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琵琶湖国定公園

公園の概要と景観  地形・地質  生物
比良山から琵琶湖を望む
比良山から琵琶湖を望む

公園の概要と景観

 琵琶湖国定公園は、昭和25年7月24日に、わが国の国定公園として初めて指定されたもので、県の国定公園の区域面積は95,958ha、全面積は97,601haとなっています。この公園は、琵琶湖を中心に周辺の野坂山地、比良山地、比叡山地、伊吹山、霊仙山の各地区、そして琵琶湖に隣接した賎ヶ岳・余呉湖地区、彦根城・荒神山地区、高島地区、西の湖・繖山地区、瀬田川・宇治川地区などに分離した形で公園区域が指定されています。

  原始景観とみなされるものが少ない琵琶湖にあって、奥琵琶湖の断層崖景観や湖と山塊がおりなす閉鎖景観は、神秘性と荘厳さを秘めた湖景観として特筆されるべきものです。また、高島地区は、湖岸までせり出したランドマーク的な山塊と湖水面との一体性がよく保たれており、湖岸に発達した立派な松並木との連続性も見逃せない景観的特性をもっています。
葛尾崎 琵琶湖を望む
葛篭尾崎 琵琶湖を望む
 
野坂山地地区は、福井県境に接する乗鞍岳、赤坂山、武奈ヶ岳を骨格とした山地、山岳地から形成された山岳景観と、ブナ林や山頂準平原のオオコメツツジ群落、湿地など多様な植生によって特徴づけられ、山麓にはスキー場、野営場が整備されています。武奈ヶ岳、釈迦岳、鳥谷山、蓬莱山を中心とする比良山地地区は、花折断層と琵琶湖で区切られた南北に長い山岳地帯が琵琶湖に迫って屏風のように屹立しており、優れた自然景観を呈しています。その一帯にはブナ林や湿原、大径木のアシウスギ林など自然度の高い植生が発達し、貴重な動植物種が数多く生息・生育しています。
比良山地の山並 権現〜小女郎峠 広谷のアシウスギ
比良山地の山並 権現山〜小女郎峠 広谷のアシウスギ

 霊仙山地区は、石灰岩地帯特有のカルスト地形、ドリーネ、好石灰岩性植物によって特徴づけられます。地区内には仏生寺、男鬼、武奈などの集落を連絡する林道が整備されていて、これらの林道を中心に展開される自然景観は山並みが入り組んだ山深い様相を呈しており、随所から東方に霊仙山を望むことができます。森林景観としては、ケヤキ・チドリノキ・サワグルミなどの湿生林、ミズナラ・ウリハダカエデ・ダンコウバイなどの夏緑広葉樹林、アカマツ林、スギ・ヒノキ植林など多様な植生が発達しています。  
霊仙山西南尾根・山頂 霊仙山 宇層川堤防
霊仙山西南尾根・山頂 霊仙山 宇層川堤防

 県土の約6分の1を占める琵琶湖からは、これまで1,000種以上の動植物が報告されています。琵琶湖がこのように多くの生物を育んできた理由は、その広さ以外に約400万年という古い歴史をもつことと、湖岸の形態が内湖や砂浜、岩礁地など変化に富んでいることがあげられます。また、ヨシやヤナギ類、水草の生育している琵琶湖の沿岸帯は、魚の産卵場所、稚仔魚の生息場所、鳥類や哺乳類などの生息場所、また水の浄化作用や湖岸の侵食防止など多様な生態学的機能をもっています。
ヨシ群落と竹生島 早崎内湖湖岸 草津川河口
ヨシ群落と竹生島 早崎内湖湖岸 草津川河口

 また、公園地域には史跡、名勝、天然記念物の重要な文化財が多く、そのなかでも比叡山、日吉大社、三井寺、石山寺、長命寺、彦根城、安土城跡などは歴史的自然環境ともいえる文化景観のすぐれた史跡です。
比叡山にない堂 比叡山釈迦堂
比叡山にない堂 比叡山釈迦堂

地形・地質

琵琶湖国定公園の伊吹山、霊仙山、奥琵琶湖、野坂山地、比良山地、比叡山地、瀬田川の各地区は、滋賀県の最も古い地質の分布する地域で、主に山地を形成しています。この地区では、古生代末の海底火山噴出物である緑色岩、火山島の浅海で形成されたサンゴ礁の石灰岩と、遠洋の海底に降り積もった海洋生物の遺骸を主体とするチャートがプレートの運動によって中生代中頃の大陸縁に寄せ集められ、大陸縁に堆積した泥岩や砂岩と一緒になった岩石群と、それらのなかに中生代末に貫入したマグマが冷却固結した花崗岩質の火成岩からなる堅い岩石が見られます。

