあること、これらが相乗的に作用して、生徒指導事案に適切に対応でき、事案解決のスピードが上がっている。このことが結果として超過勤務時間の削減にも繋がっていると考えて良いと思っております。

<資料15ページ>

子どもたちはどう感じているでしょうか?全国学力学習状況調査の児童質問紙の結果の抜粋です。

特に昨年度は市費で加配していただいた、専科指導教員が実施する理科については、全国値を大きく上回る結果となっています。

子どもたちも専科指導教員による、より専門性の高い授業を求めていることがうかがえます。これも大きな成果であると捉えております。

<資料16ページ>

子どもからの聞き取りや学校協議会で伺った保護者からの評価です。子どもからは「隣のクラスの先生が来てくれるのが嬉しい」、「いろいろな話が聞けるので面白い」、「担任の先生がいないときは隣のクラスの先生でも相談できる」、といった声がありました。「隣の先生の社会が面白いよ」と言ってくれる子もいました。

保護者からは「子どもから聞く先生の名前が増えた」、「保護者としても相談できる相手が増えるように思います」、「中学校への接続に向けても良いことだと思う」と、概ね肯定的に受け止めていただいていると感じております。

特に、「いろいろな先生が来てくれるのは嬉しい」という声の中には、「同じ性別、男性なら男性、女性なら女性の先生にしか話せないこともある」といった声もあり、成長期の子どもたちの切実な思いだと思いますし、LGBTなどへの対応も求められる中では、こういったことが今後さらに大切になってくるだろうと考えております。

<資料17ページ>

実際に運用する中では課題も生じます。「担任との連携上の課題」としては、小学校ですので連絡帳を使っているのですが、交流の指導の日も、たくさんの連絡帳が参ります。担任でないと対応できないものも中にはあります。そういったときの連携が課題です。

「担当教科による負担の偏り」として、準備にかかる時間が担当教科によって違いますので、負担の不公平感の課題があります。

「教科の指導経験に偏りができる」ことについては、数年間、ずっと同じ教科を持っていないことが生じかねませんので、特に若手層では長期的に考えた育成が必要になると思います。

また「週予定表の作成が複雑」です。先ほどご覧いただきましたが、大変複雑になってまいります。特に教務主任や学年主任には負担がかかりかねません。

<資料18ページ>

以上のことを踏まえて、今後は学年担任制を一層円滑に実施し、子どもが安心して過ごせる学校にするために、学年会で子どもたちの様子や学習指導の課題を、今まで以上に丁寧に共有して、互いに積極的に発信をしていこうということを職員間で話しております。

 本校の取組をご説明いたしましたが、中学校などではこれまでも当たり前に実施されていることも含まれています。

しかし、小学校で取り組むにはやはり様々な課題も出てまいります。出てきた課題はみんなで共有して、改善を繰り返しながら良いものにする。課題を課題で終わらせずに、抱え込まず困り感をオープンにできる職員風土を醸成していきたい。これは複雑化する学校の現状では、あらゆる面でこれまで以上に必要になってくると考えております。

葉山東小学校では、学年担任制の取組を通じてこれを実現していきたいと考えております。

以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

(福永教育長)

好士﨑校長先生どうもありがとうございました。教科担任制、学年担任制の取組についてご発表いただきました。

それでは続きまして中学校現場の取組について、ご説明いただきたいと思います。生徒の声を出発点に授業改善に取り組んでおられる八幡中学校からご発表いただきます。

それでは楠本校長先生、柳内先生よろしくお願いいたします。

 

(八幡中学校楠本校長)

よろしくお願いします。八幡中学校校長の楠本です。

本日はこのような貴重な場にお呼びいただき、誠にありがとうございます。

<資料2ページ>

本校、近江八幡市立八幡中学校は全校生徒657名、教職員47名の中規模校です。「輝け!八中みんなの学校」は生徒会のスローガンです。本校は生徒会活動が大変活発です。

<資料3ページ>

活動の一つに1984年から生徒が登校する日に発行を続けている日刊生徒会新聞「輝け!八中みんなの学校」があります。これは一昨年度1月に7777号を発行した際に三日月知事からいただいた直筆の心温まるお祝いと励ましのメッセージです。深く感謝しております。本当にありがとうございました。子どもたちも大喜びでさらに意欲が盛り上がりました。

<資料4ページ>

これは昨年度2月の8000号を到達した際に中日新聞に取り上げられた記事でございます。右は8000号の実物です。このときにも知事からお手紙をいただきました。ありがとうございました。

<資料5ページ>

さて本校の学校教育目標は、特に「しなやか」という言葉の中に多様で激しく変化する社会の中で、決して折れることなく、柔軟に対応できる力を身につけさせたいという思いを込めています。

