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侵略的外来水生植物(オオバナミズキンバイ・ナガエツルノゲイトウなど)への対策

オオバナミズキンバイ・ナガエツルノゲイトウとは?

オオバナミズキンバイとナガエツルノゲイトウは、どちらも琵琶湖や内湖、河川などの水ぎわに生育する水陸両生の多年生の植物で、外来生物法の特定外来生物に指定されています。繁殖力が非常に旺盛で、春から秋にかけて成長して面積を拡大していきます。また、分散能力も高く、漂着した葉や茎の断片からでも根を生やし、その場所で成長していきます。
※琵琶湖では、水生植物というと水面下に大規模に繁茂し、時に湖岸に大量に漂着して悪臭を放つ、沈水植物(いわゆる「藻」)も対策が採られていますが、オオバナミズキンバイなどの侵略的外来水生植物はそれらとは生態や影響、対策が大きく異なっています。

季節変化(秋)

これらの植物は、岸沿いの水面を広い範囲でおおってしまうことがあり、船舶の航行障害や漁具への絡み付きといった被害が発生していることに加え、瀬田川等を通じた下流域への流出、ナガエツルノゲイトウの農地への侵入が確認されています。また、水質や水産資源への悪影響、湖畔の植生への影響などが心配されています。
 

<オオバナミズキンバイの繁茂による船舶の航行障害>
航行障害2

平成28(2016)年度末時点での琵琶湖とその周辺水域における生育面積は、オオバナミズキンバイが約13万平方メートル、ナガエツルノゲイトウが約2.5万平方メートルとなり、一昨年度末よりは減少したものの、依然として予断を許さない状況が続いています。

大規模再生の様子

【コラム】特定外来生物とは?

外来生物のうち、生態系や農林水産業、私たちの生活への被害を及ぼす、またはその恐れがあることから防除が必要とされるもののなかから、国が外来生物法(特定外来生物による生態系等の被害の防止に関する法律)に基づいて指定したものをいいます。
特定外来生物に指定された動植物の生きた個体は、飼育・栽培や保管・運搬、野外への放出等が原則禁止されています。
オオバナミズキンバイは平成26(2014)年6月11日に、ナガエツルノゲイトウは平成17(2005)年6月1日に特定外来生物に指定されました。
詳細は、環境省「生態系被害外来種ピックアップ|日本の外来種対策|」(外部サイトへリンク)を参照してください。

生育面積の推移

生育分布状況

これまでの取り組み(平成25年度~)

※琵琶湖外来水生植物対策協議会とは

侵略的外来水生植物への対策を推進することで、琵琶湖における生物多様性の保全再生等に資することを目的として設立され、NPO団体や漁協、関係市など18団体(平成29(2017)年10月現在)により構成されています。

駆除と、その後の処分

オオバナミズキンバイもナガエツルノゲイトウも、生育面積が膨大な規模になっていることから、機械力を利用した大規模な駆除が不可欠です。しかし、これらの植物は、茎や葉の断片からも再生するため、機械による駆除の際も断片が流れ出してしまわないように注意するとともに、人力により根や茎をできるだけ残さないように丁寧な駆除作業をする必要があります。
また、駆除作業が終わった場所でも、根や茎がわずかでも取り残されていれば、そこから再生が起こりますので、作業後も定期的に巡回・監視を行い、再生が認められたら直ちに取り除き大規模な再生を防いでいく地道な取り組みが重要です。
【駆除の方法(1)機械駆除】

建設機械や水草刈取り船などが代表的な刈り取り用の機械で、最近は新たに開発された機械も導入され、大規模な駆除事業が実施されています。
<建設機械「スイングヤーダ」を使った機械駆除>

<水草刈取り船(「ハーベスター」タイプ)を使った機械駆除>
機械駆除2

【駆除の方法(2):人力による駆除】

人力によるきめ細やかな駆除は、機械を使って大がかりな駆除を行う時にも、できるだけオオバナミズキンバイなどを取り残さないようにするために、併用されています。機械を使わないで地域のさまざまな方々が参加するイベントや、小規模な群落を対象にした駆除事業では、主に人力により駆除を行うことになります。

【駆除後の対応】

オオバナミズキンバイもナガエツルノゲイトウも水陸両生であることから、水ぎわで駆除した後、陸上に放置すると、そこに根を張って生き続けることがあるので、注意が必要です。沈水植物(藻)では、陸上に引き上げた後、山積みして堆肥化する処分方法もありますが、オオバナミズキンバイなどの場合には、再生のリスクがあることから、現在のところ駆除した後はすべて焼却処分としています。
しかし、オオバナミズキンバイなどは、水ぎわや水中に生えているため、現場から除去してすぐ焼却処分ができず、一旦仮置きして焼却施設での受入れが可能になるまで水分を減らす必要があります。
県では、水草等対策技術開発支援事業によって、効率的な駆除・処分方法や繁茂抑制に関する技術開発に対する支援を行っています。

【注意事項】

駆除作業が拡散の原因とならないよう、特に機械駆除の場合には葉や茎の断片が流れてしまわないよう、作業範囲の外側にオイルフェンス等を浮かべて囲んだり、人力駆除の場合も、作業範囲を丁寧に見回り、水面および水中の断片は残さず回収すること。

できるだけ根の部分まで、丁寧に引き抜いて除去を行うこと。(特に陸地に根を下ろしている場合には、除去が非常に難しくなります。)