石灰岩・ウミユリの化石を含む ウミユリの化石(拡大写真)
石灰岩・ウミユリの化石を含む ウミユリの化石(拡大写真)

 伊吹山と霊仙山の地区は、主に緑色岩・石灰岩の地域で、ドリーネやカレンフェルトなどの石灰岩地形が見られ、地下には河内風穴などの石灰洞があります。この岩体はチャート、砂岩・泥岩の岩体の上に衝上したものです。板名古川から北西は砂岩・泥岩が分布し、国見岳から北の県境稜線には花崗岩地帯となります。
カレンフェルド カレンフェルド
カレンフェルド カレンフェルド

 奥琵琶湖地区には広く緑色岩が分布しますが、賤ヶ岳から余呉湖の周辺と、山本山は砂岩・泥岩が分布し、花崗岩の小岩体もあります。この地域で湖が深く山地に湾入しているのは、数100万年前から続く古琵琶湖の堆積盆地の南から北への移動傾向が、現琵琶湖成立後も継続して、湖北部が沈降を続けているからだと考えられています。
琵琶湖北部の沈降地形 柳ヶ瀬断層による地形の横ずれ
琵琶湖北部の沈降地形 柳ヶ瀬断層による地形の横ずれ

 マキノ地区は、北半分に花崗岩の分布域があり、その風化地形が明王の禿などの奇岩地形をつくっています。南半分は砂岩・泥岩、チャートの地帯です。この地域の山地の頂上部には隆起準平原とみられる地形面が発達していて、湿地や浅い谷が形成されています。また、南北性の断層も多く、それに沿った深い谷が山頂平坦面を何条かに分断し、若狭への交通路として利用されてきました。
高島市石田川堤防から饗庭野丘陵を望む 明王の禿
高島市石田川堤防から饗庭野丘陵を望む 明王の禿

 比良山地地区も、砂岩・泥岩、チャートの岩体とそのなかに貫入した花崗岩の地域となっています。この地域の山々が湖から急に高度を上げ、湖に対して急斜面で対しているのは、琵琶湖西岸断層帯と呼ばれる、湖岸に沿う何本かの断層が存在し、数10万年来、間欠的に活動してきたためです。山地の上昇が急なため、斜面の崩壊も激しく、流出する土砂は見事な扇状地を発達させ、人為的に制御された川の流路は各所に天井川をつくっています。山頂部は隆起準平原で、八雲ヶ池や子女郎ヶ池などの湿地が多数点在し、緩やかな傾斜地はスキー場として利用されています。この琵琶湖西岸断層帯の断層は、活断層で近い将来の活動が心配されます。
小女郎ケ池
小女郎ケ池

 また、高島地区の白鬚神社西側一帯には花崗岩が広く分布し、各所にその風化による奇岩、白ザレ地域をつくり、風化砂は湖岸に白砂青松の浜を発達させています。
比叡山大宮谷上流
比叡山大宮谷上流

比叡山地地区では、四明岳と如意ヶ岳の間は風化が進んだ花崗岩地帯であるのに対して、その両側の砂岩・泥岩はマグマの熱で焼かれて堅くなっているため、風化に対する抵抗力の差から、四明岳と如意ヶ岳を柱にして、その間にゆるく張った綱のようなスカイラインが形成されています。
 瀬田川地区の瀬田川は、比叡山地の南端を削り込んで南流していますが、この地域の隆起のスピードよりも川の侵食のスピードが速く、山地を横断する深い峡谷をつくって流れています。このような川の谷を先行谷と呼んでいます。そして、ここでは急流によく見られるポットホールや鹿跳びと呼ばれる両岸が極端に狭い流路などの奇観が見られます。石山寺付近ではチャート、砂岩・泥岩の地層のなかに石灰岩が散在し、近くに貫入した花崗岩のため石灰岩が大理石となり、そのなかに硅灰石等の鉱物が生成されていますが、石山寺境内のものは国の天然記念物に指定されています。
瀬田川畔
瀬田川畔