校長の経営理念については、今年度は特に「(2)主体的に活動できる生徒の育成」に力を入れています。

私は本校3年目になりますが、その間の学校運営の一つにプロジェクト型の校務分掌があります。

これらの部会は週時程に1コマずつ組み込んであり、全て校長室で行うようにしています。

<資料6ページ>

1つ目は校内研究推進部会です。詳細はこの後、教務主任の柳内がお伝えしますが、より質の高い研究活動をいかに進めていくかを協議し、校内研究会を運営する部会です。

<資料7ページ>

2つ目はICT部会です。一昨年の初めにコロナ禍の拡大が進む中、ICT活用の必要性を訴える教職員を中心に組織しました。今年度は学校行事のYouTube配信やインターネットを活用した欠席連絡等も自分たちで発案し、実践してくれています。

<資料8ページ>

3つ目は、子どもたちの持っている力をもっと引き出し、主体的に活動させたいという、私の学校経営ビジョンの実現を図る特別活動部会で、昨年度の年度途中から発足しました。学級や学年集団活動、生徒会活動を通してリーダーの育成に努めております。

<資料9ページ>

私が校長として意識していることとしましては、教職員のやってみようの声を聞き取り、あるいは引き出し、プロジェクトとして立ち上げ、人、物、時間の環境を整えることです。

「うまくいくだろうか」、「失敗したら」の声もありますが、「責任を取るのは校長だから」というノリで今までやってきました。

やってみて手応えがあったとき、成果が見えたときは達成感があります。それが教職員のやりがい、そして働きがいと繋がっているのではないかと考えております。

 

(八幡中学校柳内教諭)

では取組の紹介に入ります。教務主任の柳内です。よろしくお願いします。

<スライド資料掲示>

 最初に見ていただきたい数値があります。生徒による学校評価、授業改善に対する数値です。4年前の生徒のプラス評価は69%。生徒が授業に満足しているとは言い難い状況で学校も荒れている状況でした。

<資料10ページ>

まず初めに取り組んだのは課題の図式化です。

より良い授業を目指し授業改善に取り組むのを日々の多忙感に負け、生徒が落ち着いてさえいれば良いといった現状維持思考に陥る。新しいチャレンジが減り、働きがいがダウン。結果、授業改善は進まずに生徒の不満や荒れが見られした。まさに授業改善における負のサイクル。

そこで授業改善のヒントを得るべく実施したのが先進校視察。先進校に2週間、職員室に机を用意していただいて潜入調査を行いました。

<スライド資料掲示>

そのようなことする人はあまりいないようで、先進校の忘年会の重大ニュース第8位にランクインされることとなりました。

これはそのときの写真だそうです。

私は両方を比較すべくアンケートを実施し、いくつかの項目で顕著な差が見られ、その一つがこちらです。

<スライド資料掲示>

「あなたは授業改善に前向きに取り組んでいますか」の問いに、本校は78%のプラス評価。それに対し、先進校のプラス評価はなんと100%。先進校の先生方は授業改善に強いモチベーションを持っていました。

<資料11ページ>

では、先進校のようにモチベーションを上げるにはどうしたらよいのでしょうか。この取組では、生徒の声こそが先生方のモチベーションを上げると考えました。

生徒の声を紹介します。「ペア活動のとき動くのが面倒です。ペア活動はありだけど。あと復習プリントありだと思う。もっと復習プリントしても良いと思う。前よりは良くなったと思う。」

授業者にとっては痛い部分があるのですが、生徒の声はモチベーションになります。我々教員は生徒の声には応えたい。生徒に向き合うという教職の根本的な幸福にフォーカスすることがモチベーション向上に繋がると考えました。

<資料12ページ>

これが取組の構想図です。活動の柱は2つ。

1つ目が、教員のモチベーションとなるであろう、生徒の声を拾う全校授業評価アンケート。これは全校生徒が全教科の授業を評価するアンケートです。欲しいのは生徒の生の声ですから、重視するのは生徒の自由記述になります。

これらは教員のモチベーションになるだけでなく、生徒にとっても自分の思いを言える機会となります。生徒の声に応えることは、生徒の不安を解消し、信頼関係の構築にも繋がると考えました。

2つ目がグループOJTです。生徒の声を出発点にした授業改善ですが、多忙感を抱える中、個人で授業改善に取り組むことは簡単ではない。

そこで全教員を4名ずつにグルーピングし、教務の協働体制を構築。

この2つが相乗効果となって、教員のモチベーションが再構築され、授業改善が推進されることを狙いました。ただどちらも実施に向け、このような困難が予想されました。

 ここからは困難をどのように解決していったかについてです。

<資料13ページ>

全校授業評価アンケートです。実施に向け抵抗感を示す教員には結果の公表や人事評価に反映せず、目的はあくまでも授業改善であることを丁寧に説明したことで合意形成することができました。

