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アユ

これまでの取り組み

 アユは琵琶湖漁業において漁獲量のおよそ半分を占める重要な魚種であることから、水産試験場では生活史を通じた様々な資源調査(産卵調査、ヒウオ生息状況調査、魚探調査、漁獲体型調査、漁獲状況調査など)を実施しています(令和4年度調査の内容およびデータ)。

 アユは1年で一生を終える年魚であり(琵琶湖のアユの一生)、資源量(生息量)の年変動が激しいため、年ごとの相対的な資源状況を調査結果に基づいて総合的に判断しています。

 加えて、成長生残モデルを用いた資源量の推定も行われています。

 また、近年の研究の結果、6月までの調査結果からその年の8月以降の産卵数を予測することが可能になりました(産卵数予測)。

資源維持対策として、アユの産卵時期にあたる821日から1120日までが禁漁期間に設定されています。また、安曇川と姉川に設けられた2か所の人工河川において産卵親魚を放流し産卵させ、ふ化した仔魚を琵琶湖に流下させています(人工河川)。

資源状況(生息状況)等


2 過年度の資源状況(生息状況)等

課題と今後の進め方

 琵琶湖のアユ資源量は1990年代にピークとなった後は減少傾向にありますが、近年はより不安定な状態になっています。2012年には春から夏季にかけて肥満度が極端に低下し、産卵数が激減しました。その後、資源は回復傾向にありましたが、2016年には産卵が遅れたことと産卵数が多かったことにより、魚体の小型化と漁期前半の記録的な不漁につながりました。また、産卵親魚の小型化により翌2017年には再び産卵数が激減しました。2021年の産卵数は平年の約2倍であったものの、短期間に集中したため、成長が遅れました。2022年には主要な産卵河川の一つである姉川に豪雨災害を受けた高時川からの濁水が流入し、泥が堆積するなど産卵場所となる瀬の環境が悪化し、結果として産卵数の減少がみられました。2023年は、アユの産卵期の少雨のため産卵への濁水の影響は小さかったと考えられますが、産卵期の河川の高水温による産卵への影響がみられるなど新たな問題が生じています。

 このような状況のなか、毎年一律に実施する現行の漁獲規制に加えて、その年の資源状況に応じて実施する資源管理が必要となってきています。例えば、産卵数が一定の水準よりも少なくなることが予測される年には天然親魚を保護するために漁獲を自主規制することや、逆に多くなることが予測された場合には積極的に資源を利用するといったことが考えられます。また、産卵数が少なくなった2012年と2017年および高時川の濁水の産卵への影響が懸念された2023年には人工河川への産卵親魚の追加放流が実施されましたが、今後も資源状況に応じてこのような取り組みを継続していく必要があります。

関連情報

過去の主な成果

その他資源調査結果(研究報告・事業報告等ページへのリンク
最新の資源状況(生息状況)等(アユ資源情報ページへのリンク

お問い合わせ
水産試験場
電話番号:0749-28-1611
FAX番号:0749-25-2461
メールアドレス:[email protected]

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