 この公園の主体をなす琵琶湖は、約500万年前に県南東部から三重県伊賀上野あたりの沈降にはじまる低地化、堆積盆地化の動きが次第に現琵琶湖地域に移動し、以前の沈降域は隆起域に換わるという地殻変動の結果、約20万年前頃より現琵琶湖域に広い水域が成立したものです。それ以前の低湿地堆積盆地は、湖東、湖南、堅田、高島の地域に古琵琶湖層群として残り、県内の丘陵地を形成しています。湖中の小島は、琵琶湖が沈降堆積域となる以前の隆起侵食であった時代に、侵食から取り残された山体の頂上部なのです。竹生島、多景島は花崗岩で、沖の白石、沖島、安土・近江八幡等の平野部に残る山、荒神山は湖東流紋岩類で構成されています。
沖島 伊崎不動 竹生島
沖島 伊崎不動 竹生島
湖中から突き出た多景島の花崗岩の絶壁 八幡山
湖中から突き出た多景島の花崗岩の絶壁 八幡山

 湖東流紋岩類は、中生代末に地下に貫入してきた花崗岩質マグマが地表に達し、直径30qに及ぶ巨大なカルデラをつくって噴火したときの噴出物を主体とする岩石で、溶結凝灰岩が大部分を占めています。この噴出物は、カルデラを埋め、カルデラから溢れて一帯を被って堆積したのですが、数1,000万年の時を経て侵食され、わずかに侵食から取り残された部分が琵琶湖に流れ込む川の運ぶ土砂で山麓が埋められて湖岸の平地に残ったり、まだ埋まっていないものは湖中の島として見られるものです。

生物

1) 琵琶湖

(1) 植物
 内湖を含む琵琶湖では、これまでササバモ、エビモ、コウガイモ、ネジレモ、クロモなど約40種の沈水植物が記録されています。このうち、琵琶湖の固有種はネジレモとサンネンモの2種です。また、これら沈水植物は水深約6m付近まで生育し水草帯を形成しています。このほかに、ヒシやガガブタ、アサザのような浮葉植物、トチカガミやアオウキクサのような浮遊植物、ヨシやマコモ、ウキヤガラなどのような抽水植物も生育しています。近年、琵琶湖ではオオカナダモやコカナダモ、フサジュンサイ、ホテイアオイなどの外来植物が繁茂するようになりました。

水草群落 ネジレモ
水草群落 ネジレモ
アサザ  
アサザ  

 琵琶湖岸や内湖のヨシ原やヤナギ林内にはオギノツメやノウルシ、ヤナギトラノオ、オニナルコスゲ、ミズトラノオ、オグルマ、ヌマゼリ、クサレダマ、サデクサ、コバノカモメズル、カキツバタなどのような貴重な湿生植物も生育しています。特に、内湖の1つである西ノ湖には大規模なヨシ原、湖北地方の沿岸部には発達したヤナギ林が見られます。4月上旬、ノウルシが湖北地方のヤナギ林の下で群生して咲き誇る様は見事です。また、湖岸に広がる砂浜では春にタチスズシロソウやハマエンドウ、晩春から初夏にはハマヒルガオのような海浜性植物が花を咲かせます。岩礁地にはハマナデシコやシマカンギクなども生育しています。
 植物プランクトンはケイソウ類など約240種が確認されていて、このうちビワクンショウモ、メロシラ・ソリダ、スタウラスツルム・ビワエンシスなど4種が琵琶湖水系の固有種とされています。
ヨシ原とヤナギ林 シマカンギク ナガエツルノゲイトウ
ヨシ原とヤナギ林 シマカンギク ノウルシ
タチスズシロソウ ハマヒルガオ ハマエンドウ
タチスズシロソウ ハマヒルガオ ハマエンドウ