 次に実施に当たり、生徒が不真面目な記述を書くことが心配されましたが、これが実際に生徒が書いたアンケートです。

一番右が教科の先生にお願いしたいことです。「違う章に入る前に、終えた章の振り返りテストを行ってほしい。」「授業の内容からそれてしまうとき(雑談)があるからなるべくやめてほしい。」

不真面目な記述はほぼ皆無でした。逆に私達は生徒の真剣な記述を読み、生徒からの期待を実感することとなりました。

<スライド資料掲示>

これは集計した結果を配布したときの様子です。結果を見つめる教員の眼差しは真剣そのものです。

生徒からの自由記述は授業改善のきっかけやモチベーションに繋がりました。ただ職員室からは次のような声も聞こえてきました。

<スライド資料掲示>

「こんなこと書かれても、無理なもんは無理」

<資料14ページ>

そこでG-OJTです。中学校特有の教科の壁は教科横断的なグルーピングはもちろん、教員の指導法でなく、生徒の学びの姿に着目し、生徒を主語にした研究会を実現することで解決しました。

次に多忙による公開授業の回避ですが、生徒を主語にした研究会の実現には、同じグループで同じ授業を参観することが欠かせません。

そこで時間割を見える化。これがグループで授業を見合う機会の確保に繋がりました。

こうして実現した生徒を主語にした研究会が残りの困難を解決しました。

 研究会の様子の動画を流します。音声がありませんが、非常に盛り上がっています。

<研究会の動画を再生>

グループごとに円卓を囲んで、授業の子どもの姿をもとに非常に熱心に対話する様子が見られました。

<スライド資料掲示>

また、これまで見られなかった光景が見られました。研究会後にあるベテラン教員が書いた感想を読んでいきます。

「研修が楽しい」、「教師同士が話し合うことは、私達自身がより深く学べる」、「教師が楽しく仕事をしなきゃ」、ベテラン教員がこのように感じ、授業改善に前向きに取り組むことは他の教員にとって大きな刺激となり、活動を一気に前進させる原動力となりました。

<資料16ページ>

こうして活発なOJTが校内で見られるようになってくると、予想を超えた取組の進展が待っていました。

OJTが活発になる中で、八幡中学校の活動を他校にしてほしいという機運が高まり、自主研究発表大会を開催するに至りました。

他校から活動評価されたことは教員の自信と誇りに、また教員のアウトプットがモチベーションに繋がることにも気づかされました。

<スライド資料掲示>

先に示した先進校との比較調査です。本校の数値はこのように変化し、先進校とほぼ同水準となりました。(肯定的な回答が97%)

 

<資料17ページ>

今学校には生徒の声を出発点に授業改善が推進され、生徒がそれに応えようとする。それが教員集団のチャレンジ精神を生み出し、それが先生方の成長の実感となり、働きがいがアップ。結果それが次の授業改善に繋がるといった正のサイクルが回り、生徒の満足感や学校への信頼を生み出しています。

<資料18ページ>

最初に見ていただいた生徒による学校評価の数値です。4年前、69%であったこの数値は年を追うごとに上昇し、令和3年度は84%となりました。

<資料19ページ>

これは取組がスタートしてからの超過勤務時間の推移です。

生徒による学校評価に反比例して、年を追うごとに減少しているのが見て取れます。この取組は、働き方改革の推進にも繋がっているのかもしれません。

ただ八幡中学校もまだまだ課題山積で道半ばです。

これからも楠本校長と一緒に全教員を巻き込んで学校改革に取り組んでいく所存です。

以上で発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

(福永教育長)

八幡中学校の楠本校長先生、柳内先生どうもありがとうございました。

葉山東小学校と八幡中学校の取組を発表いただきました。

やはり教職員が笑顔であること、そして子どもたちの学びが高まっていくこと、その両方を実現していくことが大切だと思っております。先生方のやりがい、そしてチャレンジ、また人の配置、工夫による働きやすさなどが出ていたと思います。

それではこれまでの説明や発表を受けまして、授業改善、また先生方のやりがいに繋がるような取組をどのように推進していけばいいのか、皆様方と意見交換をしていきたいと思います。

発表に対するご質問でも結構ですので、皆様方からご発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(土井委員)

ご発表ありがとうございました。好士﨑先生にご質問ですが、教科担任制度や学年担任制度を導入する際に、中学校では既にやっておられる部分あるが、小学校固有の課題があるとおっしゃった点について、もう少し詳しく説明していただければと思います。

