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鈴鹿国定公園

アカヤシオ

鈴鹿国定公園は、三重県にも広く跨がる鈴鹿山岳地帯を中心として、昭和43年7月22日に指定され、全国定公園面積は29,821ha、県の区域面積は17,113haとなっています。この公園は、滋賀県内では鈴鹿山脈の脊梁地地区を中心に、飛地として鎌掛地区と犬上ダム地区が分離した形で指定されています。

鈴鹿山脈脊梁地区は、三重県境沿いに北の御池岳から南の油日岳までおよそ50kmに及ぶ山地、山岳地帯から構成され、まさに滋賀県東部の県土の脊梁部を形成しています。この地区の中央部では卓越した骨格的なスカイラインと急峻な花崗岩の侵食地形からなる渓谷景観、カルスト地形、自然植生、特異な植物群落など、多くの核心的な公園資源が分布しています。一方、この地区の御池川上流域、茶屋川中流域、渋川上流域、野洲川上流域は、山地景観や渓谷景観に大変優れ深山幽谷の趣をなしています。また、日野丘陵東部および水口丘陵東部に連なっている鎌掛地区は、天然記念物のホンシャクナゲ群落が分布し、またその谷は鎌掛峡谷として地学景観にも大変優れています。

鈴鹿山脈は、北部や西山麓は日本海側の気候の影響を南部や東山麓は太平洋側の気候の影響を受けていることと、御池岳から藤原岳の北部は石灰岩地帯であり、釈迦ヶ岳から油日岳にいたる南部は花崗岩地帯であること、西日本と東日本を分断する位置にあることなどを反映して、生物相は複雑なものとなっています。

この公園内には特別天然記念物のカモシカやイヌワシなどの鳥獣類、昆虫類、両生・爬虫類などの貴重動物、1,800余種もの植物が生息・生育し、植生ではシイ・カシ優占の常緑広葉樹林とブナ優占の夏緑広葉樹林の極相林が分布しており、自然景観や生物資源の貴重性、特異性によって特徴づけられます。

  また、この公園地域は登山、キャンプ、魚釣りに利用されることが多く、山麓一帯には縄文、弥生時代などの遺跡や永源寺、加茂神社、油日神社などの社寺も多く、また東海道の鈴鹿峠の道に限らず、千種越、八風越、治田越、石榑越などの鈴鹿山脈横断の多くの間道もあって、観光や自然学習、レクリエーションの場としても優れています。

地形・地質

鈴鹿国定公園の脊梁地地区北部の御池岳から竜ヶ岳までの鈴鹿山脈主稜線には、古生代末の海底火山噴出物である緑色岩とサンゴ礁を構成していた石灰岩が広く分布していて、石灰岩からはサンゴ礁生物の化石が多く見つかります。この緑色岩・石灰岩の岩体は、より新しい時代の中生代前期から中期にかけてプレート運動によって、海洋底に堆積したチャートや大陸縁の浅海の堆積物である砂岩・泥岩の岩体の上におしかぶさったように乗り上げています。御池岳、藤原岳、竜ヶ岳の山頂部は石灰岩地帯で、ドリーネやカレンフェルトなどの石灰岩地帯特有の地形が発達し、地下には佐目の鍾乳洞などの石灰洞もあります。竜ヶ岳から油日岳までの脊梁地地区稜線部は、中生代末に活動したマグマの冷却固結した花崗岩の巨大な岩体で、御在所岳、鎌ヶ岳に代表される風化花崗岩の奇岩風景があちこちで見られます。

この稜線を少し西に外れると、犬上ダム地区、脊梁地地区の雨乞岳、綿向山と鎌掛地区はチャート、砂岩・泥岩地帯になり、野洲川の渓谷ではチャートの見事な褶曲のようすなどが見られます。日野町の国の天然記念物「鎌掛の屏風岩」は、チャートの層理面があたかも屏風を立てたように見えるのです。また、同じく天然記念物「綿向山麓の接触変質地帯」は、石灰岩が近くに貫入した花崗岩マグマの熱で大理石化し、硅灰石などの変成鉱物を生じている地帯です。犬上ダム西側から日本コバ、永源寺ダムにいたる地域には、火山活動の結果できた岩石が分布しています。中生代末に活動し、地下で花崗岩をつくったマグマが地表まで上昇噴出した巨大噴火活動の結果、直径30qに及ぶカルデラをつくった火山の噴出物です。この噴出物の大部分は溶結凝灰岩で、同時に貫入した花崗岩質岩も含めて湖東流紋岩類と呼ばれています。

鈴鹿山脈の山頂部は隆起準平原地形で、高さのそろった峰々が連なっていて、雨乞岳の山頂の池や銚子ヶ口岳近くの稜線の水舟の池など、小池や湿地が山頂・稜線部に点在しています。また、この山脈の西縁は断層で断ち切られ、平野部へと大きく高さを変化させていますが、断層地形である三角末端面や分離丘と考えられる地形がこの断層に沿っていくつも見ることができます。鈴鹿山脈は、この断層で平野部の方にのし上がる形になっています。三重県側も断層であることから2つの断層にはさまれた断層地塊です。三重県側の地形は急峻で、西に向かって緩やかに低下する地形から傾動地塊といわれています。