(2) 動物
 琵琶湖には日本列島に生育する淡水魚類の約3分の2にあたる約60種が生息しています。このうちワタカ、アブラヒガイ、イワトコナマズ、ビワコオオナマズ、ニゴロブナ、ビワヨシノボリ、イサザ、ホンモロコ、ビワマス、ビワヨシノボリなど、15種が琵琶湖水系の固有種および固有亜種です。
 琵琶湖の動植物のうち最も固有種が多いのは貝類で、琵琶湖でこれまで記録された貝類53種のうち、29種を占めています。このうちナガタニシ、セタシジミ、イケチョウガイなど11種は古琵琶湖層からも確認されていることから、古琵琶湖の遺存種と考えられています。これに対してシライシカワニナやタケシマカワニナのようなカワニナ科ビワカワニナ亜属は40数万年前に琵琶湖が現在の場所に移動してから進化したと考えられています。
 琵琶湖は全域が鳥獣保護区であることから、冬季にはコハクチョウやオオヒシクイ、そしてマガモ、ヒドリガモ、トモエガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ミコアイサ、カワアイサなど、多くのカモ類などが飛来します。また、夏季にはオオヨシキリやサンカノゴイ、ヨシゴイ、バン、カイツブリなどが琵琶湖岸や内湖のヨシ原で繁殖します。ヨシ原はこのほかツバメの集団塒地ともなっています。
 湖岸の砂浜・ヨシ原・湖畔林・岩礁地は、多くの貴重な昆虫の生息地ともなっています。これまで、滋賀県内では約100種のトンボ類が記録されています。このうち、琵琶湖岸や内湖周辺の低地で比較的多く見られるものには、セスジイトトンボ、ムスジイトトンボ、オオヤマトンボ、ホンサナエ、コフキトンボ、チョウトンボなどがあげられます。また、琵琶湖水系と強く結びついた分布をしているのは、『滋賀県レッドデータブック2005年版』の絶滅危機増大種のメガネサナエとオオサカサナエで、琵琶湖の準固有種ともいえます。このほか、琵琶湖固有の昆虫としてはカワムラナベブタムシ、ビワシロカゲロウ、分布上重要種のビワコエグリトビケラとビワアオヒゲナガトビケラなどがあげられます。琵琶湖の沿岸帯が模式産地となっているものにはシガイワトビケラ、ビワセトトビケラ、モリクサツミトビケラ、ユウキクサツミトビケラなどの要注目種があげられます。
 また、動物プランクトンではビワツボカムリやビワミジンコ、扁形動物ではビワオオウズムシ、環形動物ではイカリビル、水生昆虫ではクロスジヒゲナガトビケラ、ビワセトトビケラなどが琵琶湖の固有種として知られています。

2) 比叡山

(1) 植物
 比叡山の植生の大部分はスギ・ヒノキの植林によって占められ、山腹や尾根の一部にモミ・ツガ林、アカマツ林が見られます。樹林は形成していないが、単木的にイヌブナが標高400m以上に、ブナが標高600m以上のところに生育しています。比叡山ではこれまでに約1,200種の植物が記録されています。このなかにはマツムシソウやヒメヒゴタイ、モリアザミなど環境の変化などによって絶えてしまったために現在では見られないものも含まれています。比叡山では春にエイザンカタバミ(ミヤマカタバミ)やミヤマヨメナ、バイカオウレン、エイザンスミレ、夏はトチバニンジン、フシグロセンノウ、ミズタマソウ、キツリフネ、秋にはフクオウソウ、アキチョウジ、オトコエシ、キタヤマブシなどが花を咲かせます。比叡山で現在見られる貴重な植物にはクリンソウ、カキノハグサ、エイザンスミレ、イカリソウ、タカネマスクサ、キヨスミコケシノブ、フジシダ、コモチシダなどがあげられます。

モミ林 キヨスミコケシノブ フジシダ
モミ林  キヨスミコケシノブ フジシダ
クリンソウ カキノハグサ
クリンソウ カキノハグサ

(2) 動物
 比叡山の500m以上の地域は、1930年に鳥類繁殖地として国の天然記念物に指定され、現在にいたっています。指定された当時は、18科80種の鳥類が記録されています。その後、ドライブウエイができ、樹木の伐採や騒音によって鳥類の数は減少したといわれていますが、まだまだ多くの鳥類が生息していています。特に、比叡山ではアカゲラ、オオアカゲラ、アオゲラ、コゲラなどのキツツキ類やツツドリ、クロツグミ、イカルなど、森林を好む鳥類が多く繁殖しているのが特徴です。また、渓谷を好むミソサザイ、オオルリ、キビタキなども繁殖しています。浄土院から瑠璃堂・青竜寺にかけての山道は、比較的自然がよく残され人通りも少ないので絶好の探鳥コースとして知られています。
 哺乳類はニホンザル、シカ、イノシシ、ニホンリス、ノウサギ、イタチ、キツネ、タヌキ、ムササビなどが生息しています。昆虫類は、絶滅危機増大種のダイコクコガネ、アミメキシタバ、ワスレスナグモ、キシノウエトタテグモなどや、希少種のトゲグモなど、要注目種のセアカオサムシ、フチムラサキノメイガなど、これまでに貴重を含めて多くの種類が記録されています。