(葉山東小学校好士﨑校長)

先ほど見ていただいた成果と課題を、もう少し詳しくご説明いたします。

担任との連携上の課題について、週28コマのうち、担任は多くの時間は授業を担当しますので、担任同士が集まる機会は放課後しかないのですが、放課後にも出張や会議があります。2クラスであればよいのですが、3クラス、4クラスある場合には集まって共有することが難しい面があります。

小学校は保護者からの様々な連絡が非常に多いです。特に低学年において、1年生、2年生の最初の頃は連絡帳が多く、休み時間もその返事を書くために非常に時間がかかってしまいます。その中で、担任でなければわからないことがありますので、担任がその連絡を受けて対応しています。

本校は木曜日に交流指導をしているとお伝えしましたが、栗東市は週に1回お弁当の日があり、本校では木曜日がお弁当です。なぜこの日にしたかというと、アレルギー対応のためです。アレルギーの子どもが増えていて、万が一間違ってしまった場合に大変なことになりますので、皆で共有はしていますが、やはり担任がいないと難しい面があります。

そういったことも含めて、担任が今まで担ってきたものが大きいため、どのように変えていくかが大きな課題です。

また、教科による準備の偏りについて、小学校では基本的に全ての教科を教えるようにカリキュラムができていますが、その中でも、理科や体育は準備に時間がかかります。

今は体育を教科担任制にしていませんが、理科の授業では実験器具の準備や後始末が必要です。幸い本校には得意な教員が数名いますので、それで回っていますが、学年に得意な教員がいない場合、誰が引き受けるかがなかなか難しいと感じます。

また、新採の教員は3年程度で転出するのですが、3年間で理科を一度も経験しないことになると、本人の成長のためにも良くありません。そういった点も踏まえて、様々な担当を割り振っていくことも課題だと考えています。

 

(福永教育長)

小学校ならではの課題についてご説明いただきました。特に新規採用の先生が増えていることから見えてくる課題もあると思います。

 

(岡崎委員)

葉山東小学校の好士﨑校長先生にお伺いしたいのですが、今回の対応は3年生以上で導入されているとご説明がありましたが、1、2年生の児童はもっと手がかかって、大変なのではないでしょうか。教科担任制によって時間を確保することで、先生方の負担も減るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 

(葉山東小学校好士﨑校長)

1、2年生では交換授業で、同じ教科・単元、特に道徳について、3人の教員が毎週1コマずつ授業を行っていますし、交流指導も実施しています。そういった点で児童理解を進める面では大きな効果があると感じています。

教科担任についても、今後考えていきたいと思っていますが、1、2年生は担任でなければわからない部分が大きいです。だからこそ進めるべきという意見もありますので、検討していきたいと思います。

ちなみに昨年度、令和3年度は5、6年生だけで今のように教科担任制に取り組んでいましたが、今年度から3、4年生に拡大して進めてきたところです。

 

(野村委員)

感想になりますが、葉山東小学校のご説明で連絡帳を書く時間が大変だと伺いましたが、保護者の方にとっては、連絡帳に返事を書いていただいていることが非常に安心感に繋がっていると思います。

連絡帳を先生が見てくださることが、子どもと学校を繋いでいる部分ですので、大変だとは思いますが、お願いしたいと思います。

また八幡中学校のご説明について、校長先生の「自分が責任を取るから」という言葉をすごく心強く感じました。企業等でもやはりトップの方、上司の方が理解をしたうえで、「やりたいようにやっていいよ」と言ってくださるのは信頼感ややりがいに繋がっていきますので、このような取組をずっと続けていただきたいと感じました。

 

(石井委員)

両校ともに、素晴らしい取組をされていて、感激いたしました。

私は経済界から委員を務めさせていただいていますが、企業活動の観点から見ても、素晴らしい取組だと感じました。

近年は教員離れにどう歯止めをかけるかといった、ネガティブな報道が続いていますが、このように先生のやる気に繋がる工夫をされ、また先生独自の力をさらに発揮していくための取組など、改善できる点がまだまだ多くあるのだと、非常に心強い思いになりました。

 一方で、発表の中で印象深かったこととして、最後に触れられたベテラン教師の方の文章やアンケートにも出ていましたが、誰もが意見を言いやすく職場内に活発なコミュニケーションがあることを本当にそれぞれの学校が実現していくには、企業的な発想で言うと良好なマネジメント力がその学校に存在していることが必要で、難しい課題でもあると感じました。

 

(窪田委員)

