ビワマスは琵琶湖固有種で、寿命は5年程度とされており体長約50cmまで成長します。変動はあるものの毎年約30トン漁獲されており(図1)、琵琶湖漁業にとって重要な水産資源です。河川で生まれた仔魚は5月~6月頃に琵琶湖へ下り、普段は琵琶湖沖合で生活し、10月~11月には3歳魚を中心に産卵のために河川に遡上し、産卵後に死んで一生を終えます。
産卵親魚を保護するため、滋賀県漁業調整規則により10月~11月を禁漁期間に設定しています。また、滋賀県漁業協同組合連合会が天然親魚から採卵し、約6cmまで育てた稚魚を河川に放流しています。
ビワマスの適正な利用と漁業との利用調整を図るため、 ビワマスを対象とした遊漁に対して、琵琶湖海区漁業調整委員会では2013年から採捕量の報告を義務付けた承認制(2009年~2012年は届出制)を導入しています。
※)1945~55年は滋賀統計書、1956~2008年は滋賀農林水産統計、2009年以降は琵琶湖海区漁業調整委員会事務局調査資料による。
(2009年以降は、遊漁の開始に合わせて前年12月~11月までの漁獲量および遊漁採捕量に分けて記載)
水産試験場では、毎年漁獲されたビワマスの体長、体重、年齢を調べ(図2)、これらの情報をもとに資源量を推定しています。ビワマス資源量は2017年以降増加し、2019年以降は160トンを上回っており、2023年は161トンと推定されました(図3)。2021年までの資源量とその時の資源の回復量との関係から、MSY(54トン)を達成する資源量140トンが資源管理目標と定められました(図4)。
また、神戸チャートによる評価によると、2023年の資源の状態はMSYを達成する資源量より多く、漁獲圧は適切な範囲にありますが、直近2年(2022~23年)の漁獲圧は高くなっており注視していく必要があります(図5)。
2023年の遊漁を含めた漁獲量は52トンで、資源量161トンに対するMSYレベルに達しています。現在は資源量が豊富な状態で問題ありませんが、近年は遊漁による採捕量が増加していることから(図1)、過剰な利用とならないようにMSY(54トン)を漁業と遊漁へ適切に配分することが求められます。関係者の協力の下、資源管理および遊漁の承認制度により、今後もビワマス資源を持続的に利用できるようにしていく必要があります。