  この公園の旧土山町女原・笹路地域には、約1500万年前頃の暖かい海の地層が分布し、マングローブの海を示す貝化石やクジラ類の化石が見つかっていますが、この堆積物は鮎河層群と呼ばれています。綿向山や雨乞岳、仙ヶ岳付近の山稜には、川が運んだと思われる礫層が所々に見られ、その固結の状態などから鮎河層群堆積の時代の河川堆積物とも考えられています。こうしたことから、当時、この地域は大河の流れる低平な平原状態であったことが推測されます。

 

権現谷

ボタン岩を望む


湖東流紋岩

日野町綿向山産の珪灰石

中・古生層の岩石(チャート質泥岩

生物

1)植物

御池岳から油日岳にいたる地域の特徴的な植生としては、北部の御池岳周辺に見られるオオイタヤメイゲツ林と、南部の釈迦ヶ岳・御在所岳・雨乞岳などの尾根や山頂に分布するアカヤシオやシロヤシオ、ベニドウダンからなるツツジ科低木林があげられます。ブナ林は、太平洋側に分布し、クロモジによって特徴づけられるブナ−クロモジ群集が綿向山など数箇所に分布しますが小規模です。

植物は、鈴鹿山脈の固有種としてはウスギナツノタムラソウがあげられます。また、鈴鹿山脈以外にも分布するが、日本全体から見ると狭い範囲にしか分布していない植物としては伊吹山地にも分布するタキミチャルメルソウや、岐阜県と愛知県に限られているワタムキアザミなどがあげられます。鈴鹿山地を南限とする植物にはニッコウキスゲ、コキンバイ、デワノタツナミソウ、オクチョウジザクラ、オオコメツツジなど、東限とするものにはアサガラ、ニシノコメツツジ(コメツツジ)などがあげられます。樺太・千島列島から日本にかけて分布する北方系植物にはイワショウブ、オヒョウ、コキンバイ、コフタバランなどが見られます。日本海側に分布する植物としては、イワナシ、オオイワカガミ、オオカニコウモリ、オオタチツボスミレ、サワアザミ、サンインヒキオコシ、タイミンガサ、タムシバ、チャボガヤ、デワノタツナミソウ、ナガハシスミレ、ハイイヌガヤ、ホクリクネコノメソウ、ボタンネコノメソウなどが見られます。一方、太平洋側に分布する植物としては、アカヤシオ、イナモリソウ、オオダイトウヒレン、キンレイカ、コモノギク、シロヤシオ、スズカアザミ、ナガバノスミレサイシン、ニッコウネコノメ、ハガクレツリフネ、マネキグサ、ミヤコアオイ、ムロウマムシグサなどが生育しています。また、北部の石灰岩地には、好石灰岩性殖物としてイチョウシダ、イブキシモツケ、クモノスシダ、ヒメフウロなどが生育しています。

タキミチャルメルソウ オウギカズラ アスヒカズラ
オクチョウジザクラ コキンバイ シロヤシオ

2)動物

鈴鹿山脈を代表する鳥類としてはイヌワシやクマタカなどの大型猛禽類があげられます。これら猛禽類の存在は、餌が豊富なことや営巣に適した断崖や樹木があるなど鈴鹿山脈の豊かな自然環境を反映しています。

御池岳や藤原岳を中心とした石灰岩地帯には、多くの陸貝のカタツムリが生息していることでも知られています。例えば、『滋賀県レッドデータブック2005年版』の絶滅危機増大種のオクガタギセル、カナマルマイマイなど、希少種のキョウトギセル、フトキセガイモドキ、ミカドギセルなど、また要注目種のタワラガイや分布上重要種のクチマガリスナガイ、コンボウギセルガイ、コベソマイマイなどです。なかでも、絶滅危機増大種のカナマルマイマイは御池岳から藤原岳にかけての狭い範囲のみに分布する鈴鹿山脈の固有種です。

昆虫類は、希少種のミヤマダイコクコガネ、マダラクワガタ、トガリバホソコバネカミキリ、クロウスタビガ、ギンイチモンジセセリ、ギフチョウなどや、要注目種のコルリクワガタ、スズカササキリモドキ、マルツヤマグソコガネ、トゲニセマグソコガネ、クロカナブン、ヘリハネムシ、ミスジナガクチキムシ、ヘリウスハナカミキリ、クスベニカミキリなど、分布上重要種のオオセンチコガネ、チドリムネマグソコガネ、オイケヒサゴコメツキなど、鈴鹿山脈全体で3,000種以上が確認されています。また分布上重要種のオイケヒサゴコメツキは御池岳の固有種のとしても知られています。

両生類はヒダサンショウウオ、ブチサンショウウオ、アズマヒキガエル、ニホンヒキガエル、ヤマアカガエル、タゴガエル、ツチガエル、モリアオガエル、カジカガエルが、爬虫類はトカゲ、ジムグリ、マムシ、ヒバカリ、タカチホヘビの生息が確認されています。

魚類は、愛知川の永源寺ダムよりも上流ではイワナ、アマゴ、タカハヤ、アジメドジョウ、カジカなどが、野洲川の野洲川ダムよりも上流ではイワナ、アマゴ、カワムツ、オイカワ、タカハヤ、アブラハヤ、カマツカ、シマドジョウ、アジメドジョウ、アカザ、カワヨシノボリ、カジカが、野洲川の支流である大原川の大原ダムより上流ではイワナ、アマゴ、カワムツ、シマドジョウ、アカザ、ドンコ、カワヨシノボリが確認されています。また、アジメドジョウは近畿・中部の数河川にしか生息しないとされています。

ナガレヒキガエル

モリアオガエル(卵塊)

 

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琵琶湖環境部 自然環境保全課
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