3) 比良山

(1) 植物
 比良山地一帯の植生は、山腹がアカマツ林やスギ・ヒノキ植林、山頂部はブナ林、ブナ・アシウスギ混交林、ミズナラやアズキナシ、リョウブなどからなる二次林によって占められています。また、地下に不透水層のあるところでは八雲ヶ原やオトシ地域のように湿原を形成しているところでは、貴重な湿地植生も見られます。
 比良山ではシロヤシオやレンゲツツジ、ユキグニミツバツツジ、ベニドウダンなどのツツジ科の植物が多く、春に花を咲かせます。夏は滝の周辺などではオタカラコウやイワタバコ、湿原ではヒツジグサやノハナショウブ、ミカヅキグサ、モウセンゴケなどが花を咲かせます。秋はセンブリやリンドウ、アケボノソウなどリンドウ科の植物やアキノキリンソウやシロヨメナなどのキク科の花が目をひきます。湿原ではウメバチソウやサワギキョウなどが花を咲かせます。
 比良山地で記録されている貴重な植物には、『滋賀県レッドデータブック2005年版』の絶滅危惧種のアキノハハコグサ、アスヒカズラ、ウチョウラン、カツラカワアザミ、タヌキモ、ツレサギソウ、ノビネチドリ、ヒキヨモギ、ヒナラン、ヤシャビシャクなどや、絶滅危機増大種のクサレダマ、セイタカスズムシソウ、トキソウ、トモエソウ、ヤマジソ、ヤマトキソウなど、多くの貴重種が生育しています。

 
シロヤシオ ホンシャクナゲ 谷筋のサワグルミ林
シロヤシオ  ホンシャクナゲ 谷筋のサワグルミ林
武奈ヶ岳山頂部の若いブナ林 広大な面積の夏緑広葉樹林
武奈ヶ岳山頂部の若いブナ林 広大な面積の夏緑広葉樹林
サラサドウダン ギンリョウソウ
サラサドウダン ギンリョウソウ

(2) 動物
 比良山地の1,000m付近にはブナ、ミズナラなどからなる夏緑広葉樹林が広く分布していることや水量の多い深い谷が多いことから、動物の生息環境は餌も豊富であったり、生活や繁殖に適した環境が整っていたりしているといえます。そのため、哺乳類はカワネズミやヒミズ、コウベモグラ、ニホンザル、ノウサギ、ニホンリス、ムササビ、アカネズミ、ヒメネズミ、ツキノワグマ、タヌキ、キツネ、テン、アナグマ、イノシシ、シカなどを見ることができます。
 比良山地は渡り鳥の中継地にあたっているため、春と秋の渡りのときにはツグミ、アトリ、カシラダカなど多くの鳥類を観察できるし、クマタカやノスリ、ハイタカ、サシバなどの猛禽類も生息しています。比良山地でこれまでに100種を超える鳥類が確認されています。確認された鳥類は、留鳥ではトビ、クマタカ、ハイタカ、ノスリ、コジュケイ、ヤマドリ、キジ、キジバト、アオゲラ、アカゲラ、コゲラ、ヒヨドリ、カワガラス、ミソサザイ、トラツグミ、ウグイス、ヒガラ、コガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、ホオジロ、カワラヒワ、イカル、スズメ、ムクドリ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラスなど、夏鳥ではサシバ、ツツドリ、ホトトギス、ヨタカ、ツバメ、キセキレイ、サンショウクイ、ヤブサメ、センダイムシクイ、オオルリ、コサメビタキ、サンコウチョウなど、冬鳥ではビンズイ、キレンジャク、ヒレンジャク、カヤクグリ、ルリビタキ、ジョウビタキ、シロハラ、ツグミ、キクイタダキ、カシラダカ、ミヤマホオジロ、アオジ、クロジ、アトリ、マヒワ、イスカ、ベニマシコ、シメなど、また春秋に見られる旅鳥としてアマツバメ、アカハラ、メボソムシクイ、エゾムシクイなど、多くの種類となっています・br />  爬虫類としてはマムシ、アオダイショウ、シマヘビ、ヤマカガシ、ヒバカリ、シロマダラなどが、また両生類としてはヒダサンショウウオ、ハコネサンショウウオ、モリアオガエル、アズマヒキガエル、ナガレヒキガエル、タゴガエル、カジカガエル、イモリなどが生息しています。
 また、昆虫類にとっても多様な生息環境となっているため、希少種のムナコブハナカミキリ、フタコブルリハナカミキリ、ヨコヤマヒゲナガカミキリ、イトウハバチ、ハナセヒラクチハバチ、ヘリグロチャバネセセリ、ギフチョウ、ゲホウグモなどや、要注目種のマヤサンコブヤハズカミキリ、ヘリウスハナカミキリ、クスベニカミキリなど、分布上重要種のコエゾゼミ、ツヤクロスズメバチ、ヒウラシリアゲなど、多くの種類が生息しています。