どちらの学校の実践も聞いていて、元気をいただけるご報告でした。

それぞれお伺いしたいことがあります。

まず、葉山東小学校では、全国的に見られますがなかなか根付きにくい小学校での教科担任制を、交流指導や交換授業によって、多様な形で実践されていて素晴らしいと思いました。それが結果として子どもにとっても、教員にとっても風通しの良い学校に繋がっていくと感じました。

もし近隣の小学校や中学校、例えば中学校区で情報交換をされていたり、反応は聞いておられれば、教えていただきたいと思います。

次に八幡中学校の発表ですけれども、柳内先生ご無沙汰しております。教職大学院を修了されて、こうして現場で活躍されている姿を拝見してとても嬉しく思っております。

 やはり授業が大事だということを改めて感じさせていただきました。学校全体での研究授業、校内研究を3、4人のグループで授業を見合って、円卓で意見交流されている動画を拝見しましたが、音声がなくても先生方が活発に楽しそうに授業や子どもの話をされているのが伝わってきて、そういうやり方があるのだと勉強させていただきました。

この取組されるにあたって、出てくるであろう反応を想定しながら、それをどのようにクリアしていくかについて、とても丁寧に説明いただきましたが、取り組まれる中で、難しいと感じておられる点や、改善したい点、また学校で検討されていることがあれば教えてください。

 

(葉山東小学校好士﨑校長)

近隣の小中学校との連携についてですが、先ほどお示しした成果と課題は1学期末、7月頃に、保護者や子どもから聞き取った内容や教員のアンケートを受けて学年会で総括したものをお示しました。後期に持続できるかどうか、現在検討していたところですので、まだ資料として発信はできていません。

ただこの取組は私ではなく、前任の池田校長が様々な情報を集めて、昨年にファーストステージとして始めたもので、今年はセカンドステージとして取り組んでいます。

前任の池田が同じ中学校区内の葉山小学校に勤務していますので、進捗状況については、発信させていただいています。

次に勤務状況については、市の校長会で各校の様子が議題に上げられるのですが、葉山東小学校は超過勤務時間が市内でもかなり少なくなってきましたので、その取組や要因について、今後発信していく予定です。

 

(福永教育長)

ありがとうございました。

続いて、八幡中学校で何か難しいと感じておられることはございますか。

 

(八幡中学校柳内教諭)

窪田先生ご無沙汰しております。教職大学院での学びが現場でも役立っております。教職大学院での学びがなければ、私がここにいることもなかっただろうと思っています。

実践を続けていく中で、形骸化してしまうことが一番難しく感じています。取組を始めて今年度で4年目になりますが、形骸化を回避するために、プロジェクト型の校務分掌における校内研究推進部会の毎週の会議で、先生方にとって意味のある、効果的な取組となるように常にリニューアルしていくことを大事にしています。この取組もそうですが、学校経営全体を、先生方にとって自分事として感じてもらえるような工夫をしています。

また、この取組は初年度に私が始めたのですが、2年次、3年次、4年次と別の教員がチーフを務めています。そういった部分で人材育成と絡めながら、取組をサポートしていくことを校長にも考えていただいています。

対策としてこれらの取組を講じています。

窪田先生がおっしゃったように、子どもから評価をもらうということに対して抵抗感を持たれる先生方はいらっしゃいますし、また年度が変わると異動されますので、先生方を巻き込んでやっていくためには、現状維持でなく、常に変化し続けていくような工夫が大事だと思っています。

 

(福永教育長)

大杉副知事からご質問やご意見がございましたら、お願いします。

(大杉副知事)

小学校は学級の壁、中学校は教科の壁が課題であるところを、具体的に超えていく工夫をしていただいていると感じました。

質問させていただきたいのですが、まず葉山東小学校について、この体制で児童理解が進むということが、これからの小学校教育のあり方を見直していくための大きなポイントになると思います

そのためにも様々な工夫を広く共有していただきたいと思います。ご説明の中で、4、5月に学級づくりを行い、6月に学年担任制をスタートさせるとありましたが、4、5月の体制と6月の体制にはどのような違いがあるのでしょうか。

もう1点、時間割についてですが、3学級だから組めるという事情もあるかもしれませんが、具体的に工夫された点や苦労された点があれば共有いただきたいと思います。

次に八幡中学校について、子どもの姿からカリキュラム・マネジメントをするとこうなるのだという、具体例を見せていただいたと感じました。

教えていただきたいのが、特別活動部会では、授業の先にある子どもたちのキャリアについて、キャリアシートを活用されているとのことでしたが、こういった取組が形骸化しないように、生徒の主体性を引き出す仕掛け作りとして、具体的にどんなことをされているのか教えていただきたいと思います。

 

(葉山東小学校好士﨑校長)

