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研究所報2003

脳PET検査におけるFORE法を用いた定量画像の評価 岸辺喜彦・高橋昌章・山内浩・岡沢秀彦* *福井大学医学部高エネルギー医学研究センター

1.はじめに

近年、ソフトウエアの発展に伴い、3D収集されたデータを2Dデータに高速変換する3D FORE (Fourier Rebinninig)法について報告がされている1)。今回、ファントムおよび脳PET検査において3D収集を行い、FORE-FBP法とReprojection法、そして2D収集でのFBP法の画像について検討を行ったので報告する。

2.方法

 ファントムによる検証
 使用装置はGE社製PET Advance。直径20cmの円柱(均一)ファントムに18F2を入れ、2Dおよび3D収集をそれぞれ10分間行う。68Ge/68Gaのtransmission scanは10分間で、得られたデータを元に2D-FBP法およびFORE-FBP法とReprojection法による再構成画像を作成する。そのファントム画像の中心部にROIを取り、Average Count(Activity)とCV valueを算出する。
 脳PET検査による検証
 5人の被験者に対し、68Ge/68Gaのtransmission scanを10分間行い、H215Oを用い2D収集(1110MBq bolus injection)を3分間、そして3D(555MBq bolus injection)収集を3分間連続して行う。その収集データを元に2D-FBP法、FORE-FBP法およびReprojection法によるreconstructionを行い、Autoradiography法2)3)にてCBF(脳血流量)を求める。得られた脳血流画像からROIを取り、再構成方法の違いによるCBFの比較を行う。ROIの大きさは10mmで大脳皮質の白灰質部分1 sliceにつき左右20箇所、基底核レベルを中心に5 sliceを取った。

3.結果

再構成方法違いによるROIのAverage Countの変化を図1a、ROIのCV valueの変化を図1bに示す。Average Countは再構成方法に関係なく大きな差は無かった。一方、CV valueは3D特有のスライス辺縁部の感度低下によるバラツキがFORE-FBP法を用いても2D収集のような画像(バラツキ)にはならなかった。

図1:再構成方法の違いによるAverage Count[a]とCV value[b]の変化

また、異なる再構成方法で得られた脳血流画像において、FORE-FBP法を基準に3DRP法と2D-FBPの相関関係を図2に示す。FORE-FBPと3DRPは良好な相関関係を示し、2D-FBPも若干のバラツキが見られるがほぼ相関していることが確認できた。このバラツキは2D収集時には少ない、3D収集独特の散乱線による影響または2回目収集による誤差によるものと思われる。

図2:異なる再構成方法によるrCBFの変化。FORE-FBP法と3DRP法による比較[a]および、FORE-FBP法と2D-FBP法による比較[b]

また、異なる再構成方法で得られた脳血流画像において、FORE-FBP法を基準に3DRP法と2D-FBPの相関関係を図2に示す。FORE-FBPと3DRPは良好な相関関係を示し、2D-FBPも若干のバラツキが見られるがほぼ相関していることが確認できた。このバラツキは2D収集時には少ない、3D収集独特の散乱線による影響または2回目収集による誤差によるものと思われる。

4.まとめ

FORE-FBP法と3DRP法および2D-FBP法の比較を行った結果、同じ収集データを用いたFORE-FBP法と3DRP法についてはほぼ一致した結果となり、再構成時間は従来の1/5に短縮できるようになった。FORE-FBP法と2D-FBP法では、多少のバラツキは見られたが良好な相関であることが確認できた。このバラツキは、収集データの違い、すなわち3D収集特有の散乱線の影響によるものが大きいと考えられる。また、連続して行った検査において100%一致したデータは得られないという誤差による影響も考えられる。
本研究は、2002年11月に行われた第42回日本核医学会にて発表した。

参考文献

1)Defrise M, Kinahan PE, Townsend DW, Michel C, Sibomana M, Newport DF. Exact and approximate rebinning algorithms for
  3-D PET date. IEEE Trans Med Imaging.1997;16:145 -58.
2)Raichle ME, Martin WRW, Herscovitch P, Mintun MA, Markham J. Brain blood flow measured with intravenous H215O. II.
  Implementation and validation. J Nucl Med.1983;24:790-798.
3)Herscovitch P, Markham J, Reichle ME. Brain blood flow measured with intravenous H215O. I. Theory and error analysis.
  J Nncl Med.1983;24:782-789.

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