4) 霊仙山

(1) 植物
 霊仙山の山頂部や尾根付近にはササ草原やササ類を欠く広葉草原、ススキ草原、オオイタヤメイゲツ林、中腹にはシロモジ、イヌシデ、コハウチワカエデなどからなる夏緑広葉樹の二次林やオニグルミ林、谷筋にはサワグルミ林、ケヤキ林、ホンシャクナゲ群落などが分布します。自然林のブナ林は多賀町今畑の標高500m付近に分布しますが、面積はそれほど広くはありません。
 霊仙山では山腹や尾根筋にかけての夏緑広葉樹林の下で春にフクジュソウ、ニリンソウ、イチリンソウ、アズマイチゲ、トウゴクサバノオなどのキンポウゲ科の植物やコンロンソウ、スズシロソウ、ハクサンハタザオ、ユリワサビなどのアブラナ科の植物がたくさん花を咲かせ見事です。山頂部では夏にミツモトソウ、イブキトラノオ、クサボタン、キリンソウ、秋はイブキトリカブト、オオダイブシなどが花を咲かせます。また、霊仙山一帯には石灰岩が広く分布し、イチョウシダ、ヒメフウロ、イワツクバネウツギ、クモノスシダ、イブキシモツケ、マルバサンキライなど、多くの好石灰岩性植物が見られます。このほかに、絶滅危惧種のオキナグサ、カセンソウ、ヒメニラなどや、絶滅危機増大種のセツブンソウ、トモエソウ、モリアザミ、ヤマブキソウなどの貴重植物も生育しています。

オオイタヤメイゲツ林 ブナ林
オオイタヤメイゲツ林 ブナ林
ヒオウギ スズサイコ カセンソウ
ヒオウギ  スズサイコ カセンソウ
イワウメヅル イブキトリカブト
イワウメヅル イブキトリカブト

(2) 動物
 夏緑広葉樹林が多くの面積を占める霊仙山ではイヌワシやクマタカ、サシバなどのタカ類のほかアオゲラやホトトギスなど多くの野鳥の声を聞いたり、姿を目撃したりすることができます。また、タカ類の餌となる爬虫類も豊富で、爬虫類ではタマチホヘビ、ヤマカガシやジムグリ、マムシなどが生息しています。両生類では、ブチサンショウウオ、モリアオガエルなどが山頂部で見ることができます。
 哺乳類ではニホンリスやムササビなどのほか、河内の風穴のような石灰洞があちこちに点在していることからキクガシラコウモリやコキクガシラコウモリ、モモジロコウモリ、テングコウモリ、ユビナガコウモリなどコウモリ類の種類も豊富で、洞穴性の昆虫ガロアムシも生息していますし、イシダメクラチビゴミムシは河内の風穴を模式産地としています。また、石灰岩地であるため陸貝のカタツムリの種類も豊富で、ミカドギセルやイブキゴマガイ、アツブタガイ、ヒラヒダリマキマイマイ、イブキクロイワマイマイなど多くの種類が記録されています。
 昆虫類では山麓にミドリシジミ類の食草となるアカガシやウラジロガシなどのカシ類、ミズナラが多数生育していることから、ヒサマツミドリシジミ、エゾミドリシジミや希少種のミヤマカラスシジミなど多くのミドリシジミ類や、希少種のギフチョウなどが見られます。山頂部の池ではオオルリボシヤンマも生息しています。また、カタツムリが多数生息していることからそれを餌とする要注目種のヒメボタルも山頂部で生息が確認されています。このほか、オオムラサキ、ウスバシロチョウ、ミヤマカラスアゲハ、アキタクロナガオサムシ、ミヤマコブヤハズカミキリ、キアシナガバチ、セグロアシナガバチなどが生息しています。
 渓流沿いでは、ヤマセミ、オシドリ、オオルリなどの鳥類、タゴガエル、カジカガエル、アズマヒキガエル、ナガレヒキガエルなどの両生類、ゲンジボタルなどの昆虫類、アユ、ニジマス、アマゴ、タカハヤ、カジカなどの魚類が生息しています。