4月、5月と6月の体制の違いについてですが、具体的な大きな違いではなく、6月には学年担任制をスタートができるように、4月、5月に学級の土台づくり、システムづくりに取り組みました。

先ほど申し上げたように、学級担任が交代して、例えば給食の指導等行いますので、給食係の回し方等についてしっかり話し合った上で、基盤がしっかりとできたところでスタートしましょうということです。

高学年では4月初め頃から教科担任制、交流指導に入っておりました。3、4、5年生は今年度初めて導入したのですが、そういったあたりをしっかりと構築してからスタートしようと考えました。3、4年生については、実際には6月ぐらいからしかスタートが切れなかったというのが実情です。

ただ4、5月の学級づくりをないがしろにして、急いで4月から全学年で始めようとすると、大変ですから、やはり学級づくりを大事にしようという意見がありました。

次に、3学級だから時間割が組めるのではないかというのは、非常に鋭い御指摘でして、例えば5学級あるとなかなか難しいと思いますので、その場合は2クラスと3クラスに分ける形を取らなければならないと思います。その点は教務主任に負担がかかるところだと思います。

私が以前に教務主任を務めていた学校では7クラスあったのですが、そうなると特別教室についても各学級に必要な時数分を割り当てできないのです。

例えば体育館についても学年ごとに割り振って、そのうえで学年主任が使用するクラスを決めていました。その両方の調整をすることは実際には厳しいだろうと思いますので、適正な規模というのは、とても重要なキーワードだと思います。

今、本校はパイオニア加配という英語専科の加配と、教科担任制の加配を、どちらもフルタイムでいただいております。担任の交代が難しい場合でも加配の教員でうまく調整することができていますので、やはり人の保障というのは欠かせない要因だと感じています。

 

(八幡中学校楠本校長)

<スライド資料掲示>

キャリアシートについてご質問をいただきましたが、この資料は本校で取り組んでいるキャリアシート等に関する研究をまとめたもので、本校の柳内教諭が再度NITS大賞に挑戦するために、提出させていただいたものです。

キャリアシートはどの学校でも取り組んでいると思いますが、作成するだけで、活用されないことが多いと思いましたので、本校の特別活動部会で、キャリアシートの見直し等に、しっかり取り組んでいくことにしました。

まずキャリアシートを作成する段階で、本校の学校教育目標を子どもたちにしっかりと周知して、次に生徒の実態に応じた学年目標を、生徒と教師で一緒に考えました。なおかつ、前年度のうちに目標を考えて、年度初めから勢いよくスタートできるようにしています。

学年目標から学級目標を絞り込んでいくわけですが、学級目標を達成するために、学級の実態に応じた柱を考え、その柱について取組の達成度や振り返りをさせて、次の活動に生かしていきます。

あわせて、キャリアシートには仲間からのメッセージが書かれています。仲間からメッセージをもらい、いわゆるメタ認知、自らを客観視することができる1つの大切な資料としてそれを活用しています。これを1年生、2年、3年と継続して積み重ねていくことにより、ポートフォリオ化することも踏まえて取り組んでいます。

 

(福永教育長)

皆様から様々なご意見やご質問等をいただきました。小学校、中学校それぞれが取組を進めていただいていますが、この取組を県内全体に広めるため、またはもっと充実していくために、どういったことに取り組む必要があるか、ご意見があればお願いいたします。

例えば、最初は良い取組であっても、形骸化して本来の目的が忘れられ、取り組むこと自体が目的になってしまっているものもあると思います

良い取組を他の学校に広げるために、県や市町においてできる工夫があると思いますので、皆様からこのような取組がよいのではないか、または他の学校のこういった事例を取り入れればよいのではないか、といったご意見があればお願いします。

幼小中教育課長から何か意見はありますか。

 

(幼小中教育課長)

 両校の取組が教職員の働き方改革にも繋がっており、大変充実した取組をされていると思います。県教育委員会といたしましても、こういった事例を広く県内の他の学校にも伝えていきたいと思います。

特に教職員の研修に関して、OJT等を取り入れて進めていただいておりますが、それぞれの学校や地域、子どもたちに応じた教職員の研修が必要になってくると思いますので、一つのモデルとして各学校に取り入れる方法についても、県内に広げていく必要があると考えております。

 

(福永教育長)

ありがとうございました。

先ほどの窪田委員と柳内先生のやり取りを見ておりまして、教職大学院もそうですが、現職の先生方がさらに学び続ける機会を作っていくことが大事だと思いますので、そういった研修を積極的に受けていただきたいと思います。

楠本校長先生お願いします。

 

(八幡中学校楠本校長)

