6週齡のDonryuラットに0.02%ENU水溶液の経口投与を開始し、120日間程度投与を継続した。白血病の発症を確認したものは末梢血のスメア標本を作製し、白血病細胞の形態を確認した。白血病症例および貧血例のそれぞれから骨髄の細胞を採取し、mRNAを抽出した。これをcDNA subtractionにより両者の間の発現量に差のある遺伝子をクローニングし、塩基配列を決定した。発現の差の確認は、得られた配列を基にして新たなプライマーを設計し、RT-PCR法により確認する。
cDNA subtractionの結果得られた多数のクローンにはいくつかの未知遺伝子が含まれていた。それらの正常骨髄、および白血病細胞での発現定量をした。症例によるばらつきが見られるものが多かったが、一定の傾向が見られる遺伝子もあり、さらに検討を続けている。
1) Osaka M, Matsuo S, Koh T, Liang P, Kinoshita H, Maeda S, Sugiyama T. N-ras mutation in 7,12-dimethylbenz[a]anthracene (DMBA)-induced erythroleukemia in Long-Evans rats. Cancer Lett. 91:25-31, 1995.
2) Osaka M, Matsuo S, Koh T, Sugiyama T. Loss of heterozygosity at the N-ras locus in 7,12-dimethylbenz[a] anthracene-induced rat leukemia.Mol Carcinog.18:206-212, 1997.
3) 小網健市他、ENU誘発ラット白血病におけるras、p53遺伝子の変異の検討日本癌学会総会記事 p103, 1997.
4) Ogiu T, Odashima S. Related Articles Induction of rat leukemias and thymic lymphoma by N-nitrosoureas.Acta Pathol Jpn. 32 (Suppl 1):223-35, 1982.
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