キリギリス
キリギリス

5) 伊吹山

(1) 植物
 伊吹山の植生は山頂から西側の5合目にかけてはアカソ、オオバギホウシ、メタカラコウなどからなる広葉草原、山頂の北側にオオイタヤメイゲツ林、南側に小規模ながらブナ林、中腹から山麓の大部分はミズナラ林やスギ・ヒノキ植林によって占められています。また、西側の1合目〜4合目のスキー場付近はススキ草原によって占められています。
 山頂部の「お花畑」と呼ばれている広葉草原には、シモツケソウ、クガイソウ、メタカラコウ、シシウド、ハクサンフウロ、イブキフウロ、キンバイソウ、サラシナショウマなどの花々が咲き乱れるさまは見事で、貴重な植物が多く生育していることから、国の天然記念物に指定されています。お花畑の規模は西日本随一といわれ、夏にはたくさんの観光客が訪れます。
 伊吹山は北の両白山地に連なる県下最高峰の山であること、日本海側の気候の影響を強く受けていること、石灰岩が広く分布することなどにより、多くの固有種やこの山を分布の西南限とする植物が生育しています。伊吹山の固有種としては、イブキアザミ、コイブキアザミ、ミヤマコアザミ、ルリトラノオ、イブキレイジンソウ、コバノミミナグサ、イブキタンポポがあげられます。また、この山を分布の西南限とする植物にはグンナイフウロ、イブキソモソモ、エゾフウロ、ハクサンフウロ、イブキフウロ、キンバイソウ、エゾハタザオ、チシマカニツリ、イワシモツケ、ヒメイズイ、ハクサンカメバヒキオコシなどがあげられます。このほか、イチョウシダやヒメフウロ、イワツクバネウツギなどの好石灰岩性殖物、クサタチバナ、ワニグチソウ、イブキスミレ、サンカヨウなどの貴重な植物も数多く見られます。また、織田信長がこの山に薬草園を築いたときの名残の植物といわれるキバナノレンリソウ、イブキカモジグサ、イブキノエンドウも見られます。

 
弥高尾根から伊吹山頂を望む ブナ林 ブナの大木
弥高尾根から伊吹山頂を望む ブナ林 ブナの大木
ニッコウキスゲ イブキスミレ ヒメニラ
ニッコウキスゲ イブキスミレ ヒメニラ
イブキトリカブト コゴメグサ(イブキコゴメグサ) イチョウシダ
イブキトリカブト コゴメグサ(イブキコゴメグサ) イチョウシダ
イブキシモツケ ヒメヒゴタイ ミヤマコアザミ
イブキシモツケ ヒメヒゴタイ ミヤマコアザミ
コバノミミナグサ セツブンソウ ワニグチソウ
コバノミミナグサ セツブンソウ ワニグチソウ
コオニユリ ミヤマトウキ グンナイフウロ
コオニユリ ミヤマトウキ グンナイフウロ
イワツクベネウツギ ヒゴスミレ コウグイスカグラ
イワツクベネウツギ ヒゴスミレ コウグイスカグラ
シモツケ クサタチバナ キバナノレンリソウ
シモツケ クサタチバナ キバナノレンリソウ
アケボノスミレ クガイソウ キセワタ
アケボノスミレ クガイソウ キセワタ
イブキノエンドウ ヒメフウロ ルリトラノオ
イブキノエンドウ ヒメフウロ ルリトラノオ
カキノハグサ メタカラコウ イブキフウロ
カキノハグサ メタカラコウ イブキフウロ