今、福永教育長のご発言にあったことについては、今日、言って帰りたいと思っていました。

先ほどから度々出ておりますが、本校の柳内も教職大学院でいろいろと勉強させていただき、今、本校の教務主任として頑張ってくれています。先ほど発表の際にご説明した各部会のスライドを見ていただいても分かりますが、要所では必ず柳内にその部会に入ってもらい、全体のマネジメントや指揮を任せています。

本県の教職大学院の取組や、中央研修、海外派遣研修、企業研修で学んでくることはその教員にとって大きな財産ですし、計り知れないほどの力の蓄えになると思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

そこで学んできた教員が学校に1人いるか、いないかによって、その学校が変わるといっても過言ではないと思いますので、積極的にお願いしたいと思います。

 

(福永教育長)

ありがとうございました。楠本校長先生の強い思いを伺いました。

あわせて、教科担任制について先ほどございましたが、小学校の新任の先生が3年で異動されると、ある教科を全く受け持たないという課題は、検討していかなくてはいけないと思います。理科が教えられない小学校の先生が出てくるということは課題の1つであると思います。

また、研修に出てもらうためには、児童生徒に負担や迷惑がかからないように、研修を受けておられる間、学校現場がしっかりと対応できるようにすることは、我々の責務でもあると思います。

研修を受けていただいても、学校現場がうまく回らないのではいけないと思いますので、その点についても検討してまいりたいと思います。

 

(土井委員)

今日ご報告いただいた取組は、先生方の間で、または先生と児童生徒の間で協働関係をしっかり作っていくことであり、これらの取組は、2つの点で重要だと思います。

1つは、先生方のやりがいや役割分担を基礎づけていく上で重要であるということ、もう1つは、協働関係は効率的であるということです。みんなが同じことを、同じようにするのは不効率ですから、効率的に自分の得意分野を生かすことが、働き方改革に繋がっていくことは、大変素晴らしいことであると思います。

ただ、素晴らしいことであるはずなのに、協働関係がうまく機能しないことがあり、私の経験では、その原因は次の2点にあると思います。

1つは、異なるものを理解することは難しいということです。みんなで協力しようと言うと、お互い理解しやすい似た者が集まって協力関係を築くのですが、できることがみんな同じですから、これでは非効率なのです。それに対して、違う者同士で協力するのが一番よいのですが、違うものを理解するのはなかなか難しいため、うまくいかないことがあります。

もう1つは、私もそうなのですが、コンプレックスが問題になると思います。不得意なことはコンプレックスを生みますから、自分が不得意なことをうまくこなす人は苦手な相手になりますし、人間はコンプレックスを人前で晒すことを嫌いますから、それが原因で協働関係の妨げになることが多いです。おそらく、授業アンケートに消極的な先生方にはそういった方が多く、大学でも同じです。

ですから、こういう協働関係を作っていく上では、自分のコンプレックスを示しても安心できる環境が重要です。これは先生方にとっても、児童生徒にとっても非常に重要で、それができないと互いに向上できませんので、そのコンプレックスを感じている部分に、他の人から協力を得られるようにすることが大切です。そういったことを先生方に意識していただけると、取組が形骸化することはないと思います。

自分がやらなければいけないことがあるのに、不得意で、それに対してコンプレックスを感じている。しかし、それを抱え込まずに、みんなの前で晒しても、互いに協働して補うことができる環境が出来ればよいのではないでしょうか。

そういった意味で2校の取組は非常に大切だと思いますし、校長先生をはじめ、管理職の先生方が学校にそういった環境を作っていただけると、広がっていくのではないでしょうか。

あとは、そのために必要な人的、財政的支援を県教育委員会がどこまでできるかということではないでしょうか。

 

(福永教育長)

土井委員ありがとうございました。

石井委員よろしくお願いいたします。

 

(石井委員)

八幡中学校が学校教育目標や校長経営理念を掲げておられますが、目指すところをより高位の概念で掲げておられるのが素晴らしいと思いますし、そういう要素も重要だと思います。

 

(福永教育長)

それでは時間も経過してまいりましたので、知事から今までの皆様の意見交換等を踏まえまして、ご感想やご意見をお願いいたします。

 

(三日月知事)

ありがとうございました。今日両校から、これからの学校づくりや教育環境づくりに向けた大変重要なご示唆をいただいたと思います。当然のことながら、学校の規模や教科、学年、成長段階にもよると思いますが、学年みんなが担任という作り方や考え方、そして助け合い方は、小学校の一定の学年以上では大変有効だと思いましたし、生徒の声を聞いて取組を作っていく、改善していくことも、中学校段階ではポイントになると思いました。

したがって、両校からご紹介いただいた取組を、今後県内に、市町教育委員会のご理解もいただきながら広げていくことを、ぜひ考えていきたいと思いました。

 