水分を減らすために仮置きする場所では、地面が舗装されていない場合には、除去したオオバナミズキンバイなどを仮置きしている最中に、その場所で根を張ってしまうことがありうるため、地面をビニールシート等で覆うなど、仮置き場所での再生を防ぐこと。

仮置きしたオオバナミズキンバイなどは、風が強く吹いたときに飛散しないよう、全体をビニールシート等でおおうこと。

【特別な許可なしで駆除・処分をするために】

外来生物法では、特定外来生物の生きた個体を現場から回収する駆除作業は、他の法令で制限されている場合を除き、自由に行えます。しかし、生きたままでの栽培や運搬、保管、放出などの行為は、罰則付きで禁止されているため、駆除した後、最終的な処分までが行えないとなると、本末転倒です。そこで、特定外来生物に指定された植物の駆除活動が円滑に進むよう、以下の3つの条件を満たしていれば、運搬と保管ができるような運用が定められています。少し堅苦しいですが、これら3つの条件は決して難しいものではありませんので、ていねいな駆除をお願いします。

処分を目的として焼却施設へ運搬されること。(分量にもよりますが、一般の燃えるゴミの回収ルートに乗せれば大丈夫です。)

駆除の現場から(仮置き場所、あるいは)ゴミ回収場所まで運搬する時には、植物の断片や実・種子が落下・飛散しないようにすること。(最終的には自治体の指定した燃えるゴミの袋に入れれば大丈夫です。)

特定外来生物の防除をする作業を実施することを、いつ、だれが、どこで行うのかを事前に知らせるなど、公表された活動であること。(インターネット上や、地域の回覧等でもかまいません。要は、勝手に無計画に行われているのではなく、いつ、だれが、どこで行うのかをきちんと計画して行っていることが大切です。)

※実際に駆除をされる場合は、事前にお住まいの自治体にご相談ください。
 

<「国際ボランティア学生協会(IVUSA)」による駆除作業の様子>

人力駆除1

<「国際ボランティア学生協会(IVUSA)」による駆除活動に参加する三日月知事>

人力駆除2

最近の取り組み

平成29年度

5月27日 大津市膳所城跡公園での駆除作業当日は、龍谷大学ボランティア・NPO活動センターのコーディネートにより、新入生を中心に大学生など14名が作業に参加されました。また、メッシュ袋約50個分のオオバナミズキンバイが駆除されました。
6月11日、24日 瀬田川流域クリーン作戦の駆除作業に合わせたデモンストレーション当日は、瀬田川流域クリーン作戦による駆除が行われ、約80名の方が参加されました。また、ジェットポンプを使用した駆除デモンストレーションを行いました。24日は西嶋副知事も参加して駆除を行いました。
6月24日 彦根市野瀬川河口付近での駆除作業びわ湖の日環境美化活動および24時間テレビの環境保護活動支援「びわ湖プロジェクト」に合わせたナガエツルノゲイトウの駆除作業が行われ、滋賀県立大学の大学生などが参加されました。当日は池永副知事も参加して駆除を行いました。
6月25日 守山市赤野井湾での駆除作業当日は、ボランティアやNPO団体など約160名が作業に参加され、西嶋副知事も参加しました。また、約4.5トンのオオバナミズキンバイが駆除されました。
7月6日 大津市膳所城跡公園での駆除作業びわ湖の日環境美化活動に合わせて県職員23名が駆除作業を行い、メッシュ袋180個、0.63トンのオオバナミズキンバイを駆除しました。
7月15日 高島市新旭町での駆除作業当日は、生きものふれあい室による草木染め体験などと併せて駆除作業が行われ、親子連れなど約20名にご参加いただきました。
8月2日 大津市なぎさ公園での駆除作業当日は、立命館大学体育会所属学生約1,150名による駆除作業が行われ、メッシュ袋1,270個、重量5.81トンのオオバナミズキンバイ・ナガエツルノゲイトウが駆除されました。
9月2日 草津市烏丸半島での駆除作業および研修当日は、コープしが組合員約30名によるオオバナミズキンバイの駆除体験および琵琶湖博物館内での座学研修が行われました。
9月8日~10日 大津市・草津市・守山市での駆除作業認定非営利活動法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)による駆除活動が3日間に渡って行われ、一般参加者を含め延べ約1,500名が参加しました。3,075平方メートル、約23トンのオオバナミズキンバイ・ナガエツルノゲイトウが駆除されました。

平成28年度

見学会には、ボランティアを中心に約10名が参加されました。また、約370平方メートルのナガエツルノゲイトウを駆除し、重量は約10トンでした。

見学会には、周辺の住民の方々など約10名が参加されました。また、約770平方メートルのオオバナミズキンバイ・ナガエツルノゲイトウを駆除し、重量は約34トンでした。

当日は、ボランティアやNPO団体など約200名が作業に参加されました。また、約300平方メートルのオオバナミズキンバイを駆除し、重量は約4.5トンでした。

当日は、ボランティアやNPO団体など約40名が作業に参加されました。また、約60平方メートルのオオバナミズキンバイやナガエツルノゲイトウを駆除しました。

12月1日に駆除した後の見回りを行いました。当日は、自治体職員や大学生など、約15名が巡回・監視の様子を見学しました。
現場では、茎や根が残ってないか、入念に見回り、発見した場合はその場で駆除しました。

当日は、ボランティアの方々など約80名が見学に来られました。約11.7トンのオオバナミズキンバイを駆除しました。

お問い合わせ
滋賀県琵琶湖環境部自然環境保全課生物多様性戦略推進室
電話番号:077-528-3483
FAX番号:077-528-4846
メールアドレス:
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