(2) 動物
 特異な環境を反映して、伊吹山の動物相は多様性に富んでおり、これまでに貴重種を含めて多くの種類が確認されています。哺乳類ではツキノワグマ、シカ、イノシシ、テン、アナグマ、キツネ、タヌキ、イタチ、ムササビ、ノウサギ、ニホンリス、アズマモグラなどが、爬虫類ではマムシ、ヤマカガシ、ヒバカリ、ジムグリ、シマヘビ、アオダイショウ、シロマダラなどが、また両生類ではヒダサンショウウオ、ヤマアカガエル、タゴガエル、モリアオガエルなどが生息しています。
 鳥類は、大型猛禽類のクマタカやイヌワシの生息が確認されているが、これは小型哺乳類や爬虫類などの餌が豊富なことや営巣に適した断崖や樹木があるなど豊かな自然環境を反映しています。そのほか、留鳥はトビ、クマタカ、イヌワシ、コジュケイ、ヤマドリ、キジ、カワセミ、アオゲラ、アカゲラ、コゲラ、ヒバリ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、カワガラス、ミソサザイ、エナガ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、カワラヒワ、イカル、スズメ、ムクドリ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、夏鳥はサシバ、ジュウイチ、カッコウ、ツツドリ、ホトトギス、ヨタカ、ツバメ、クロツグミ、ヤブサメ、センダイムシクイ、キビタキ、オオルリ、コサメビタキ、サンコウチョウ、旅鳥はハリオアマツバメ、アマツバメ、イワツバメ、ノビタキ、サメビタキ、冬鳥はビンズイ、ジョウビタキ、ツグミ、カシラダカ、アオジ、ベニマシコなど、62種が観察されています。
 伊吹山は石灰岩地であるため日本屈指のカタツムリの生息地としても知られ、ミカドギセル、シリボソギセル、ヤコビマイマイ、ヒルゲンドルフマイマイ、オオヒルゲンドルフマイマイ、イブキクロイワマイマイなどは伊吹山を基準産地としています。この山一帯には、絶滅危機増大種のヤコビマイマイ、アズキガイなど、希少種のフトキセルガイモドキ、ミカドギセル、シリボソギセルガイなど、要注目種のイブキゴマガイ、タワラガイ、ニッポンマイマイなど、分布上重要種のゴマオカタニシ、ツルガマイマイ、コガネマイマイ、コベソマイマイなど、30種以上のカタツムリが生息しています。
 昆虫類は、絶滅危惧種のヒメビロウドカミキリなどや、希少種のムネアカセンチコガネ、キバネセセリ、ギンイチモンジセセリ、ギフチョウ、ミヤマカラスシジミ、クモガタヒョウモンなど、要注目種のイブキミヤマヒサゴコメツキ、ヒメボタルなど、分布上重要種のムネグロリンゴカミキリなど、多くの種類が生息しています。なかでも、チョウ類は滋賀県産のチョウの約85%が生息しています。

アサギマダラ
アサギマダラ

6) 三国山・赤坂山・箱館山

(1) 植物
 三重岳を中心に福井県境にかけてブナ林やブナ・アシウスギ混交林が広く分布しています。また、三国岳や赤坂山の尾根筋にはベニドウダンやサラサドウダンからなるツツジ科低木林やササ原が発達しています。
 赤坂山から三国山にかけての一帯では、春にはトキワイカリソウ、ウスギヨウラク、ベニドウダン、サラサドウダン、オオバキスミレ、トクワカソウ、マルバマンサク、ツゲ、夏にはオオコメツツジ、キンコウカ、秋にはエゾリンドウ、ナガエノアザミ、ホツツジ、イワショウブ、センブリ、カリヤスなどが花を咲かせます。ナガエノアザミは福井県・滋賀県・京都府・兵庫県の日本海側の限られた地域に生育する珍しいアザミです。三国山の周辺は花崗岩からできていて、地下の不透水層からしみ出た水が湿原を形成しています。ここではオオイヌノハナヒゲやコイヌノハナヒゲ、キンコウカ、イワショウブ、ムラサキミミカキグサなどを観察することができます。
 箱館山の北に位置する平池とその周辺ではカキツバタやヒツジグサ、バイケイソウ、サワオグルマ、ヤマドリゼンマイ、フッキソウ、キタヤマブシ、ユキグニミツバツツジ、イチリンソウ、ヒメエンゴサク、ミズオトギリ、サワフタギなどの植物を見ることができます。

 
マキノ町赤坂山・明王の禿 明王の禿から赤坂山を望む 天狗岩
マキノ町赤坂山・明王の禿  明王の禿から赤坂山を望む 天狗岩
淡海湖 アザラシ岩付近 三国山湿原
淡海湖  アザラシ岩付近 三国山湿原
オオバキスミレ コメススキ
オオバキスミレ コメススキ
ユキグニミツバツツジ ムラサキミミカキグサ
ユキグニミツバツツジ ムラサキミミカキグサ

(2) 動物
 昆虫類は、希少種のヨコヤマヒゲナガカミキリなどや、要注目種のコルリクワガタ、ヒメウルワシオドリバエなど、分布上重要種のヒラサナエ、ヒサゴゴミムシダマシなどの貴重種が確認されています。魚類は、石田川の上流においてスナヤツメ、イワナ、アマゴ、タカハヤ、カワムツ、オイカワ、ウグイ、カジカ、カワヨシノボリなどが確認されています。


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