(福永教育長)

最初に大杉副知事がおっしゃったように、市町によって、学校規模によって取組に当然濃淡がありますので、その点をどのように工夫して、全ての子どもたちに対して、全ての学校でこういう良い取組ができるのか、知恵を出して、工夫していきたいと思います。また人の部分では知事にお願いする部分もあるかと思います。

 

(三日月知事)

県民にきちんと問うて説明すればよいと思いますし、私はその根拠、大義は十分にあると思いました。

また土井委員が最後におっしゃったように、協働の妨げになる物事を取り除いていくことを考えた際に、違うものを理解する難しさや、コンプレックスを克服するための環境や雰囲気づくりも大事だと思いますが、もう一つ、キーパーソンが重要であると思います。葉山東小学校で、ものすごく複雑なシフト表を作っておられる先生や、柳内先生のように雰囲気づくりをして、話し合いをしながら、様々なことに取り組んでいただく存在がすごく大事だと思います。

そのために、先ほどは教職大学院のお話がありましたし、また校長楠本校長先生からは海外等の様々な経験のお話もありましたが、キーパーソンを育てていく過程を大事にしたいと思いました。

両校とも出発点が子どもの笑顔なのですね。授業をわかりやすくするといったことからスタートされていますので、ぜひ県内にこの取組を波及させていきましょう。

同時に、この教育委員会の議論を聞いていると、学ぶべきことがたくさんあると思っていまして、県民の声を聞きながら、どのように県庁の仕事のやり方を変えていくか考えるに当たっても、参考にさせていただきたいと思います。

柳内先生、県庁のスタッフから連絡させますので。ぜひご指導のほどよろしくお願いいたします。負のスパイラルを正のスパイラルに変える知恵とヒントが八幡中学校のいろいろな取組にあると思いました。

ありがとうございました。

 

(八幡中学校柳内教諭)

喜んで行かせていただきます。

実は三日月知事に会うことを子どもたちに伝えたら、ぜひ三日月知事にメッセージを送りたいということで、子どもたちの動画を撮ってきていますので、見ていただいてもよいでしょうか。

 

(動画八幡中学校生徒)

三日月知事こんにちは。僕たち八中が発刊している「輝け!八中」の7777号では知事からこんな素敵なメッセージをいただきました。ありがとうございます。

そして生徒会交流会で出た意見をもとに、「輝け!八中」の8000号では、記念として、僕たちのオリジナルキャラクターである八中ゆるキャラの「でっちくん」を作りました。そして地域の人と協力して、長い月日を経て「でっちくん」の着ぐるみを作り上げました。

 このような活動を重ねて、八幡中学校は盛り上がりをどんどん広げています。

これからも八幡中学校に注目お願いします。八幡中学校の世界へようこそ。

 

(福永教育長)

先生どうもありがとうございました。知事何かコメントございますか。

 

(三日月知事)

こういう活動を支えてくださることは素晴らしいですね。

彼らの将来も楽しみですし、こういうことができる学校にすごく憧れますし、共感しました。

それぞれの学校でいろいろな取組をされていると思いますので、いいところを認め合って、真似したいと思えるような教育行政をやりたいですね。

駄目なところを比べて、自分を貶めることをついついしてしまいますが、そうではないやり方ができればと思います。

石井委員が所属されている長浜商工会議所の今年の目標が「ググるより、くぐれ」だそうですね。何か問題あったときに「ググって」、調べたこと、見たことを基にいろいろやることが多いですが、そうではなくて、現実を「くぐれ」ということだと私は理解しています。

今日お話いただいたなかにも、そういったことがたくさんありましたので、私自身もいろいろなところで発信していきたいと思いました。

教育委員会のスタッフも同じことを感じたのではないかと思います。

ありがとうございました。

 

(福永教育長)

知事ありがとうございました。

葉山東小学校、そして八幡中学校の皆様ありがとうございました。

両校の取組を十分に参考にさせていただきながら、県内各地それぞれの地域に合った、子どもたち、先生方にとって良い取組を広めていきたいと思います。

そのためには人の問題もありますし、また様々な取組の工夫の問題もあると思います。

 常に学び続けていくことが子どもたちにも、そして先生方にも必要だと思っておりますので、その点を意識しながら取組を進めたいと思っています。

特に子どもたちの声を聞いて、それをしっかり受けとめて、それをいろんな政策に反映していくことが大切だと感じておりますので、その点も含めまして、様々な規模の学校がございますけれども、取組を進めたいと思っております。

それでは以上で、令和4年度の第3回滋賀県総合教育会議を閉会いたします。

 

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